【JRA騎手最年長G1勝利記録】JRA騎手の最年長G1勝利記録は、56歳3カ月4日。2024年日本ダービーで、横山典弘騎手が記録した。※記録は2025年1月時点何を考えているのかわからないと言われる人がいる。その人は、何かを考えていると思わせる人でもあり、何も考えていないと思われる人より、いくらも魅力的だ。結果に対して、何かを考えているは意図、何も考えていないは偶然であり、仮に低調だとしても、前者に期待を寄せるのが人心と考える。大逃げを打つにしても最後方から運ぶにしても、何も考えていないと映ればほとんど絶望しかない。一方、何かを考えていると映れば希望も生じる。「いや、典さんなら何かあるぞ」と。2024年5月26日、第91回の日本ダービーを制したのは、ダノンデサイルと横山典弘騎手。鞍上は56歳3カ月4日で勝利し、G1最年長勝利記録を更新した。ダービーの勝利は、09年ロジユニヴァース、14年ワンアンドオンリーに続く3回目。JRA所属の最年長騎手は柴田善臣騎手で、横山典弘騎手はその次の年長者にあたる。ダノンデサイルとは新馬戦からコンビを組み、京成杯で重賞初制覇を挙げたが、クラシック初戦の皐月賞はレース直前に競争除外。ダービーは京成杯以来の実戦、9番人気で迎えた。3枠5番からスタートを切ると、押して位置を取りにいく。皐月賞をハイペースで逃げたメイショウタバルが、金曜日に出走を取り消し、逃げ馬のいない組み合わせ。スローペース濃厚と目されるなか、インの4番手につけたのだから、言うことを憚らなければ、何を考えているかわかる典さんだった。1000m通過62秒2と遅く、序盤後方のサンライズアース、次いでコスモキュランダが動く。レースの後半3ハロン33秒8では、控えた馬は苦しく、前につけた組での勝負になる。道中内々を立ち回った横山典弘騎手は、直線もインにこだわる。すると、逃げていたエコロヴァルと内ラチの間に1頭分進路が空く。1頭分進路が空くのだからすごい。何を考えていたのだろうか。残り300mで先頭に立つと、そこからは独走態勢。皐月賞馬ジャスティンミラノに2馬身差をつける快勝だった。レース後のコメント、皐月賞除外の決断やダービーに至る過程、またダノンデサイルとの今後、それらを読むと、当たり前だが、やはり考えている人だとわかる。何より馬のことを考えている。そのほか、ダービーに関わらず、「馬は頑張っている」「馬はよく頑張った」など、短いコメントを出す人だが、それを言うことによって、一体何を言っているのか、と考えさせられる。字面は同じでも、内実が同じとは限らない。何を考えているのかわからない人は、何かを考えさせる人でもあった。