競馬の祭典・
日本ダービーが30日、東京競馬場で17頭によって争われ、2年ぶりに入場したファンの前で4番人気
シャフリヤールが優勝。2分22秒5のダービーレコードで3歳馬の頂点に立った。福永騎手は昨年の
コントレイルに次ぐ史上3人目の連覇を達成。藤原英調教師は2010年
エイシンフラッシュに次ぐ栄冠となった。1番人気の
皐月賞馬
エフフォーリアはハナ差の2着。3着には9番人気の
ステラヴェローチェが入った。
◇
残り300メートルで多くの人が確信したであろう無敗2冠の夢を、最後の最後で打ち砕いた。
シャフリヤールが約10センチ差という
皐月賞馬
エフフォーリアとの紙一重の戦いを制して、栄光のダービー制覇。
共同通信杯(3着)で先着された相手に、最高の舞台で劇的なリベンジを果たした。
管理する藤原英調教師にとっては、2010年
エイシンフラッシュ以来となる2度目のダービー制覇が、かわいがっている福永騎手とのタッグ。「アイツには貸しがいっぱいあるから『どこかで返せよ』と言っていた。それがダービーになって本当にうれしいね。2着で悔しかった
エポカドーロ(18年)の時に勝ったのが福永(
ワグネリアン)。今回は福永とチームで勝てた。こういう巡り合わせもドラマとしていいのでは」と喜んだ。
無敗の
皐月賞馬
エフフォーリア、牝馬の
サトノレイナスが強いのは、トレーナーも十分承知していた。だが、
シャフリヤールも前走の
毎日杯を日本レコードタイで制した実力馬。「乗りやすくて器用な馬。条件さえそろえばやれると思っていた。
毎日杯後にもう少し成長してくれればと思っていたが、筋肉の張りが良くなったし、初めて東京に来た
共同通信杯の時より落ち着いていて精神面の成長が大きかった」と自信を持って挑んだ。
レースは最初のコーナーまでに中団の位置を確保できたが、そこからペースが一気に落ち、馬群でタイトな競馬をしいられる苦しい展開。同じく中団にいた
エフフォーリアは直線で進路がスムーズにあいて抜け出す中、
シャフリヤールは馬群に阻まれて追い出しが遅れる形になった。それでも信頼する愛馬は諦めなかった。「抜け出した
エフフォーリアを見てすごい馬だと思ったが、ウチの馬も途中からグッと伸びてきた」。残り400メートルで進路があくと闘志に火がつき、驚異的な末脚を繰り出した。
「ダービー馬として、息の長い、ファンに愛される馬に育てていきたい」
無敗のライバルを破って世代の頂点に立った
シャフリヤールが、馬名の由来通り『偉大な王』への道をまい進する。(板津雄志)
★30日東京11R「
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シャフリヤール 父
ディープインパクト、母ドバイマジェスティ、母の父エッセンスオブドバイ。黒鹿毛の牡3歳。栗東・
藤原英昭厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。戦績4戦3勝。獲得賞金2億8208万5000円。重賞は2021年GIII
毎日杯に次いで2勝目。
日本ダービーは
藤原英昭調教師が2010年
エイシンフラッシュに次いで2勝目。
福永祐一騎手は2018年
ワグネリアン、20年
コントレイルに次いで3勝目。馬名は「偉大な王(ペルシャ語)」。
■
藤原英昭(ふじわら・ひであき) 1665(昭和40)年6月29日生まれ、55歳。滋賀県出身。2000年に調教師免許を取得し、翌01年3月に厩舎開業。同年の
京都新聞杯(
テンザンセイザ)で重賞初制覇。08年
ヴィクトリアマイル(
エイジアンウインズ)でGI初制覇。07年、08年、13年に最高勝率調教師、18年に最多勝利調教師に輝く。30日現在、JRA通算766勝。重賞はGI11勝を含む59勝。
【アラカルト】●
藤原英昭調教師…JRA・GIは2019年
高松宮記念(
ミスターメロディ)以来、通算11勝目。JRA重賞は通算59勝目。●
ディープインパクト産駒…18年(
ワグネリアン)、19年(
ロジャーバローズ)、20年(
コントレイル)に続く、4年連続での勝利で、通算7勝目。同一種牡馬による4連覇は史上初で、通算7勝はトウルヌソル、サンデーサイレンスを抜き、史上最多勝利となった。JRA・GIは今年4勝目、通算64勝目(J・GI1勝を含む)。JRA重賞は通算262勝目。●馬主…(有)サンデーレーシング 15年(
ドゥラメンテ)以来の勝利で、金子真人ホールディングス(株)(金子真人氏名義を含む)に並ぶ最多の4勝目。JRA・GIは通算62勝目(J・GI2勝を含む)。JRA重賞は通算202勝目。●生産牧場…ノーザンファーム JRA・GIは今年6勝目、通算168勝目(J・GI3勝を含む)。JRA重賞は通算694勝目。●着差…ハナ差の決着は16年(1着
マカヒキ、2着
サトノダイヤモンド)以来、通算10回目。●レースレコード…勝ちタイムの2分22秒5は、19年に
ロジャーバローズが記録した2分22秒6を0秒1更新するレースレコード。●
毎日杯優勝馬の
日本ダービー制覇…04年(
キングカメハメハ)、08年(
ディープスカイ)、13年(
キズナ)に次ぐ4頭目。
毎日杯から
日本ダービーに直行した馬の勝利は史上初。●レースの間隔…グレード制が導入された1984年以降、中63日での勝利は、96年
フサイチコンコルド(中84日)に次ぐ2番目の長さ。
◆「ダービーデー馬連」結果…30日の東京、中京競馬の全24レースの馬連を対象に、通常の払戻金に売上の5%相当額を上乗せして払戻しを行う「ダービーデー馬連」の上乗せ合計金額は、3億1505万4700円となった。うち、
日本ダービーでの上乗せ額は1億6073万4120円。
◆売り上げ、入場者数…
日本ダービーの売り上げは250億7589万6600円で、前年比107・4%。入場人員は4944人(うち有料入場4367人)だった。
◆国歌独唱…
日本ダービーの発走前に音楽家の広瀬香美(55)が国歌独唱を行った。「貴重な機会に国歌独唱できたことをとても光栄に思います。お越しになれなかった方々や、全国各地でごらんになられている皆さまへ思いが伝わるよう、心を込めて歌唱させていただきました。数々の重圧の中、勝利を手にした
シャフリヤールの力強さ、レースの迫力に心から感動しました」とコメントした。