きいいろ
第41回函館2歳S(9日、札幌9R、2歳オープン、馬齢、芝1200メートル、1着本賞金3200万円=出走16頭)岩田康誠騎乗のステラリードが、1番人気に応えてデビュー2連勝で世代初重賞を獲得した。タイム1分9秒7(良)。この勝利で森秀行調教師は渡辺栄元調教師、山内研二調教師に次ぐ史上3人目のJRA全10場重賞制覇の快挙を達成した。アタマ差2着は2番人気のキョウエイアシュラ。 会心の切れ味だった。1番人気のステラリードが馬場のど真ん中を突き抜けて、09年のJRA2歳重賞1番乗りを果たした。1番人気の連敗は14でストップ。1分9秒7(良)のタイムは函館施行時のレースレコードより0秒1速い優秀さだ。 手応え抜群に中団の内ラチ沿いを進むステラ。直線では徐々に外に持ち出しながら岩田康誠騎手が仕掛けのタイミングをうかがう。視界が開けた直線半ばでスパートして前の2頭を一気にかわし、ゴール前で外から猛追するキョウエイアシュラの追撃をアタマ差抑えて、新馬→GIII連勝を決めた。 「“差せー”って言いながら追った。切れたねぇ。気持ち良かった」。図抜けた瞬発力に興奮さめやらぬ岩田康は、新たな課題も口にした。「うるさかった。カッカして、この汗なんやねんっていうくらい汗をかいていた。それでいてレースにいけば素直で負けん気が強い。もっとどっしりしてくれば、まだまだ上を目指せる馬だと思う」 待たれているのは精神面の成長。同じスペシャルウィークを父に持つ、シーザリオやブエナビスタ級の名牝に育つか否かはその一点にかかっている。新潟競馬場で観戦していた森秀行調教師は「この後はむかわのグローバル牧場に放牧に出します。英気を養ってこの先の距離延長にも対応できるように力をつけさせていきたい」とさらなる成長に期待をふくらませる。 この勝利で森師はJRA重賞連続制覇の記録を現役最長の17年に延ばし、01年の阪神牝馬S(エアトゥーレ)の勝利でリーチをかけていたJRA全10場重賞制覇も達成。「全10場の記録は意識していたのでホッとしました」とトレーナー。史上3人目となる大記録に、笑みがこぼれた。(阿部裕昭)