グリーンセンスセラさんの競馬日記

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なぜ凱旋門賞は荒れ続けるのか? 昨年「38万馬券」欧州と日本の"競馬の違い"が生む、大本命エネイブル以上に「警戒すべき」存在とは ─Gambling Journal ギャンブルジャーナル 2017年9月30日 19時12分 http://biz-journal.jp/gj/2017/09/post_4481.html

 日本時間10月1日にフランスのシャンティイ競馬場で開催される凱旋門賞(G1)の出走馬及び枠順(ゲート番)が29日、JRA(中央競馬会)の公式HPを通じて発表された。悲願の初制覇を目指す日本のサトノダイヤモンドは13番枠、サトノノブレスは5番枠に決定した。

 レース開催当日に内柵を撤去することで内ラチ沿いに"グリーンベルト"が現れることで、インコースが有利な状況が築かれる凱旋門賞。史上初の海外馬券発売となった昨年は1番人気に支持された日本のマカヒキが、14番枠から終始外々回らされて終戦。

 今年も日本の総大将サトノダイヤモンドが13番枠に入ったことで、早くも"諦めムード"が漂いつつある。

 その一方で、今年の1番人気が予想される英国のエネイブルは2番枠という絶好のゲート番をゲット。すでに各国の大手ブックメーカーでは2倍前後の抜けたオッズが示されているが、日本の馬券発売でも人気集中となる可能性が高そうだ。

 ここまで英オークスを5馬身差、愛オークスを5馬身半差、キングジョージ6世&QESでも古馬を相手に4馬身半差、前走のヨークシャーオークスでも5馬身差の圧勝と、向かうところ敵なしのエネイブル。今年は、この"天才少女"の勝ちっぷりに日本だけでなく、世界が注目する状況が築かれようとしている。

 しかし、凱旋門賞は2009年のシーザスターズを最後に、1番人気が7連敗中であることを忘れてはならない。初の海外馬券発売となった昨年の凱旋門賞では、三連単38万馬券の大波乱に終わったことを覚えている人も多いだろう。

 特に昨年の凱旋門賞は、例年のロンシャン競馬場ではなく、今年の舞台と同じシャンティイで開催されたのだから、予想する上での参考価値は非常に高い。何せ1920年から続く歴史の中で、シャンティイで開催されたのが昨年しかないのだから。

 そして、昨年の凱旋門賞を見れば、日本のサトノダイヤモンドにとって「本当の敵」といえる存在が、英国が誇る天才少女エネイブルではないことが見えてくる。

●次のページ エネイブル以上に警戒しなければならない「本当の敵」▶▶▶

 日本期待のマカヒキがほぼ何もできずに大敗し、R.ムーア騎乗のファウンドが勝利した昨年の凱旋門賞。レース後、ショッキングな内容に日本全体が意気消沈する中、いち早くA.オブライエン厩舎の所属馬による「チームプレー」を指摘したのは、グリーンチャンネルで解説していた武豊騎手だった。

 精力的な海外遠征が行われるようになった昨今でも、世界の競馬、特に凱旋門賞を含めた欧州の競馬には、まだまだ"初心"な日本の競馬界。その中で1人だけ群を抜いた海外経験を誇る武豊騎手が、即座に見抜いたオブライエン厩舎が上位独占に至った最大の要因。

 それこそが、エネイブル以上に警戒しなければならない「本当の敵」である。

 昨年、勝ったファウンド、2着のハイランドリール、3着のオーダーオブセントジョージという3頭の管理馬を凱旋門賞に送り込んだオブライエン厩舎。さすがにワン・ツー・スリーは出来過ぎの結果といえるだろうが、こと「ファウンドを勝たせる」ということにおいては、武豊騎手が指摘した通り、実に見事な"チームプレー"だった。

 日本からただ1頭の出走となったマカヒキが、まったく内に入れてもらえずに敗戦した一方、そのマカヒキの14番と変わらない12番枠から発走したファウンドはスタート直後、即座にインコースに舵を切っている。

 その時、ファウンドの鞍上ムーア騎手には「インに入れる」そして、勝負所を迎えれば「そこから抜け出せる」という自信があったに違いない。非常に高いリスクの伴う、大胆な決断を可能にさせたのが、スタートから果敢に先行集団を形成し、レースの主導権を握ったハイランドリールとオーダーオブセントジョージの存在だった。

 道中、同厩2頭にしっかりとガードされる形で、内々で脚を溜めることに成功したファウンドは、最後の直線で1頭だけ矢のように伸びた。そして、その"矢"をゴールまで届かせる道を作ったのも、ハイランドリールとオーダーオブセントジョージの2頭だ。

 完璧な作戦は、熟練されたチームプレーによって、完璧な成功を迎え、当時の世界No.1ポストポンドをいとも簡単に交わし切ってしまった。

 あれから1年、今年の凱旋門賞に出走するオブライエン厩舎の所属馬はアイダホ、オーダーオブセントジョージ、セブンスヘブン、カプリ、ウィンターと、なんと5頭に上る。世界最強の連携を誇る名厩舎によるチームプレーの影響力が、昨年を大きく上回ることは誰の目にも明らかだろう。

●次のページ 圧倒的な勢力を送り込んできたオブライエン厩舎は、「どの馬」を勝たせたいのか▶▶

 その点を考慮すれば絶好の枠を引いたエネイブルだが、逆にそれが"仇"となる可能性も考慮しなければならない。2番枠を引いたということは「内々で競馬をする」ことがほぼ決まったようなものであり、単純に最後の直線で馬群から抜け出せない可能性があるからだ。

 ただでさえ、他のライバルからしても警戒すべき抜けた1番人気。オブライエン厩舎勢からしても「最も警戒すべきライバル」であることは明らかで、最悪の場合、オブライエン厩舎の"策略"によって、何もできずに敗れることがあっても驚けない。

 多くのファンが期待している天才少女の圧勝劇は、そう簡単に生まれないのではないだろうか。18頭中5頭が作り出す「組織力」は、あまりにも脅威だ。

 では、逆に圧倒的な勢力を送り込んできたオブライエン厩舎は、「どの馬」を勝たせたいのか。

「今シーズンから、ライアン(ムーア)が我々の主力馬に騎乗します」

 一昨年の4月、オブライエン調教師は世界のメディアに対して、そう公表した。つまり、この瞬間からムーア騎手がオブライエン厩舎の「エース」に正式に就任したということだ。

 その上で、昨年の凱旋門賞のオブライエン勢の"動向"を振り返りたい。

 昨年の凱旋門賞を迎えるにあたって、ファウンドの前走はL.デットーリ騎手が、オーダーオブセントジョージにムーア騎手、そしてハイランドリールの2走前にはJ.ヘファーナン騎手がそれぞれ騎乗していた。日本的な競馬観で見れば、本番の凱旋門賞にもこのままのコンビで参戦することが濃厚といえるだろう。

 しかし、実際はハイランドリールにはヘファーナン騎手が騎乗したものの、オーダーオブセントジョージにはデットーリ騎手、そしてファウンドにはムーア騎手が騎乗とあえて鞍上をチェンジさせた。つまり、オブライエン厩舎は「エース」を騎乗させたファウンドを最有力と見ていたということになる。

 その結果は先述の通り。つまり、先ほど「ファウンドを勝たせるため」と記載したが、正確には「エースが騎乗した馬を勝たせるため」のチームプレーであったといえるだろう。

 その上で5頭を誇る今年のオブライエン厩舎勢の中で「エース」のムーア騎手が騎乗するのは、エネイブルと同じ3歳牝馬のウィンターだ。

●次のページ 欧州競馬独特のチームプレーが「美味しいオッズを生む」 ▶▶

 英国の桜花賞にあたる英1000ギニーなど、すでにG1を4勝しているウィンター。しかし、その距離は2000mが最高で、現在の地位は「欧州3歳牝馬最強マイラー」である。それに加え、凱旋門賞と同じ2400mの経験が一度もないのだ。

 例えば、今年のレーヌミノルを始め、毎年のオークスでは"世代最強マイラー"の桜花賞馬が、距離を不安視されて嫌われる傾向にある。そのため日本での馬券発売でも、ファンにお馴染みのムーア騎手が騎乗するとはいえ、ウィンターが距離を不安視され嫌われる可能性は低くないだろう。

 これが、いわば日本競馬の常識だ。

 しかし、オブライエン厩舎を、もっと言えば欧州競馬独特の"チームプレー"に注目している人間からすれば、逆にそれが「美味しいオッズを生む」と期待している。

 ちなみに欧州の競馬事情に精通している英国の大手ブックメーカー・ウィリアムヒル社は、30日付のオッズでウィンターをエネイブルに次ぐ2番人気に支持している。もともと距離が不安視されていたウィンターは、前日まで伏兵の1頭に過ぎなかったが、ここにきて急浮上。

 その裏に「オブライエン厩舎の『エース』ムーア騎手が騎乗する」という事実があるのは間違いないだろう。

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