グリーンセンスセラさんの競馬日記

怪物エピカリスに足りないもの

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怪物エピカリスの米国3冠挑戦は実現せず?昨年のラニにあって、エピカリスに足りないものとは。「10年に一頭の逸材」が背負う悲しき宿命━ Gambling Journal ギャンブルジャーナル /2017年01月23日 10時53分00秒
http://biz-journal.jp/gj/2017/01/post_2374.html

 早くも「怪物」と呼び声高いダート界の大物エピカリス(牡3歳、美浦・萩原清厩舎)陣営から、競馬ファンに"朗報"が届いた

 19日、エピカリスを所有するキャロットクラブは、公式ホームページ上で今春のUAEダービー(G2)、そしてケンタッキーダービー(G1)を始めとした米国3冠に予備登録したことを発表。「10年に一頭の逸材」と称される素質馬が、早くも海を渡る可能性が高まってきた。

 その背景には、やはり昨年のラニの歴史的挑戦があることは間違いない。

 昨春のラニは日本馬として初めてUAEダービーを勝利してケンタッキーダービーへの出走権をゲット。その勢いのまま、21年ぶりにケンタッキーダービーに挑戦すると、史上初めて米国3冠を完走する快挙を成し遂げた。

 結局、ラニはケンタッキーダービーで9着、プリークネスS(G1)で5着、ベルモントS(G1)で3着と尻上がりに調子を上げて3冠を完走。長年、日本馬が敬遠してきた米国クラシックで確かな足跡を残し、多くの競馬関係者に勇気を、そして何よりもこの時期に適当な番組がない3歳ダート馬に新たな選択肢を提示した。

 ただ、海外で輝かしい実績を上げたラニだったが帰国後は惨敗続きと、その能力に関しては疑問が持たれている。その点、すでに国内で圧倒的な強さを見せているエピカリスならば、ラニ以上の活躍が見込めるのではないかと期待するファンも多いはずだ。

 だが、エピカリスが仮にUAEダービーに勝利してケンタッキーダービーへの出走権を得たとしても、米国3冠に挑戦するのかは疑問だという。

「昨年のラニは海外遠征に積極的なノースヒルズ(前田葉子氏)の所有馬ということで、果敢なチャレンジが可能でしたが、エピカリスを所有するキャロットファームはクラブ法人。いわゆる一口馬主で形成されており、複数のオーナーによって成り立っています。

 そうなってくると、どうしても所有馬は"チャレンジ"よりも『如何に効率よく賞金を稼げるか』が重視され、勝つ見込みが薄い挑戦には後ろ向きな判断が下されがちです。UAEダービー出走の可能性は高いですが、米国3冠に向かう可能性は薄いでしょうね」(競馬記者)

 確かにUAEダービーはG2ながら1着賞金が120万ドル(約1億3000万円)と高額賞金が期待できる"美味しい"レースだ。

 さらに昨年の結果を鑑みれば、わずか7頭立てのレースだったの上、国内で能力が疑問視されている日本馬のラニが勝ったことも然ることながら、3着のユウチェンジと5着のオンザロックスは未だ500万下で苦戦が続いているレベルの馬。

 もしも、昨年の状況がそのまま続くようなら、エピカリスの能力をもってすれば「確勝級」という目論見が立ってもおかしくはないだろう。この時期にはダートで適当な番組もなく、遠征する価値は十分にあるといえる。

 無論、米国3冠もUAEダービーに匹敵するだけの高額賞金レースだ。だが、当然ながらそのレベルは「一気に跳ね上がる」と述べても過言ではない。昨年のUAEダービーの覇者ラニが9着と歯が立たなかったように、米国のダート競馬のレベルは世界最強クラスだ。

 実際にUAEダービーで約1億3000万円を稼ぎ出したラニが、米国3冠ではベルモントS・3着の15万ドル(約1600万円)の獲得に終わっている。その経緯を踏まえれば、エピカリスの陣営が難色を示しても頷けるというものだろう。

 さらに決定的な理由となるのが、米国3冠のタフなローテーションだ。

 昨年を例に挙げても5月7日にケンタッキーダービー、21日にプリークネスS、6月11日にベルモントSと、わずか1月余りの間に3レースをこなす過酷な戦い。実際に現地でも完走する馬は少数派で米国3冠を戦い抜くには、規格外のタフさが要求される。逆に述べれば、昨年のラニにはそういった"稀有な才能"があったということだ。

 果たしてエピカリスにそこまでのタフさがあるのかは定かではない。だが、少なくともオーナーサイドがそんな「膨大な故障のリスク」を背負う選択肢を取る可能性は薄いと述べざるを得ない。

 ましてやエピカリスほどの逸材、言い換えれば「国内で多額の賞金を稼ぎ出す可能性」を3歳春で潰してしまうかもしれない"覚悟"は、多くの人々がそう簡単に背負えるものではないということだ。

 実際に昨年のエピカリスは北海道2歳優駿(G3)を圧勝しながらも、翌年の海外遠征を睨んで、勝てる可能性が高かった全日本2歳優駿(G1)をパスした経緯がある。それだけを見ても、規格外のタフさがあるとは言い難いだろう。

 つまり、日本馬が米国3冠を戦い抜くには、通常の海外遠征とは異なった少なくとも「2つ」の要素が必要ということになる。

 一つはリスクを背負えるだけの「オーナーサイド」の覚悟。そして、もう一つは過酷なローテーションに耐え得るだけの「馬」のタフさだ。この"人馬一体"となった条件がそろって、初めて米国3冠挑戦という具体的な選択肢が生まれるのではないだろうか。

 昨年のラニの偉業により、米国3冠との距離が大きく近づいたことは確かだ。だが、それでも日本競馬にとって米国3冠は未だ「現実的なターゲット」ではなく、「夢」や「ロマン」といった色合いが濃い。

 怪物エピカリスは、その高き壁に挑むに十分なポテンシャルを感じさせるが、同時に高額の賞金を稼ぎ出す「経済動物」の悲しき宿命からは逃れられないのかもしれない。

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