グリーンセンスセラさんの競馬日記

「身勝手なサラブレッド殺害」はアメリカでも? サンデーサイレンス最大のライバルを輩出した名種牡馬アリダーの悲運すぎる結末

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牧場経営者による保険金目当ての「北海道サラブレッド射殺事件」の容疑者が逮捕牧場経営者による保険金目当ての「自作自演」か。「北海道サラブレッド射殺事件」全容

「身勝手なサラブレッド殺害」はアメリカでも? サンデーサイレンス最大のライバルを輩出した名種牡馬アリダーの悲運すぎる結末─Gambling Journal ギャンブルジャーナル/2016.07.21
http://biz-journal.jp/gj/2016/07/post_887.html

先日18日、北海道新冠町の「競優牧場」でサラブレッド2頭を射殺した元経営者・榊明彦容疑者が逮捕された。
 北海道警静内署の調べによると、射殺されたサラブレッド2頭には多額の保険金が掛けられており、同時に競優牧場が破産寸前の危機に瀕していたことから、保険金目当ての殺害であったのではないかと目されている。なお、容疑者は容疑を概ね認めているようだ。
 なんとも痛ましい命の冒涜に値する人間の身勝手な事件は、今なお日本の生産界に大きな衝撃を与えている。だが、サラブレッドが人間と同じように、いや、人間以上に多額の保険金を掛けられるケースが多い経済動物である以上、このような事件は何も前代未聞というわけではない。
 アメリカで1977年から79年に掛けてG1を6勝したアリダーは、まさに人間の都合で命を左右された悲運の名馬である。
 日本では大種牡馬サンデーサイレンスの現役時代に、最大のライバルだったイージーゴアを輩出した種牡馬として知られるアリダー。また、1990年の2歳王者リンドーシェーバーの父も、このアリダーだ。
 そんな名種牡馬を管理していたのが、三冠馬サイテーションを筆頭に数々の名馬を輩出した名門カルメットファーム。実際にアリダー自身も種牡馬として大成功し、先述した以外にも二冠馬アリシーバや、ケンタッキーダービー馬ストライクザゴールドなど数々の後継種牡馬を送り出し、1990年にはリーディングサイアーに輝いている。
 だが、そんな順風満帆なアリダーの種牡馬生活とは裏腹に、管理するカルメットファームの経営状態は1988年に競走馬バブルが弾けたのを機に悪化の一途を辿っていた。
 カルメットファームの経営状況の悪化にさらに拍車を掛けたのが、さらなる種牡馬の購入や大規模な設備投資によって重なった莫大な負債である。取引先の銀行にカルメットファームそのものを抵当に出していた経営陣は、多額の負債の返済にいよいよ追い詰められていた。
 そんなおり、名種牡馬として牧場を支えていたアリダーが馬房内で倒れているのをスタッフが発見。本馬の右後脚下腿骨は粉砕骨折していたという。幸い、一命は取り止めたが、翌日にまた同じような個所を骨折し、今度は安楽死処分となってしまった。
 実はこのアリダーの死には謎が多く、一説には莫大な負債に苦しんだカルメットファームの経営陣によって、意図的に抹殺されたのではないかという疑惑が浮上している。
次のページ▶▶▶ 謎の死の真相は……
実際にアリダーには3450万ドル(約37億円)という、一流種牡馬としても破格となる保険金が掛けられている。さらにカルメットファームは、わずかでも資金を稼ぐために人気種牡馬だったアリダーに毎年過剰な数の種付けを行ない、その結果アリダーは数年前から腰を痛めて、種付けを制限せざるを得ない状況にあったことも事実のようだ。
 つまり、カルメットファーム側にはアリダーを抹殺する十分な動機があったということだ。
 結局、カルメットファームはアリダーの死によって3450万ドルの保険金を受け取ったが、牧場経営の立て直しには至らずに破産している。後年、一部の弁護士や関係者によって、アリダーの死に関する調査が行なわれたが決定的な証拠は見つからず、真実は今なお闇の中に消えたままだ。
 いずれにせよ、もしもアリダーがまともな経営状態を保った牧場によって管理されていれば、今頃もっと大きな成功を収めていたことは間違いなく、死に関する事実がどうあれ悲惨な牧場経営に振り回された悲運の名馬であることに変わりはない。
 アリダーの死に関しては、今現在も様々な憶測が飛び交っている。だが、事実の解明よりも重要なことは、このような事件が二度と起こらないよう世界中のホースマンが競走馬の生命に対して、高いモラルを保ち続けることだろう。

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