グリーンセンスセラさんの競馬日記

「名牝」を悔やむ声止まず  騎手落馬 重賞2勝馬は安楽死シングウィズジョイ AJCC

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ターフを賑わせた「名牝」を悔やむ声止まず......「テンポイントの悲劇」から約40年の時を経ても変わらぬ思い。国内最大級の「掲示板サイト」が持つ意味とは Gambling Journal ギャンブルジャーナル 2017年01月28日 21時00分00秒 http://biz-journal.jp/gj/2017/01/post_2423.html

 ターフを賑わせた一頭の「名牝」がこの世を去り、もうすぐ1週間が経とうとしている。

 22日に中山競馬場で行なわれた第58回アメリカジョッキークラブカップ(G2)。勝負所の最終コーナーで、落馬した馬がいた。昨年のエリザベス女王杯(G1)で大波乱の立役者となり、大きな脚光を浴び始めたばかりのシングウィズジョイだった。

 16頭が一塊に殺到した第4コーナー。勝負所で極めてタイトになった馬群の中で、いくつかの接触があった。誰も悪くなかった。皆、ただ勝ちたかっただけだった。だが、内から接触が連鎖して、紅一点のシングウィズジョイも外にはじけた。その拍子に前を走っていた馬の後脚に前脚が触れて、大きくバランスを崩した。

『おっと、落馬している!シングウィズジョイが落馬!』

 そんなアナウンスと共に場内からは悲鳴が上がった。幸いなことに巻き込まれた後続はおらず、やがてC.ルメール騎手が立ち上がる。だが、シングウィズジョイの方が動かない。

 馬が集団で、それも全力で走る競馬にこういったシーンは付き物だ。輝かしい勝利の栄光がある一方で、無念の内にターフを去る馬もいれば、こういった一瞬の"不幸"ですべてを失う馬も数え切れないほどいる。

 そして、そんなことは競馬を愛する多くの者が知っている。心のどこかで覚悟もしており、それがどれだけ残酷なことなのかも、心の片隅に"しこり"のように残している。

 だが、やがて動かないシングウィズジョイの周りにスタッフが集まると、競馬を知る者にとって「不吉の象徴」でしかない天幕が張られる。"それ"が何を意味するものか、その場に居合わせた多くの者が知っているからこそ、スタンドからは悲鳴のような行き場を失った「声援」があちこちから上がった。

 後日、JRAの公式HPにはシングウィズジョイについて「競走中に疾病(左上腕骨々折)を発症し、予後不良」と書かれていた。通算16戦4勝。2015年のフローラS(G2)とターコイズS(新設重賞)が主な勝ち鞍となっている。

 また競馬教室の講師として、レース当日の中山競馬場に居合わせた競馬ライターの井内利彰氏が後日、『netkeiba.com』内の自身のコラムでシングウィズジョイについて触れている。


井内氏のAJCCの本命が、まさにシングウィズジョイだったそうだ。調教に精通した井内氏が本命に推すということは、彼女のコンディションは万全だったということなのだろう。それだけに本当に悔やまれる事故だが、管理する友道康夫調教師との関係も深い井内氏だけに、公衆の前で言葉に詰まったという。

 その上で井内氏は「これからも同じような場面に遭遇することはあると思いますが、そういった場面に関する言い訳をするよりも、それ以上に競馬って面白いという魅力をしっかりと伝えていけるように頑張ろうと思います」と綴っている。

 まさにそれが、大なり小なり競馬に携わる者の正しい姿勢なのだろう。

 その『netkeiba.com』内のシングウィズジョイの掲示板には、死後1週間が経とうとしている今なお、多くのファンがまるで葬儀の参列者のように訪れ、思い思いの"お悔やみの言葉"を書き残している。

 かつて1978年の日本経済新春杯(現・日経新春杯)の骨折が原因で命を落としたテンポイントの時には、生前ファンから管理する小川佐助厩舎に「頑張れ」という横断幕やニンジン、約5万羽の千羽鶴が送られたという。

 実はあの時も今回と同じ1月22日。雪の気配が漂う厳寒期だった。

 競走馬として社会現象になったテンポイントとシングウィズジョイとの騒動の差を比較することはできないかもしれない。だが、それでもファンに愛された一頭の競走馬が命を落としたという点では何も変わらない。そこには上も、下もないはずだ。


テンポイントから約40年経った今、時代も、競馬を取り巻く環境も大きく変わったが、ファンが競馬を愛し、馬に人と同じような敬意を払う心は変わらない。その「思いを伝える方法」が時代と共に変わっただけで、その価値もまた変わらないのだ。

 そういった意味で『netkeiba.com』という国内最大級の競馬総合ポータルサイトが、多くの競馬ファンに「文化」として受け入れられている意義は、非常に大きいとを改めて感じた。

 厩舎に届いた5万羽の千羽鶴は約40年の時を経て、数え切れないほどの書き込みへと姿を変えたが、変わらないファンの思いはいつも天国に届いているはずだ。

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