種牡馬2025年1月11日
【種牡馬的イマジネーション】レイデオロ 逆境を覆す産駒は出現するか?クセ強な傾向を持つ良血サイアー
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執筆者:霧
ウマニティ公認プロ予想家。レース研究で培った独自の血統イメージに加え、レース戦績や指数等から各馬の力関係・適性を割り出す”予想界のファンタジスタ”。23年1月、長年の活躍が認められ殿堂プロ入りを果たす。
レイデオロ

父:キングカメハメハ
母:ラドラーダ 母父:シンボリクリスエス
鹿毛 2014年産生 安平町産
通算成績:17戦7勝


レイデオロの主な勝ち鞍
日本ダービー天皇賞(秋)(G1)
ホープフルS神戸新聞杯オールカマー(G2)


レイデオロの主な産駒
サンライズアーストロヴァトーレアドマイヤテラミナデオロムルソー


レイデオロ産駒の特徴
・基本的には芝向きだが、母系を生かす傾向も。ダート色の濃い母を持つ馬はダートでも走る。
・極端なまでに良績が牡馬に集中。牝馬は本当に走らない。
・スピード感のない産駒が多く、短距離適性は絶望的。マイル以上で成績が上がってくる。




 競馬ファンである皆様の中には、POGに参加したことがある方も多いだろう。

 筆者もウマニティPOGには毎年参加し、指名馬選びに頭を悩ませているが、2023年〜2024年シーズンにおいてやたらと存在感を放っていた新種牡馬がいた。それが今回取り上げるレイデオロだ。



 ダービー馬という分かりやすい現役時代の実績があり、3代母はウインドインハーヘア。そう、あのディープインパクトの母だ。

 ディープインパクトと同じ母系出身で大種牡馬キングカメハメハが父というキラキラした良血ぶりに加え、日本国内に溢れるサンデーサイレンスの血を一滴も持っていないという配合のしやすさもあって、本馬はスタッドイン直後から相当な人気を誇った。初年度に血統登録された産駒は128頭にも上り、これは同期の新種牡馬の中でも抜けた数字。当然のように良血の繁殖牝馬も多く用意され、POG関連の情報媒体における取り上げ方も大きかった。

 同父のルーラーシップロードカナロアドゥラメンテらと同様、レイデオロもまた父の血を大きく広げていく役割を担うのだろう……と、ポジティヴな気持ちで産駒デビューを待っていた方も多かったはずだ。


 しかし、簡単に筋書き通りにならないのが競走馬や血統の難しさ。

 大きな期待を持ってターフに乗り込んだレイデオロ産駒は、実戦において意外なくらいの苦戦を強いられた。

 スピード感に欠ける馬が多く、短めの距離のレースが多い2歳戦前半は壊滅状態。気難しく、血統の良さを全く出せないという馬も多かった。

 マイル〜中距離のレースが増えるにつれて勝ち上がり馬も増えてはきたが、重賞やG1での好走を明確に意識できるほどのスケール感を醸し出す馬は皆無で、当初の期待の高さには全く届かない結果となってしまったのだ。



 その中でも危機的な状況と言えたのが、”極度の牝馬の不振”であった。

 上級馬が牡牝どちらかに偏りやすいという傾向を持つ種牡馬は珍しくないが、本馬の産駒傾向は完全に牡馬優勢。いや、優勢どころか”牝馬は全く走らない”と書いていいレベルの成績差が出ている。ここまで極端な産駒傾向を示す種牡馬というのも珍しい。

 牡馬はちらほらと上級条件に駆け上がる馬が出てきており、サンライズアースがダービーで4着、トロヴァトーレもマイル近辺の距離で軌道に乗ったし、アドマイヤテラも中長距離路線で長く活躍しそうな気配がある。

 母系にダート血統を持つ母からはムルソーのようなダートの大物候補も出ており、キングカメハメハ系らしく母系の血を生かす面も見せている。


 だがそれでも、種牡馬としての本馬の現状はあまり芳しくない。

 初戦度産駒の不振、牝馬の大不振、スピードのなさといった要素が嫌われ、2024年の種付け数は39頭と激減。前年まで150頭近くの繁殖を集める人気だったことを思うと、あまりに急激な落ち込みだ。

 質、量共に豊富な2〜4年目の産駒の中に、逆境を覆す大物が眠っているかどうか。

 血統の良さは誰もが認めるところで、大物登場の可能性はゼロではないだけに、なんとか意地を見せてほしいものだ。

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