グリーンセンスセラさんの競馬日記

>>ギャンブル15年続けた男の財布

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15年間ギャンブルで食った男の「スゴい財布」 こんな財布を君は見たことがあるか
東洋経済オンライン / 2018年4月19日 8時0分─ 東洋経済オンライン / 2018年4月19日 8時0分 https://toyokeizai.net/articles/-/217203


毎日持ち歩き、おカネの出入り口となる「財布」。そこには、その人のおカネへの向き合い方やマネー哲学が表れがちだ。当連載では、話題の起業家や投資家など一流といわれる人たちが愛用する財布を、それぞれのマネーストーリーと合わせて紹介する。

連載2回目は、「プロギャンブラー・のぶき」こと、新井乃武喜氏(以降、のぶき氏)。少し光沢のある真っ赤なシャツで現れたのぶき氏は、「ギャンブルで稼いだおカネだけで、世界中を旅してまわる」生活を15年間も続けた浮き世離れした人物だ。

そんな彼が使う財布は、まさにその生き方を象徴する、財布の概念を根本から覆すような代物だった。まずはこの勝負師が過ごした希有な半生をたどってみよう。

■大学時代にバイトで月収80万円
のぶき氏は高校卒業後、2浪して大学に進学。大学時代は学業よりも、ひたすらアルバイトに邁進する日々だった。

手掛けたバイトは警備員、NHKの受信料の徴収員、BSアンテナを設置している家を見つける“BSウォッチャー”、サッカースタジアムでの物売り、などなど。寝る間を惜しんでこれらを掛け持ちし、月収は40万円を下ることがなかったという。学生時代の最高月収は、夏休みに記録した80万円。

大学3年の頃からは卒業後の起業を目標に、バイト活動にますます精を出す。大学を卒業して1年が経った頃、貯金は1000万円に到達した。結局、起業には至らなかったものの、あるものがのぶき氏の運命を変えた。

そう、ギャンブルである。

「大学の卒業旅行でラスベガスのカジノに行ったんです。それまでギャンブルには興味がなかったのですが、せっかく行くのならギャンブルというものを徹底的に味わおうと思いました。友人たちが観光を楽しむのを尻目に、自分は睡眠も惜しんで1日20時間近くもカジノに入り浸りました」

かくして、ギャンブルの女神はほほ笑んだ。

「軍資金は、貯金からの80万円。ギャンブルを体感することが目的だったので、最悪全部なくなってもOKと考えてガンガン勝負しました。結果、ビギナーズラックもあり、トータルで20万円のプラスとなりました」

さらに翌年、前年のあのエクスタシーをまた味わおうと、ラスベガスを再訪する。2度目の勝負だ。

「この時は100万円の軍資金が倍の200万円になりました。前年に勝った20万円分は最悪失ってもOK、という心の余裕が逆によかったのかもしれません。とはいえ、1回50万円の賭けに勝って、100万円が目の前にドンと置かれた時は、手がカタカタと震え、数えることができませんでした。これがカネの魔力か、と」

■プロギャンブラーになることを決める

すっかりギャンブルに魅せられたノブキ氏は、ギャンブルだけで生計を立てる“プロギャンブラー”となることを決意し、貯めた1000万円を元手に単身ラスベガスへ渡る。しかし、ここでノブキ氏の前に壁が立ちはだかる。いや、それは壁というより、地獄に近かったという。

種目をブラックジャックに絞り、カジノ近くの宿にこもって専門書を読みあさった。そして、本に書いてあるセオリーを基に1人でディーラーとプレーヤーをこなすバーチャルプレーに挑むが、何度やっても確実に勝てる必勝法を編み出せない。気づくとその検証作業に1年半も費やしていた。

「最後のほうはストレスで精神状態がかなり危うくなりました。ある日、部屋の向こうで人の声がするので行ってみると、鏡の中の自分がひっきりなしにしゃべっている……。これはまずいと思い、いったん作業を中止して日本に引き上げました」

しかし日本に戻って約3カ月後。突如、ひらめきが訪れる。「これだけ本に書いてあるセオリーどおりにやっても勝てないんだから、逆にセオリーと真逆のことをやってはどうだろう」。

すぐにノブキ氏は、いくつかあるブラックジャックのルールの中でも、勝ち続けるのが不可能と位置づけられているルールを採用するニューオリンズのカジノに飛び、これまで積み上げてきた理論を試してみる。

すると、時間が経過するごとに元金がじわじわと確実に増えていき、持参した100万円は3日目に200万円となった。そしてついには勝ちすぎてカジノから追い出されてしまう。「プロギャンブラー」という世にもまれな職業が誕生した瞬間だった。

以降は、カジノを転々とし、追い出されるまでブラックジャックをやり続ける日々に。おおよそ3カ月で1年分の生活費を稼ぎ出し、残りは旅に費やすという暮らしを何年にも渡って続けた。

■30歳でポーカープレーヤーに転身
それにしても、だ。ギャンブルに必勝法など本当に存在するのだろうか? たとえば、カードを引いていき数字の合計が21に近い者が勝つというブラックジャックの場合、やれることといえば、次のカードを引くか引かないかを決めることくらいしかないように思えるが……。

「ギャンブルは確率と統計の世界、要は数学なんです。たとえば全部で52枚あるトランプを使ってブラックジャックをするとして、最初のゲームで26枚を使ったとする。ゲームが終わってカードが回収される時に、出た札をすべて記憶するんです。
そして次のゲームの時には、何が何枚残っているかを踏まえて勝率と賭ける金額を計算します。たとえば『エースは4枚残っているから、この局面での勝率は51%。それなら持ち金の2%の2万円を賭けよう』といった具合です。

そうした計算を、数秒の間で瞬時に行う。ただし、数学のエキスパートじゃないとできないのかというと、決してそうではない。正直、訓練すれば誰でもできるようになります。まあ、僕はそれに丸2年かかりましたし、途中で気がおかしくならなければ、という条件付きです(笑)」

のぶき氏は30歳を過ぎた頃、種目をブラックジャックからポーカーに切り替える。「実はポーカーのほうが稼ぎやすいんです。なぜかというとブラックジャックは戦う相手がカジノのディーラーであるのに対し、ポーカーの相手は基本的に一般のお客だから。事実、ポーカーのプロはプレーヤー人口の1%近くもいると言われます」。

こうしてのぶき氏は、ギャンブルで稼いだおカネだけで生計を立て、世界中を旅してまわるという生活を続け、それは結局15年間にも及んだ。訪れた国々は、5大陸・計82カ国にも上る。

その後、2012年にギャンブラーとしての活動にいったん区切りをつけ、日本に帰国。以降はシェアハウスを拠点としながら執筆や講演、メディア出演などの活動に勤しんでいる。

では、そんなのぶき氏が使う財布とは、どんなものなのか。いざポケットから出てきたそれは、想像のはるか先をいく代物だった。

■スマホもバッグも持たない男の“財布”
これ以上に独創的な財布は、後にも先にも出てこないかもしれない。のぶき氏が愛用するのは、メモ帳とペンをゴムで束ね、その間に紙幣を挟み込むという無二の“財布”だった。主要な素材は紙で、形状は強いていえば長財布。財布の定義を「おカネを入れて持ち運ぶもの」とするなら、これも立派な財布だ。とても先鋭的な。

「4~5年前からこのスタイルに落ち着きました。日本に帰ってきてからは大金を持ち運ぶこともないので、これで十分なんです。実は僕は携帯電話を持っておらず、カバンも持ち歩きません。すべてこれ1つで済んでしまうからです。だから僕はこれを、未来のiPhoneということで“iPhoneXX”と呼んでいます(笑)」

普段持ち歩くおカネは、“落としてもショックのない金額”ということで、4万円ほど。一見無防備にも見えるが、これまで落としたり盗まれたりしたことはないという。会計はなるべくSuicaで払い、小銭が出ないようにする。それでも出てしまった小銭はポケットに入れるか、少額なら募金する。

財布には、メモ帳とSuica以外にも、名刺、銀行のキャッシュカード、テレフォンカード、大事な人の電話帳、サービス券、昔のパスポートの切れ端、電車の運行表なども収納されている。キャッシュカードは、今ではレアとなった旧さくら銀行のもの。今でもちゃんと使えるという。

サービス券やポイントカードのたぐいは持たない主義だが、よく行く「かつや」の100円引き券だけは例外的に持つ。運転免許証も保険証も持たないため、証明用に古いパスポートの切れ端を持ち歩く。

メモ帳には人生の目標、1年の目標、2週間のスケジュール、今日やることなどが書いてあり、何かひらめいたときにもサッと書き込む。それらを束ねているのは、よく行くオリジン弁当でもらう輪ゴムだという。

一見すると、ただカオスなだけにも感じられる財布だが、そこには、のぶき氏のギャンブル観や生き方、ひいてはおカネを稼ぐための哲学が詰まっているといっても過言ではない。

■「今、ここ」に、リソースのすべてを投じる
このような財布スタイルに至ったのには、実は理由がある。

「人間の脳みそにはすごい力が備わっています。過去のデータと現在の状況をすり合わせ、つねにベストの答えを計算してくれているんです。時にそれは直感やひらめきという形で表れます。そんな脳のすばらしい機能が余計なことに費やされて鈍らないよう、僕は持ち物をこんなふうにシンプル化しているんです。

携帯電話を持たないので、着信音やSNSに煩わされることがない。ポイントカードを持たないので、『◯◯円以上の買い物をしよう』『今月中にあそこに行かなくては』などと考える必要がない。持ち物はこれ1つだから、物をなくす心配も少ない。こうして僕は脳みそのリソースのすべてを、目の前の“勝負”に注ぎ込んでいるんです」

おカネを稼ぐための極意もまさしくここにあるという。

「僕がやっていたギャンブルは、1~2分おきにおカネを投じて勝負し続け、元手を増やしていくというもの。今ビジネスでやっていることも同じで、毎回毎回が勝負です。だから何か人に依頼されたら、倍返しではないですが、つねに頼まれた倍以上のことをしようと入念に準備します」

実際、取材の日ものぶき氏は、財布の中に話す内容をびっしりと書いたメモを入れていた。

iPhoneが余計なものをスパッと削ぎ落としたガジェットだと考えると、確かにのぶき氏の財布は、そのコンセプトを極限まで進化させた“究極のiPhone”なのだという気にもなってくる。すべての持ち物を手のひらサイズに一括化し、余計な通信機能を一切排除した、超進化型ガジェット。それは電池切れの恐怖から人を解放し、コンピューターウイルスの脅威とも無縁だ。

そんなのぶき氏は現在、ボランティアと政治家を組み合わせた「ボランティア政治家」を目指し、鋭意準備中だという。新たな挑戦でも、持ち前の独創力は発揮されるだろうか。

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