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史上唯一の日米オークス馬シーザリオを巡る「血のドラマ」。息子リオンディーズのライバルに同世代のエアスピネルを超える「超大物」参戦も
Gambling Journal ギャンブルジャーナル/2016.08.04 http://biz-journal.jp/gj/2016/08/post_984.html
競馬をより深く楽しむために欠かせないのが血統であり、それが織り成す「血のドラマ」である。
特にこの春は『史上最強世代』といわれている今年の3歳世代の中でも、リオンディーズとエアスピネルの母世代から続くライバル対決が、メディアでも大きく取り上げられた。
リオンディーズの母は日米オークスを制したシーザリオであり、エアスピネルの母エアメサイアはシーザリオが勝ったオークスの2着馬である。つまり、「母の借り」を返したいのはエアスピネルだ。
だが、実際に"先制攻撃"を受けたのはエアスピネルの方だった。
単勝1.5倍で挑んだ昨年の朝日杯FS(G1)。鞍上・武豊のJRAG1完全制覇も懸かっていた一戦でエアスピネルはゴール寸前、まだ新馬を勝ったばかりだったリオンディーズの強襲に遭って2着......。
これは舞台こそ違えど、2005年のオークスで母エアメサイアがゴール寸前でシーザリオの強襲にあった構図とよく似ている。エアスピネルにとっては、極めて屈辱的な敗戦だった。
その後、エアスピネルは弥生賞(G2)でもリオンディーズに完敗。今度は逆に、後ろから追いかけて届かなかった。いよいよ、"格付け"が決まろうとしていた皐月賞では、あろうことかエアスピネルが受けた不利によってリオンディーズが降着。結果的に順位は逆転したが、当然エアスピネルの気が晴れるわけがない。
エアスピネルが本当の意味でリオンディーズに一矢報いたのは、世代の頂点を決める日本ダービー(G1)の舞台だった。
最後の直線で果敢に先行から抜け出したエアスピネルに、リオンディーズがメンバー上がり最速の脚で強襲。だが、今回はエアスピネルが半馬身だけしのぎ切った。エアスピネルにとっては、肝心の「府中2400m」で借りを返せたのは大きかったのではないだろうか。
所詮はダービーの4、5着馬の争いと言われればそれまでだが、そんなところにもドラマがあるのが競馬だ。逆に言えば、だからこそレースで勝つ馬にはそれだけの価値があるともいえる。
この2頭が織り成す「血のドラマ」の視野をもう少し広げてみると、そこに介入できそうな「同世代の馬」が何頭かいる。まず挙げられるのが、シーザリオが勝ったオークスで3着だったディアデラノビアの息子ドレッドノータスだ。
次のページ▶▶ 牝馬にも因縁の相手が?
2歳時には京都2歳S(G3)を制して一躍クラシック候補に名乗りを挙げたが、3歳初戦として迎えたスプリングS(G2)で7着完敗。本番の皐月賞でも15着大敗とリオンディーズ、エアスピネルに大きく水を開けられた。
今はこの2頭の「ライバル」などとは言えないかもしれないが、これでドレッドノータスの挑戦が終わったわけではない。現マイル王モーリスのように、3歳クラシックの壁に跳ね返されても古馬になって大成した名馬は山ほどいる。
そして、もう一頭の"大物ゲスト"が今年のオークス馬シンハライトだ。
実はシンハライトの母シンハリーズは、2005年のアメリカンオークスの3着馬。つまりシンハリーズもまた、シーザリオが勝ったオークスで敗れた馬なのだ。その後、デルマーオークス(G1)を勝って日本に輸入。6番仔がシンハライトである。
同世代とはいえ、牝馬のシンハライトと牡馬のリオンディーズが戦ったことはまだない。この秋もシンハライトには秋華賞(G1)、リオンディーズには天皇賞・秋(G1)という目標があるため、当分直接対決はないかもしれない。
だが、秋華賞と天皇賞・秋は同じ芝の2000m。それは2頭が向かう「今後の路線」が近いことを意味しているのではなかろうか。早ければジャパンC(G1)、年末の有馬記念(G1)辺りが濃厚だが、シンハライトのポテンシャルを考慮すれば、牝馬の枠を飛び越えてくる可能性は多分にあるといえる。
いずれにせよ、シンハライトが牡馬に挑戦した時、立ちはだかる"壁"として、そこにリオンディーズがいるのか......その舞台がアメリカならなお興味深いが、奇しくも2017年のブリーダーズCの舞台はシンハリーズがオークスを制したデルマー競馬場である。
果たして、歴史上唯一の日米オークス馬シーザリオを巡る「血のドラマ」は、まだ序章を終えたところなのかもしれない。
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