2番人気の
テルツェットが中団から最内を突いて差し切り、史上3頭目の連覇を達成した。池添騎手は初騎乗だったが、本レースは通算4勝目。ハナ差の2着は8番人気の
サトノセシル、1番人気の
ウォーターナビレラは10着に敗れた。
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ゴール前の大接戦を最内からグイッと抜け出した。テルツェットが鮮やかに差し切り、
オースミハルカ(2003、04年)、
アイムユアーズ(12、13年)に続く史上3頭目の連覇を達成だ。
「ゴールした瞬間はどっちかわかりませんでしたが〝差していてくれ〟と思って帰ってきたら勝っていたので、すごくうれしいです」
池添騎手が喜びを口にする。この馬とは初コンビだったが、最多タイの
クイーンS4勝目。知り尽くした舞台で、最内枠を最大限に生かした完璧な騎乗をみせた。道中は中団の内めをキープ。直線はインぴったりを突いて脚を伸ばし、逃げた
ローザノワールを内からかわすと、最後は外から迫った
サトノセシルをハナ差で封じてのトップゴール。「狭いところを抜けてきてくれました。末脚のいい馬なのでそこを引き出すことだけを考えて乗りました」と胸を張って続けた。
体質が弱く、加減しながらの調整を強いられたものの、今年に入ってからしっかり攻められるようになった。この日はキャリア最高馬体重の436キロ。和田郎調教師は「56キロでよく頑張ってくれました。小柄な馬ですが、すごく大きくみせるようになっています」と成長を実感する。
馬主のシルクレーシングの規定で、6歳を迎える来年春が最後となる。次走は未定だが、同クラブの米本代表は「最後の秋になるので、もう一つくらいタイトルを取りたいですね」と語った。
5歳で完成期を迎えた
ディープインパクト産駒が、ラストシーズンでもうひと花咲かせる。(斉藤弘樹)
テルツェット父
ディープインパクト、母ラッドルチェンド、母の父デインヒルダンサー。鹿毛の牝5歳。美浦・
和田正一郎厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は㈲シルクレーシング。戦績12戦7勝。獲得賞金1億7256万1000円。重賞は2021年ダービー卿CT、
クイーンSに次ぐGⅢ3勝目。
クイーンSは
和田正一郎調教師が21年
テルツェットに次ぐ2勝目。
池添謙一騎手は01年
ヤマカツスズラン、11年
アヴェンチュラ、12年
アイムユアーズに次ぐ4勝目。馬名は「三重奏、三重唱(音楽用語)。本馬が母の3番仔より連想」。