グリーンセンスセラさんの競馬日記

【徹底考察】アウォーディー

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【徹底考察】JBCクラシック(G1) アウォーディー「ダート界に突如として現れた最強のチャレンジャー『現王者』コパノリッキーとの力関係は?」
監修=下田照雄(栗東担当━Gambling Journal ギャンブルジャーナル / 2016年10月31日 7時58分
http://biz-journal.jp/gj/2016/10/post_1677.html

『考察』

 5歳秋に初ダートを使ってからというものの負けなしの5連勝で、ついにダート界の頂に挑もうとしているアウォーディー。

 今となってはダート牝馬戦線で大活躍しているアムールブリエと、米三冠を完走したラニの兄として何故、5歳秋までダートを使わなかったのかという疑問もあるが、父がジャングルポケットで母が天皇賞・秋を勝ったヘヴンリーロマンスでは、まず芝から使い始めてみるのは、ある意味仕方ないだろう。

 しかも、高い素質を持っているアウォーディーは、幸か不幸か芝でも高パフォーマンスを発揮している。

 3歳春の初勝利の次のレースで、ラストインパクトと0.1秒差の競馬で2着すると3着以下を7馬身突き放し、そのまま青葉賞(G2)でも5着に好走。古馬になっても目黒記念(G2)で4着するなど芝でも高いレベルで安定していた。

 ただ、それが出世の妨げになってしまったことは、今の破竹の5連勝を見れば否めないだろう。

 特に圧巻だったのは、ダート転向3戦目の名古屋大賞典(G3)だ。好スタートから2番手をキープすると3コーナーでは前をかわして先頭へ。直線に入る頃には5馬身以上の差がついており、そのまま後続を突き放し続けて地方初見参を圧勝で飾った。

 最終的に2着に付けたタイム差は驚愕の2.4秒。文句なしの大差勝ちである。

 ただし、4戦目のアンタレスS(G3)では単勝1.8倍に推されながらもアスカノロマンに半馬身差、5戦目の日本テレビ盃(G2)もモーニンにアタマ差とじょじょにではあるが、底を見せ始めている感もある。

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 ただ、その一方で日本テレビ盃では3着以下に5馬身、アンタレスSでも3着以下に3馬身差をつけており、その能力が一級品であることに疑いの余地はないだろう。

【血統診断】http://biz-journal.jp/images/awhi-dhi.jpg

本馬が昨年のシリウスS(G3)を勝つまで、ジャングルポケット産駒の重賞勝利はすべて芝コース。ジャングルポケット×サンデーサイレンスという配合にも、天皇賞・春(G1)を勝ったジャガーメイルや毎日王冠(G2)勝ちのエアソミュールなど芝の一流馬ばかりだ。

 ただ、凱旋門賞馬トニービンを父に持つジャングルポケットの産駒の中で、何故アウォーディーだけがダートで活躍しているのかということに関しては、血統的にはある程度の答えが見えている。

 例えば、父ジャングルポケットの母父Nureyevと母ヘヴンリーロマンスの母父Sadler's Wellsは、1999年の凱旋門賞(G1)で2着なったエルコンドルパサーの血統にも含まれている。そして、そのエルコンドルパサー自身は芝ダート兼用で種牡馬としても菊花賞馬のソングオブウインドを送り出す一方で、ダート王のヴァーミリアンが代表産駒となっている。

 さらに父ジャングルポケットの母父Nureyevと母ヘヴンリーロマンスの父サンデーサイレンスの組み合わせでは、ドバイワールドカップ(G1)で2着したトゥザヴィクトリーに、ダート王にして本馬のライバル・コパノリッキーを輩出したゴールドアリュールなどダートの超一流どころが名を連ねているのだ。

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 したがって、アウォーディーの血統は表面的には芝適正が表れているが、血統の随所には高いダート適性を思わせる配合が成されており、下のアムールブリエやラニのように父にダート適性があれば、完全にダートに傾くようだ。

 ダート2100mは初になるが、芝2500mの目黒記念(G2)で4着になるなど距離の心配はない。また、母ヘヴンリーロマンスに流れるサンデーサイレンス×Sadler's Wells×Ribotという流れは、非常に底力を感じさせる組み合わせで大舞台向きといえる。あとは単純に実力が通用するかどうかだ。
≪結論≫

 今回が初のG1挑戦となるが、これまでの走りと血統を鑑みても気後れする必要は何一つないだろう。最大の壁となるコパノリッキーさえいなければ、あっさりG1タイトルを手にしてもおかしくないほどのスケールだ。

 まず、ここまでオークランドRCT(1600万下)、シリウスS、アンタレスSの3戦で中団やや前から競馬をして、名古屋大賞典と日本テレビ盃では2番手からの競馬をしているアウォーディーだが、本番では後者の番手を取りに行く競馬をする可能性が高い。

 それは単純に地方競馬で戦う時は意識的に番手で競馬しているというだけでなく、相手のコパノリッキーがここ3戦すべてで、直線入り口先頭から上がり最速の末脚を繰り出して3連勝しているからだ。

 つまり、後ろから競馬をしてコパノリッキーを捉まえることは、単純に至難の業ということになる。

 無論、そんなことは実際にコパノリッキーでそれを行っていた武豊騎手が最もよく理解しているところ。したがって本番は、アウォーディーがコパノリッキーをマークする形でレースを運ぶ可能性が極めて高い。その上で最終的に競り合いに持っていければ、武豊騎手からすれば勝ち負けに関係なく仕事は果たしたといったところだろう。

 できれば、スタートから最後の直線まで終始マークし続け、王者にプレッシャーをかけ続けたい。現ダート界でアウォーディーがコパノリッキーにとって最強の挑戦者であることは確かだが、現王者は歴代のダート王と比較しても上位に位置するだけの圧倒的なパフォーマンスを見せている。

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 実際にコパノリッキーが勝った帝王賞と、アウォーディーが勝った日本テレビ盃でともに3着だったサウンドトゥルーで比較すると、アウォーディーの1秒差も十分に優秀だが、コパノリッキーは1.7秒差をつけている。それも帝王賞での両者は同斤だったが、日本テレビ盃ではサウンドトゥルーよりアウォーディーの方が2kg軽かった。

 今回は2頭の初対決ということで大きな注目が集まっているが、アウォーディーが越えなければならない壁は極めて高い。あとは鞍上の武豊騎手が、どこまでその差を埋められるかだ。
(監修=下田照雄(栗東担当))

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