ビター ティーさんの競馬日記

枠が決まれば展開読める? 無敗三冠に挑戦するコントレイルの勝敗の行方。父との違いは!

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 菊花賞の出走馬と枠順が決まりました。注目のコントレイルは2枠3番に入りました。この枠は近10年で最多の2勝で、通算でも最多タイの8勝の縁起の良い枠だそうです。

 不思議なことに、G1全4レースは、共に内目の枠に入ることになりました。(この馬自身のG1最外枠は3枠5番です)

 そして、何故か今回最強のライバルだろうと予想しているヴェルトライゼンデが一緒に出走するときは、いつもライバルの方が外側のになっていました。(ホープフルステークス、皐月賞、ダービー、神戸新聞杯)

 ヴェルトライゼンデは菊花賞でも外側の3枠6番に入るという運命的な枠順関係になったのです。これは2頭のどちらに有利に働くのでしょう。

 これまでと同じなら、コントレイルに有利に働くと考えるのが普通なのですが、果たしてそうなのでしょうか!?

 今週月曜日(19日)の日記に書いたように、コントレイルを徹底マークしてヴェルトライゼンデ勝負する作戦に出るなら、この枠順は願ってもない位置関係になったのではないかと思います。

 おそらく池添騎手のことですから、初めから勝てる見込みがないと諦めて、2着ねらいのレースをするはずがありません。真っ向勝負に行くのが彼のキャラクターだと信じています。

 ここで、今まで疑問に思っていたことについて触れたいと思います。一つ目の疑問は、ダービー対決で起きた出来事での疑問。ヴェルトライゼンデがコントレイルのすぐ横にピッタリ馬体を合わせて徹底マークしていたはずなのに、レース映像が切り替わると、いつの間にか一瞬の間に離れていたことです。

 二つ目は、予想神スガダイさんが三冠馬にリーチのコントレイルを含め、なぜ三歳世代がそれほど強いとは思っていないのか、ということです。

 この疑問も解決しながら、枠順確定後の予想、勝敗の行方を考察してみましょう。

 一つ目の、ダービーのあの場面、あのタイミングで、何故ヴェルトライゼンデがマークを外したのか・・・について。隣同士の枠でスタートしたので、序盤から容易にコントレイルの直後か外側のやや後方にピッタリついてマークしながら追走。そのまま第3コーナーに入っていく展開となりました。

 このレースでは、コントレイルと同じ馬主(前田晋二さん)の馬があと2頭出走していて、勝ちを確かなものにするためサポートするであろう、というのは周知の事実だったと認識していました。

 レース映像が切り替わる直前、、その僚馬10番コルテジアは先行2番手を進み、もう1頭の13番ディープボンドはその後方外側につけ、この2頭からやや後方の内側にコントレイルの位置関係になっていました。ヴェルトライゼンデはこの3頭に囲まれる格好で第3・4コーナーの中間点を過ぎていきます。ここでヴェルトライゼンデがコントレイルに並びかけ、画面が切り替わったのでした。

 その画面を見たとき、先程の疑問が浮かんだのですが、単に、早仕掛けをして外側に膨らんでしまったのだろう・・・と勝手に解釈していました。

 菊花賞の枠順確定を機に展開と勝敗を予想するためもう一度レース映像を視たり、全周パトロールで確かめたりして疑問が解けました。

 絶妙な連携でライバルを退けたダービーだったことを知ることになりました。あからさまにならないよう上手くやっているので、解釈の仕方によっては見解が異なるかもしれませんが、私の見方は以下の通りです。


 レース映像の切り替わりのタイミングで見られなかった出来事を全周パトロールで見直したところ、ヴェルトライゼンデが外側に並びかける直前までを正面から捉えた画像では

 1.福永騎手が身体を微妙に傾けてコントレイルを外側に寄せている。

 2.コントレイルが、ほんの一瞬ヴェルトライゼンデに軽く接触したことで、間に隙間が空いてしまう。(マークが緩くなってしまう)

 3.加速したタイミングで接触され、外側に膨らんだことで、ヴェルトライゼンデは17番ヴァルコスを外側から交わす進路を取ることになる。

 以上の3点が認められました。これに続く正面から捉えた映像に映し出されたのは


 4.直線を向くほんの少し前に13番ディープボンドの和田竜二騎手が左後方(内側)を確かめる仕草で顔をほんの少し動かし、この動作を合図にしたかのように、10番コルテジアが内ラチ側に寄せながら直線を向くことになる。

 5.コルテジアの動きで、ディープボンドの内側に大きな空間ができる。タイミングを計り、和田騎手は左(内側)に比較的はっきり身体を傾け、その直後右鞭を数発入れる。

 6.右鞭が入ったのでディープボンドは左(内側)に大きく進路を変える。

 7.ディープボンドが進路を変えたことで、コントレイルの前が大きく開き、スムーズに加速できる絶妙なタイミングで追い出され、先頭に躍り出る。


 以上の4点が流れるように行われたレース終盤の展開でした。

 
 コントレイルは、僚馬2頭がつくってくれた進路を突き進むと、荒れていない馬場中央に寄せながら切れ込んだ進路を取って突き抜け、3馬身差の圧勝となりました。


 正面からの画像では、ヴェルトライゼンデの前を横切り、中団から外側を回って追い込んでくるサリオスに合わせに行きかけたようにも見えますが、併せ馬になる前に加速して、突き放しながらのフィニッシュになりました。

 サリオスは中団から追い上げて2着を確保。ヴェルトライゼンデは、前をカットされた形になり、ブレーキをかける大きな不利がなかったものの、影響がなかったとは言い切れず、スムーズに加速できていたなら2着争いが微妙になったと思われる最後のキレ脚があって、見せ場のある3着。

 以上がダービーの展開から力関係や菊花賞の展開を考えるために集めた情報の分析です。

 休養明けとなった、前走の神戸新聞杯では、コントレイルは1枠2番。ヴェルトライゼンデは惨敗した皐月賞(8枠17番)とほぼ同じで更に大外の8枠18番になりました。

 このレースに出走した僚馬はディープボンド1頭だけになりました。(コルティジアはダービーでの先導役としての消耗が応えたのか、未だに休養中?)

 ここでは、唯一の僚馬ディープボンドが逃げるパンサラッサの3番手から2番手になって終始ペースを作り、先導役としてコントレイルをサポートしました。結果4着に粘り込み、この馬も力をつけてきたと感じさせました。

 コントレイルは、先行勢のすぐ後ろ。中団の前目内側を追走していたので、行き場がなくなる危惧もありました。けれども、直線で前が開くと突き抜けて1着。危なげのないレースに見えました。

 実は、直線出口でコントレイルの前が空くように仕向けたのはディープボンドを巧みに導いた和田竜二騎手です。コーナー中間で1番グランデマーレを交わしてディープボンドが2番手に上がるとき、加速して外側に向けて持ち出したことで、パンサラッサ以外の先行集団が釣られるように動き、コントレイルの進路を空けさせることに成功したと思われます。

 コントレイルが単独(自力)で進路をこじ開けられたかは、不明です。少なくとも進路を見付け易くしたのは事実でしょう。


 ヴェルトライゼンデは、皐月賞の失敗、同じ轍を踏まないよう、外枠から無理に前方にいる本命馬を徹底マークすることを止めて、後方で脚をためて直線勝負のレースで、上がり最速の35.4秒をマークし2着になります。

 前哨戦であることからロバートソンキーをゴール前で交わせると感覚で分った瞬間、手綱が緩められ、コントレイルに次ぐ余裕を持ってゴールしたと思いました。勝つための競馬、コントレイルに対応する競馬に幅が広がった前哨戦だったと評価しています。


 さて、枠順も決まり前走までのデータを集めて分析・検討を試みましたので、菊花賞の展開と予想の考え方に移りたいと思います。

 コントレイルは同世代の中では確かに実績は抜きん出ていますし、休養明け1戦を完勝して臨戦過程に文句のつけようがありません。1頭だけですが、力をつけてきた僚馬のサポートを受けられることでも、かなり有利になると思います。

 菊花賞の序盤は、おそらく、17番キメラヴェリテか11番バビットが端を主張し、8番ディープボンドもこの2頭に絡んでサポート役の責任を果たしてくれるでしょう。コントレイルもこれまで通り中団より前でレースを運び、三冠を確実なものにしようする展開が予想されます。

 勝敗の鍵を握るのはヴェルトライゼンデ。枠順の関係から徹底マークをしようとすれば難しいことではないので、秋華賞のマジックキャッスルのようなレース展開に持ち込んでも勝機を見いだせるかもしれません。

 また、神戸新聞杯のように他の馬たちに影響されないよう後方で脚をためて直線勝負に打って出ても良い勝負になる可能性は捨てきれません。

 もう一つの鍵を握るのは、僚馬ディープボンドの存在です。2つの鍵を結びつけて考えるなら、神戸新聞杯のような後方待機のレース展開を選択すると予想します。

 僚馬がディープボンドだけなら、ダービー程の有利をコントレイルが受けられない=大きな不利をヴェルトライゼンデが受けないだろうと判断すれば、徹底マークの戦法に持ち込むと考えられます。

 どちらの展開になる可能性が大きいか、当日までもう少し検討することになりますが、どちらを選択するかによって2.3着候補が微妙に変わります。それによって、コントレイルの三冠達成に、なにがしかの影響を及ぼすこともありそうです。

 少なくともヴェルトライゼンデは一番強力なライバルで、逆転の目も全くないとは言えません。また、コントレイルの6連勝の中で、3歳を迎えてからの3戦では僚馬が出走して勝利するためのサポートを受けられる体制を組んでいたことも事実です。

 2冠を達成し、無敗で三冠に挑戦するこの段階でも、予想神スガダイさんが、三歳世代がそれほど強いとは思っていないということに対する、私の二つ目の疑問の答えが、この事実と関係しているのでは、と思いました。

 三歳馬だけで競うクラッシック三冠に輝けば、確かに世代最強と言えるかもしれません。しかし、コントレイルが自力だけで勝ってきたと、胸を張って言えない状況にあると思います。展開有利で勝てたレースがあったかもしれないし、同世代の馬たちのレベルとの差だけで三冠を制覇できるのかもしれない・・・という仮説も成り立ちます。スガダイさんが、この世代の強さについて疑義を抱くのも理解できました。なるほど、得心いたしました。

 古馬と今年中に直接対戦して、G1勝ちを収められれば、この世代に対する評価も高まることでしょう。その可能性を高めるためにも、土曜日の富士ステークスでは、5頭の3歳馬たちに頑張ってもらいたいですね。

 もし、菊花賞後に、デアリングタクトのように休養に入ることになれば、コントレイルが無敗の三冠馬になったとしても同世代の馬たちからは、頭1つ2つ抜けた世代最強の存在と認められたとしても、余力を持って三冠を勝ち抜いてきた真に強い馬、現役最強の可能性がある馬とは認められません。

 強い世代の最強馬なら、自力だけで勝つ能力、体力、精神力を兼ね備え、古馬混合のG1で優勝する姿を見せてもらいたいものです。

 父ディープインパクトとの違いは、自力で勝ち切る、他を圧倒する強さを感じさせないこと。僚馬の存在や実質的で具体的に勝たせるためのサポートを受けたかどうかが話題に取り上げられたこと、が挙げられます。ディープインパクト三冠では、サポートの話題などなかったと、記憶しています。

 これで、年内に休養に入れば、父との決定的な違いになります。YouTube『ウマニティ チャンネル』で三冠王 小林明弘さんがデアリングタクトを歴史的名牝とは思わないと述べていましたが、秋は秋華賞だけで休養に入ると、余裕があったように見えて、実は目一杯だったんだと思われて仕方がありません。

 コントレイルには、そう思われないよう、今年中にもう1~2戦G1をに参戦して、自力で父に劣らないことを証明していただきたいと期待しています。

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