負け知らずの快速馬が絶好の仕上がりで桜の切符を取りに行く。2戦2勝のトラベログが美浦坂路を余力たっぷりに疾走。見守った岩戸調教師は笑みを浮かべた。
「やれば動く馬。予定より時計は速くなったけど、問題ないですね。動き自体は良かったです」
道中はホシフルドヒョウ(1勝)を1馬身追走。終始手応えは良かったが、直線でも無理に僚馬を追いかけず、4ハロン53秒0-12秒6で1馬身遅れてフィニッシュした。
まだ3歳の牝馬で輸送を控える身。当週で目一杯に仕上げるのではなく、先週までに態勢を整えておくことが陣営の狙いだ。その証拠に、1日の1週前追い切りでは美浦Wコースの一番時計となる6ハロン80秒7-11秒7をマーク。仕上がりに不足はない。
今回は初の関西遠征を考慮し、陣営は9日の木曜に栗東トレセンへ輸送してからレース当日に阪神競馬場に向かう方法を選択した。「競馬場に(長く)いるほど、馬はピリピリしてくるので。当日の輸送距離を短くする意味もあります」と万策を尽くす構えだ。
初戦はハイペースの1200メートル戦を2番手から差し切り、1600メートルに延ばした前走は抜群のスピードでハナに立って押し切り。異なる距離、戦法で結果を出し、対応力の高さを見せてきた。「中山1600メートルで逃げ切るのは能力がないとできないし、ポテンシャルは感じます。1400メートルが一番合うので、リズム良く走れれば恥ずかしい結果にはなりません」と指揮官は力強く言い切る。まだ底を見せていない素質馬が、前哨戦を制して桜へ向かう。(綿越亮介)