NHKマイルCが9日、東京競馬場で18頭によって争われ、ルメール騎乗で2番人気の
シュネルマイスターがハナ差で差し切り、3歳マイル王に輝いた。外国産馬による優勝は2001年
クロフネ以来20年ぶり。2着に7番人気
ソングラインが入り、1番人気
グレナディアガーズは3着。3番人気
バスラットレオンはスタート直後に騎手が落馬し、競走を中止した。
最後まであきらめない“ゲルマン魂”で、ハナ差の激戦をものにした。レースレコードに0秒2差の高速決着を制したのは、ルメール騎手が導いたドイツ産馬の
シュネルマイスター。かつて“(外)のダービー”とも呼ばれた一戦に、20年ぶりの外国産馬Vをもたらした。
「最後、(2着の)
ソングラインがちょっと内にモタれたので、
シュネルマイスターにラストエフォート(奮闘)をお願いしたね。“あともうちょっと、頑張ってください”と言った。彼も“はい”と言ってました」
今年2度目のGI勝ちを決めたルメール騎手は満面の笑みだ。世界を知る名手らしく「ドイツの馬は血統が良くて、すごくタフ。きょうの
シュネルマイスターにもそれが見られた」と頑張りをたたえると、ドイツの歴史的名牝を引き合いに出して将来性にも太鼓判。「デインドリームは2歳時にフランスの小さい競馬場で走っていたのに、その後に
凱旋門賞を勝った。
シュネルマイスターはまだ(体が)柔らかくて子供っぽい。もうちょっとタフになったら、もっともっと強くなれる」と今後に期待を込めた。
弥生賞ディープインパクト記念で2着となり、
皐月賞の優先出走権を獲得しながらのマイル参戦に「きょうはすごいチャレンジだったと思うので結果が出て良かった」と手塚調教師は感無量の面持ち。「日本にない血統なので、GIという勲章が手に入って、彼の今後は明るくなったと思う。秋もマイルで走らせるのが、一番いいパフォーマンスを発揮できるのかなと思います」と秋に備える方針も明かした。
父が欧州でマイルGIを4連勝したキングマンで、母はドイツオークス馬。将来は種牡馬としての成功も期待される舶来の若き才能は、今後もマイル路線を軸に天賦のスピードに磨きをかけていく。 (内海裕介)
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シュネルマイスター 父キングマン、母セリエンホルデ、母の父ソルジャーホロウ。鹿毛の牡3歳。美浦・
手塚貴久厩舎所属。ドイツ産。馬主は(有)サンデーレーシング。戦績4戦3勝。獲得賞金1億4838万2000円。重賞は初勝利。
NHKマイルCは
手塚貴久調教師が初勝利、クリストフ・ルメール騎手は2016年
メジャーエンブレムに次いで2勝目。馬名は「スピードの名人(ドイツ語)」。
≪アラカルト&売り上げ≫
★ドイツ産(外)馬のJRA・GI初制覇…外国産馬による優勝は2001年(
クロフネ)以来20年ぶりで、ドイツ産(外)馬のJRA・GI制覇は初めて。
★キングマン産駒…初出走で初勝利。JRA・GIではこれまで
桜花賞(
エリザベスタワー)の13着が最高で、延べ2頭の出走で初勝利。
★最少キャリアV…4戦目での制覇は12年
カレンブラックヒルに並ぶ最少キャリア。
★同一馬主による1~3着独占…1着
シュネルマイスター、2着
ソングライン、3着
グレナディアガーズと(有)サンデーレーシングの所有馬が上位独占。同一馬主によるJRA・GIの1~3着独占は12年
ジャパンC(1着
ジェンティルドンナ、2着
オルフェーヴル、3着
ルーラーシップ)以来、史上2回目。
★
手塚貴久調教師…管理馬延べ6頭の出走で初勝利。JRA・GIは昨年の
天皇賞・春(
フィエールマン)以来の7勝目で、18年から4年連続のJRA・GI勝利。
★着差…ハナ差の決着は00年(1着
イーグルカフェ、2着
トーヨーデヘア)以来、21年ぶり2回目。
◆売り上げ…
NHKマイルCの売り上げは152億4582万300円で、前年比108・9%だった。
★9日東京11R「
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