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JRA和田竜二・騎乗停止の「原因」は年齢!? 苦悩の"お人好し騎手"にとって、きさらぎ賞ダノンマジェスティ以上の「痛恨」とは─ Gambling Journal ギャンブルジャーナル/ 2018年1月31日 15時0分

 先週の競馬ではC.ルメール騎手が騎乗停止となり、今週の東京新聞杯(G3)で復帰するアドマイヤリード、来週の京都記念(G2)に出走するレイデオロなどの騎乗ができなくなったことが大きな話題を呼んだ。

 ただ、その一方で同じように2週間の騎乗停止を食らった人物がいる。和田竜二騎手だ。

 27日、ルメール騎手が6勝と大暴れした東京ではなく、京都で騎乗していた和田騎手だったが9レースの梅花賞(500万下)で斜行。ルメール騎手と同様に、和田騎手も昨年末に受けた騎乗停止処分から復帰したばかりであり、短期間における不注意騎乗と2人仲良く2週間の騎乗停止処分を食らっている。

 この処分によってルメール騎手がアドマイヤリードやレイデオロなどに騎乗できないことが話題となったが、同じく和田騎手も今週のきさらぎ賞(G3)で本命視されているダノンマジェスティだけでなく、京都記念に出走を予定しているミッキーロケットにも騎乗できないなど、なかなか"重い"処分となっているようだ。

 東京と京都の違いこそあったが、2人とも同じ芝2400mで行われた3歳500万下でのアクシデント。ただ、同じ騎乗停止処分でも2人の結果は対照的だった。

 東京4レースで1番人気のギャラッドに騎乗していたルメール騎手だったが、最後の直線で内側に斜行。2着馬ブラックデビルに、もたれかかる様な格好のままゴールした。しかし、ルメール騎手はきっちりとハナ差で勝負をモノにして3連勝目。この日4連勝を含む、6勝を上げている。

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 一方で京都9レースのエタリオウに騎乗していた和田騎手は、最後の直線入り口で内側に斜行。サトノワルキューレやシースプラッシュなどの進路に影響を与えながらも、懸命に立て直してのゴール。ただ、勝負は武豊騎手のメイショウテッコンとのハナ差の勝負をモノにできずに2着だった。ちなみに和田騎手はこの日、未勝利。今年まだ1勝止まりと苦しんでいる。

「もちろん、両騎手とも短期間での不注意騎乗の繰り返しは褒められたものではありませんし、2週間の騎乗停止処分も妥当だと思います。ただ、同じ騎乗停止のもらい方でも、両者は対照的でしたね。

同じように最後の直線で内側に斜行してしまった両者ですが、ルメール騎手は外側からムチを入れており、馬が内側に大きくよれた後もまだムチが入ったままでした。勝負に勝つために全力を尽くした結果ですが、穿った見方をすればもう少し斜行の影響を小さくすることができたようにも思えます。ただ、結果的に勝ってしまうのは転んでもただは起きない、勝負師としての貪欲さが感じられました。

一方の和田騎手は馬が内側によれる気配を見せた時から、ムチを持ち替えると重心を外側に傾けて内側からムチを入れるなど、懸命に斜行を防ごうとしています。ただ、立て直しを重視した結果、ハナ差及ばずの2着。無論、騎手として安全面を重視した和田騎手の騎乗は、審議対象となってしまった中でも情状酌量の余地があると思います。ですが、勝ちを求められる勝負師としては、複雑な結果となってしまいました」(競馬ライター)

 ルメール騎手だけでなく、ライバルであり良き親友のM.デムーロ騎手も日本人騎手ではなかなか見られない抜群の勝負強さを誇る一方、審議対象の常連となっていることが度々問題視されている。

 ただ、競馬は勝負の世界であり、最終的には過程よりも結果。その是非はさておき、過程は結果が出て初めて注目され評価されると述べても過言ではないのが今の競馬だ。

🐎次のページ 「何かが欠けている…欠けているピースにならなければ」

 そういった面で毎年リーディング争いをしているルメール騎手やデムーロ騎手は、紛れもなくJRAで1、2を争う騎手といえるだろう。無論、和田騎手も一流のジョッキーだが、この2人よりも上と答える人は少数派だ。

 和田騎手は昨年のエリザベス女王杯(G1)で、主戦を降板させられたモズカッチャンとの叩き合いにクビ差敗れた際、ゴール後、自分に替わって騎乗していたデムーロ騎手に「おめでとう」と声を掛けたという。

 その行為自体は、スポーツマンシップに溢れる素晴らしいものとして多くのファンに感動を与えた。称賛されるべき姿勢であり「騎手の鏡」といえるだろう。

 ただ、その一方で和田騎手にとっては、2001年のテイエムオペラオーによる天皇賞・春以来16年ぶりのJRA・G1制覇を、あと一歩で逃したことは紛れもない事実。自分が降ろされた馬に勝たれて、悔しくないはずがないのだ。

 実際に和田騎手はレースが終わった当日深夜、自らの公式Twitterを通じて「何かが欠けている...欠けているピースにならなければ...自分を変化させなければ...自分のマインドマップは完成されない...」(原文まま)と呟いている。

「あくまで個人的な感想ですが、和田騎手は誰もが認める人格者で多くのファンに愛されていますが、騎手として勝負の世界で生きるにはお人好し過ぎるのかもしれません。和田騎手の"つぶやき"は、そんな自身への迷いや心情を表しているように思えました。

実際にルメール騎手やデムーロ騎手に限った話ではなく、例えば武豊騎手も一流のエンターテイナーであり、人格者である中でも勝負における負けず嫌いな面や、激しさは時折見せています。良い人のまま勝てるのが一番良いことは間違いないですが、結果を見れば、そんな"綺麗事"が通用する世界ではないのかもしれません」(同)

🐎次のページ 和田竜二騎手自身が「先生がいなければ今の自分はなかった」と話す師匠の大記録

 また、和田騎手にとって今回の騎乗停止は、いつにも増して痛恨だ。師匠であり、JRA通算500勝を達成できるか否かの瀬戸際に迫っている岩元市三調教師が、今年の2月一杯で定年引退となるからだ。

 節目の500勝まであと3勝と迫っているが、今年まだ未勝利。調教師だけに出走回数も限られ、そう易々と達成できるものではない。

 若き自分をテイエムオペラオーの主戦に据えるなど、和田騎手自身が「先生がいなければ今の自分はなかった」と話す師匠の大記録だけに、和田騎手も昨秋には「500勝は達成してほしい」と自ら貢献を名乗り出ていた。

 そういった中での騎乗停止は和田騎手にとって、痛恨の極みであることは述べるまでもない。騎乗停止処分が明けるのは2月半ば、場合によってはギリギリの攻防になる可能性も出てきた。

 1977年生まれで今年、本厄を迎えている和田騎手。ここまでの2018年は、まさにそのジンクス通りとなってしまっている。

 昨年末の騎乗停止処分の際、ルメール騎手はニューカレドニアにバカンスに行っていたそうだが、和田騎手はとりあえずお祓いに行った方がいいのかもしれない。

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