今から35年前、大学で野山を歩くサークルに所属していた。当時は飲みと言えば皆吐くまで飲み、今では危険行為の“一気飲み”も当たり前のルーティン。随分と無茶もしたものだ。「自然の恵みだけで(酒を)飲む」企画では多摩川の鯉を食うことになり、丸子橋の下、釣り糸を手首に巻き付けたメンバーがロダンの「考える人」のポーズでじっと待ち、かかった鯉を手で釣りあげ、公園で捌いて刺し身にし、これを肴に飲み、夜中に次々トイレに駆け込んだ(笑)。 そのサークルの夏の一大イベントに“北海道合宿”があった。何班かに分かれて鍋釜を担いで道内を廻る。レンタカーは使用不可、泊まりは基本テントか駅寝。最終日だけ富良野の旅館に100人を超えるメンバーが集まり、旅の思い出を語り明かした。 ある年、函館で駅寝した夜に飲み過ぎ、二日酔いになった。仲間は朝市のイクラ丼を食べに行ったが私はそれどころではなかった。 数回吐いた後はただ気持ち悪いばかりで胃に何も残っていなかったが、何もない筈の喉の奥にず~っと何かが張り付いて吐いても吐いても出てこない。昼過ぎ友人に「喉の奥にずっと何かが張り付いている。見てくれ」と頼むと彼は大きく開けた口の中を覗き込み、腹を抱えて笑った。 「それは取れないよ。のどち○こが線香花火の先みたいに伸びてる」 “見えない”というのは恐ろしいもので、吐けないものを私は吐こうとしていた。 さて、“見えない”のが原因で伸びたのは私の○○だが(笑)、見えないといえば競馬で、特に2歳戦の力関係は見えにくい。今週土曜中山競馬場のメイン競走は今年最後のG1・ホープフルステークス。見えにくい力関係に断を下す金言を紹介しよう。 曰く「力関係が見えない2歳戦は母父に最強種牡馬を探せ」。 近年日本の種牡馬事情は話題に乏しい。「父ディープインパクト」までは良かったが、これに続く強烈な個性の血は出ておらず、エピファネイアもキズナもスワーヴリチャードも、基本的には2世の血。純然たる新血なき中、見るべきは「既存の最強血統がどこに入るか」で、いつになく真面目な話をしたが(笑)これは当たらずとも遠からず……の話だ。 マスカレードボールは母父ディープインパクト。姉マスクトディーヴァから父ドゥラメンテに代わり、血統だけなら超最強。2戦2勝も頼もしくかかる期待は大きい。 血統の話をしているうちに自分の血統と開花について妄想が始まった(笑)。 現役の競走馬にたとえたら7歳くらいか。7歳になって強くなった馬など聞いたこともないが(笑)、父方あるいは母方を遡ってみた。いずれの記憶でも聞いた事があるのは農民か町民の話しかなく、私の血統ではどのような先祖還りが起きても大物にはなり得ぬ、という結論に至り妄想は終了。I田氏の勧め通り真面目にコツコツ働くか……。って、働いてないお前が言うな! I田め(笑)。 今年も一年間、ご愛読ありがとうございました。 皆さん、良いお年を……。