スガダイ
佐藤洋一郎
岡村信将
第45回函館記念(26日、札幌9R、GIII、3歳上オープン国際、ハンデ、芝2000メートル、1着本賞金4300万円=出走16頭)秋山真一郎騎乗の4番人気サクラオリオンが、直線で外に持ち出されると力強く伸びて快勝。昨年の桜花賞馬や牡馬クラシック実績馬を撃破し、重賞2勝目を挙げた。2分0秒6(良)。今後はGI馬が顔を揃える札幌記念に向かう予定。半馬身差2着に10番人気のマヤノライジン、3着に8番人気のメイショウレガーロが逃げ粘り、3連単は12万超馬券の波乱。1番人気マイネルチャールズは12着に惨敗した。 外から内へ、そしてまた外へ。神出鬼没、変幻自在の動きも得意のコースだからこその芸当なのか。4番人気のサクラオリオンが、94年以来15年ぶりとなる“札幌”の函館記念を制した。 大外の(16)番枠からスタートしたはずのオリオンが、向正面に入るといつのまにか内ラチ沿いの経済コースを走っている。3コーナー過ぎも内。直線もハンデ戦らしくゴチャつく展開となった。 「思ったほど行きっぷりが良くなかったんで内に入れたんです。でも今度は抜けられない…」 馬群が固まる中、秋山騎手を救ったのは馬自身だった。「外へ持っていかれてうまく出せた」と振り返るように、オリオン自ら進路を見つけて突進。そこから目の覚める伸びを見せ、先に抜け出したマヤノライジンを半馬身捕らえた。 「直線は手前を替えていないけど、加速してくれたし、よっぽどこの条件が合っているんでしょうね」 秋山騎手も驚くほど、この札幌では走る。これで(2)〔1〕(3)〔1〕着とパーフェクトで馬券に絡んでいるのだから、ファンにとっては信頼できる馬だ。 90年ラッキーゲラン、91年メジロマーシャスで連覇して以来、18年ぶりに函館記念を勝った池江郎調教師も「洋芝が合っているんやろなあ」と感心しきり。デビューが3歳の3月で、1年以上の休養も経験しているオリオン。「大事にしてきましたからね。今がちょうど成長しているのかもしれない」と7歳を迎えての愛馬の開花に笑顔を見せた。 GIIIで2勝したサクラオリオンは、5着だった僚馬ドリームサンデーとともに、短期放牧を挟んで札幌記念(8月23日、札幌、GII、芝2000メートル)へ。2冠牝馬ブエナビスタやディープスカイといったGI馬が相手となるが、大好きな札幌の空に再び輝きを放つことがあるかもしれない。(柴田章利)