グリーンセンスセラさんの競馬日記

JRAは降着制度を見直すべき

 公開

333

JRAは"浜中俊問題"を機に降着制度を見直すべき。世界一「馬券が売れる国」だからこそファンが納得できる「日本の競馬」に適した独自ルールの再建を 文=浅井宗次郎─Gambling Journal ギャンブルジャーナル/2017年03月13日 08時30分00秒 http://biz-journal.jp/gj/2017/03/post_2832.html


 12日に行なわれた桜花賞トライアル・フィリーズレビュー(G2)は、何とも後味の悪い決着となってしまった。
 優勝したカラクレナイに関しては重賞初制覇となった松下武士厩舎、これで6週連続メインジャックとなるM.デムーロ騎手ら関係者には、ただただ賛辞の言葉しかない。デムーロ騎手が桜花賞(G1)ではアドマイヤミヤビに騎乗予定があるため、本番でこのコンビが見られないのが残念という程度だ。
ただ非常に残念なことに、このレースの"主役"になったのは勝者ではなかった。
 最後の直線で、一度は先頭に立った浜中俊騎乗のレーヌミノルが内側に斜行。大きな不利を受けたジューヌエコール、フラウティスタを始め、多くの馬に小さくはない被害を与えたまま2着に入線した。
 残念だが、鞍上の浜中騎手に酌量の余地はない。騎乗停止8日間(競馬開催4日間)の騎乗停止は然るべき処分だ。昨年のマイルCS(G1)から「再び」という声もある。あれから約4カ月空いているが、昨年23日間の騎乗停止という重い処分を受けた浜中騎手からすれば実質3カ月。ファンの注目度の高いメインレースでまたやってしまったことに「運がない」といのは「甘い」と述べざるを得ないだろう。
 無論、故意でないことは明らかだが、技量不足が招いた結果ともいえる。無言を貫いたその後のマスコミ対応も含め、プロである以上、それは失態に他ならない。
 ただ、浜中騎手の騎乗ばかりにスポットが当たっているが、当初の「JRAの対応」にも大きな疑問符を付けざるを得ない。
 あれだけの明確な斜行が目撃されながら、何故「審議のランプ」が点灯しなかったのか。勝ったカラクレナイには一切関係ないものの、不利を与えたレーヌミノルは2着、最も大きな不利を受けたジューヌエコールは4着と、レースの結果に大きな影響を及ぼす着順で入線を果たしている。

次のページ 馬券を購入しているファンにも大きな影響があった

 2013年より「世界基準に足並みをそろえる」という名目で、大きく変更された現在の降着制度は、変更から4年が経つが未だに何度も大きな議論を呼んでいる。審議ランプに関しても、以前は全着順が対象だったが、現在は掲示板となる5着以内に入線した馬が点灯対象となっており、今回の件は紛れもなく点灯すべきシーンだった。
 特にこのフィリーズレビューは、3着までに桜花賞(G1)への優先出走権が与えられるトライアルだ。
 馬主や関係者にとっても生涯一度の晴れ舞台への切符が懸かった重要なレースであり、1着、2着だけでなく、3着と4着にも大きな意味が生まれる。今回の審議はそういった馬たちが対象になっている。レーヌミノル、ジューヌエコールともにすでに重賞を勝っており、出走権の重要性が薄いことは、あくまで結果論に過ぎない。率直に述べてJRAの運がよかっただけだ。
 また、当然ながら2着馬のレーヌミノルが審議対象になっている以上、馬券を購入しているファンにも大きな影響があったことは述べるまでもない。
 その上で審議のランプを点灯せずに、最終的に公式ホームページ上で結果だけを伝えるやり方は、現地で観戦していたファンを中心に「顧客を蔑ろにしている」といわれても仕方がない。結果的に降着がなくレースが確定し、到達着順通りに払い戻しが行なわれたから問題なしというわけではないはずだ。
 その上で、本件の元凶となっているのは、やはり「不透明」といわれても仕方のない現行の降着制度に他ならない。確かに競馬パート1国として、世界基準を満たすことの重要性は理解できる。だが、競馬に限らず他の多くの国際基準や協定が一定の共通項を順守しながら、それでも各国の独自性を必要に応じて維持しているように、日本には日本の競馬がある。

次のページ 旧ルールと新ルールの長所を上手く取り込んだルールが不可欠?

 その象徴たる点は、やはり日本の競馬がギャンブルとして成り立っている面が非常に強いからだ。現行の降着制度を推奨する国際競馬統括機関連盟の中心となるフランスやイギリスといった欧州各国の競馬以上に、ファンが馬券を通じて資金を投資する傾向がある以上、必然的に顧客全体の重要度は増す。
つまり、日本競馬には他国よりも投資者がより納得できるような厳正、かつ公正なる商品(レース)を提供する必要性と責任があるということだ。
 
 その責任を果たす上で、現行の降着制度が不十分である可能性が極めて高いのは、2013年以降の4年間で数々の立証が成されたのではないだろうか。
 もとより日本が現行の降着制度に変更したきっかけは、日本の従来の降着制度が「世界基準に対して厳しすぎる」というものだった。だが、例えそれが事実であったとしても、他国と比較しギャンブルという側面が極めて強い日本競馬を管理するルールとしては、従来のままでもよかったのではないかという疑念は拭えない。
 無論、"旧ルール"採用時にも降着制度は何度も大きな波紋を呼んできた。しかし、「やったもん勝ち」とさえ囁かれる現状は、それ以上に深刻な問題を抱えている気がしてならない。
 いきなり旧ルールに戻すことは、現実的に考えて難しい。だが、今回の浜中騎手の一件を契機に、今一度現行の降着制度を見直す必要性が高まっていることは紛れもない事実だ。
 したがって、旧ルールと新ルールの長所を上手く取り込み、独自の文化を持つ日本競馬にアジャストした降着制度に改めることは、今のJRAに課せられた急務ではないだろうか。"不可解な理由"でファンが離れる現状に手を打たないのは、自分たちの首を絞めているだけだろう。
(文=浅井宗次郎)

この日記へのコメント

コメントはありません。

関連競馬日記

新着競馬日記

人気競馬日記