グリーンセンスセラさんの競馬日記

「リーマンショック」は起きない  数年後に競馬にも影響するであろう

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「トランプ勝利」でも株の反発は長続きしない 今回はITバブル崩壊やリーマンと何が違うか─東洋経済オンライン / 2018年10月31日 7時30分 https://toyokeizai.net/articles/-/246240


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「トランプ勝利」でも株の反発は長続きしない 今回はITバブル崩壊やリーマンと何が違うか─東洋経済オンライン / 2018年10月31日 7時30分 https://toyokeizai.net/articles/-/246240

アメリカ株が大きく調整している。11月6日に行われる中間選挙終盤戦での、この下げ。選挙への影響を探っている最中に、シカゴにいる私のもとにも、日本から「来年度、公約どおり消費増税を断行する」という話が聞こえてきた。ただしいつもの注釈付きらしい。「リーマンショックのようなことがあれば、増税は回避される」とのことだ。ならば先に言っておきたい。リーマンショックは起きない。

そもそも、アメリカではリーマンショックは結果的にプレゼントになった。ただあまりにも不条理だった。つまり、間違いを犯した人たちを真っ先に救い(金融分野)、普通の人々が取り残された。この時アメリカは、金持ちには社会主義的救済を、労働者にはグローバリゼーションの市場原理を浴びせた。だからドナルド・トランプ大統領が生まれてしまったのだが、今もその時に生み出された膨大なマネーは市場を覆っている。今は、株式市場はお金が足りない状態ではない。だから起こるとしたらリーマンショックではなく、国家としてのアメリカのメルトダウン(溶融)だ。

アメリカがメルトダウンする前に、中間選挙結果次第で株は一時的に戻すことも可能だ。苦戦が予想されている共和党が下院で過半数を維持できれば、瞬間的にはかなりの上昇が見込める。その可能性は、前回のコラム「米選挙、民主党が買ったら株価は暴落するか」の寄稿時(10月18日)より高まっている(共和党が下院で勝つ確率は30%程度か)。

ただし、それでも株高は長続きしないだろう。理由は2つある。まずその時は再び長期金利が上がる。前回の記事で、今回の下げが2月のようなボラティリティ(変動率)の要因ではなく、本当に長期金利の上昇を理由にするなら、本格的な下げを覚悟するしかない、としたのを思い出してほしい。そしてもう1つの理由は「アメリカの2極化」だ。こちらは、中間選挙がどんな結果になっても悪化するだけだ。

冒頭から読者を脅かしてしまったかもしれないが、現状を理解するため、過去の株の大幅下落のパターンを検証してみよう。

2000年以降、アメリカ株が大幅調整となったのは、2002年のハイテク(IT)バブル崩壊と2008年のリーマンショックだ。前者はオーバーバリュエーション(業績などを考慮した株価指標と比べて買われすぎること)の調整、後者はグローバル金融システムの崩壊の危機だった。

■ITバブル崩壊は「病気」、リーマンは「緊急大出血のケガ」
簡単に言えば、前者は「病気」、後者は「大出血を伴う大ケガ」のようなものだ。

2001年、アメリカは共和党のJ・W・ブッシュ政権になったが、ハイテク銘柄のバブルが崩壊することで、上げ相場では隠れていたウォール街の不正や会計疑惑などが噴出した。

この時の民主党は2000年の大統領選で「アル・ゴア大統領」になるはずの大統領職をブッシュ氏にかすめ取られたという怒りに満ちていた。そんな中で民主党の将来の大統領候補とも目されたNY州司法長官のエリオット・スピッツァー氏は、果敢にウォール街の不正に大ナタを振るった。シティグループのサンディ・ワイル会長、AIGのモーリス・グリーンバーグ会長、メリルリンチのデービッド・コマンスキー会長らウォール街の超大物経営者が引退に追い込まれた。

この騒動の結果、株の下落はハイテク銘柄からジワジワと優良銘柄へも拡大。 AT&Tを倒す勢いだったワールドコム、そしてあのエンロン、最後はエンロンにかかわった大手監査法人のアーサーアンダーセンまで倒産した。ただこの時は大手金融機関に目立った倒産劇はなかった。

一方、リーマンショックは、大手証券会社のリーマンブラザーズではなく大手保険AIGグループの破綻危機が本質だった。AIGはCDS(相手が破綻した場合、その損失をカバーするデリバティブ契約)を大量に引き受けていた。そのAIGが破綻の危機に瀕し、リーマン同様、膨大な信用取引にのめり込んだ欧米の大手金融機関に連鎖倒産の危機が迫った。その時、リーマンが犠牲になることで、国家としてアメリカは前例のない救済に乗り出した。FED(アメリカの中央銀行)による未曾有のドル資金の供給は「緊急輸血」であり、それがQE1(量的金融緩和第1弾)だった。

後者のリーマンショックから10年。2016年にトランプ氏が大統領選に勝利した後は「トランプラリー」と言われた株高現象が起き、2016年のBrexit(英国のEU離脱)を起点としたトレンドライン上で推移してきた。だが今回の下落で主要株式指数はそのトレンドラインをついに下回ってきた。

ここまでの状況はどちらかというと、後者のリーマンショックではなく、前者のハイテクバブル崩壊に似ている。ただし2000年以降の過去2回の大きな下げ相場と決定的に違うことがある。それはリーマンショックで生み出された膨大な流動性の存在だ。トランプラリーのフォーメーションが健在なら、この流動性は相場を支えることになる。

■トランプラリーの本質は「ええじゃないか」
ではそのトランプラリーのフォーメーションについて確認しておきたい。

そもそもトランプラリーとは何か。これはリーマンショック後、緊急処置(QE1)の後、オバマ政権下のQE2(量的金融緩和第2弾)でたまった資金が、まさかのトランプ勝利に歓喜した共和党支持者によって「解凍してあふれ出た現象」と考えてよい。

確かにオバマ時代も株は上がった。しかし規制が残り、共和党支持者には不満がくすぶっていたのである。そこにトランプ政権が誕生した。真っ先に大幅減税をぶち上げたことで資金は動き出した。その際、株式市場では、手数料の高いアクテイブ系のヘッジファンドではなく、ETF(上場投資信託)を使ったインデックス運用中心のパッシブ系ファンドに流れ込んだことが肝だった。

なぜなら、パッシブ運用者にとっていちばん困るのは、インデックスが先に上がり自分が置いてきぼりなること。インデックスが下がるならパッシブ運用者は購入者に言い訳ができる。でも上がると言い訳ができない。インデックス買いは次の買いを呼んだ(メルトアップ現象)。

ただし、個人的には、トランプ勝利後に寄稿した記事「2017年に『トランプ大暴落』は起きるのか」でも示唆したように、当初トランプ政権は、再選を達成したレーガンとG・W・ブッシュ両政権の相場のマネジメントを踏襲するのではないかと考えた。つまり、レーガン政権は1981~1982年にかけて18%の下落、ブッシュ政権は2001~2002年にかけて35%の下落に直面した。しかし最初の中間選挙前後でボトムをつけると、そこから減税などの株価対策をどんどん打ち出した。

このタイムマネジメントに対し、スタートから1年半でいきなり26%も株が上昇してしまったのがジョージ・H・W・ブッシュ大統領だった。株をずっと支えることはできない。中間選挙後から株の下落が始まり、その後持ち直したものの、パパブッシュは再選に失敗した。

もちろんトランプ政権はこのヒストリーは知っている。トランプ大統領自身、政権発足直後はまったく株高を口にしなかった。だが勢いが止まらないのを見てか、方針を変えたのだろう。株高を自分の偉業として前面に出すようになった。その現象がピークになった2017年の夏。市場のムードは、あたかも人気アニメ『銀河鉄道999』が重力のない宇宙空間を旅するようなすばらしい状態だった。そしてその資産効果が実態経済にも好影響を与えた。それがグローバルシンクロナイズである。ただし根底はオバマ時代にはなかった「ええじゃないか」のマインドである。
これに反応したのがFEDだった。すでに利上げは始まっていたが、直前まではミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁のように、FOMC(米公開市場委員会)の投票メンバーの中にも利上げよりバランスシート削減を優先させるべきとの意見もあった。しかし実態経済でグローバルシンクロナイズが始まり、FED内で利上げに反対する声は消えた。

それでもトランプラリーがここまで続いた最大の要因は、長期金利がさほど上がらなかったからである。経済学からマーケットを語る人は「長短イールドスプレッド(金利差)の縮小は、近未来の実体経済のスローダウンの示唆であり、株にはマイナス要因)というストーリーを語り続けている。確かにスローダウンの示唆であること自体は否定しない。

だが今の現実のマーケットでは、イールドスプレッドの縮小は株の下げ要因にはならない。FF金利(短期の政策基準金利)の上昇は、FEDから数兆円規模の当座預金の余剰資金への金利が付与される大手銀行には「飴玉」である。そして中長期金利が低いかぎり、住宅市場も安泰だ。ところが、長期金利が上がりだすと住宅市場が崩れる。すると個人消費が落ち込む。アマゾンに主役の座をとって代わられた小売りには最後の時が訪れる。時代を築いたシアーズホールディングスは倒産、そして今JCペニーの株価は1ドル台だ。商業用不動産を担保にしている銀行は厳しい立場に置かれる。長期金利が上がると、株は下がる。個人的にはそれをずっと主張してきた。

ならば、金利の引き上げを止めればどうなるか。最初に影響を受けるのは為替だろう。アメリカのドル高は終わる。ドル高はインフレ抑制効果があるが、ドル安になればインフレの芽も出てくる。今度はそれを理由に長期金利が上がってしまう。その前にFEDが弱気になり、金利引き上げの打ち止めを示唆すると、アメリカ債市場に溜まった債券のプロたちのフラットニングのポジションの解消につながる(=短期を買いなおし、持っていた長期債を売る)。これも長期金利の上昇要因になる。だからFEDは安易に弱気を示すことはできない。だから株式プレーヤーも、株が多少下がったからといって、リーマンの時のように、困ったらFEDが救済に入ること考えるのは間違いだ。

■インデックスファンドの売却も検討を
ではどうしたらいいか。インデックスファンドを持っているならいったんは売却も検討するべきだろう。本来インデックスファンドはリスク分散が目的だ。しかしアメリカの上場企業数はピーク時1997年の約7300社から今は半分以下まで減っている。それだけ淘汰された一方で1社当たりの時価総額は増えたわけだが、それをETFで操ることでインデックスは激しく動く。にもかかわらず、前述のようにパッシブ系運用を同時にやったらリスク分散にはならない。

つまり、今最も危険な投資はインデックスファンドのイメージに安心してしまうことだ。一方、売りでも買いでも食らいつくなら、参考にすべきはダウの輸送指数(20種平均)だろう。いわゆるFANG株を先頭にNASDAQ上場の銘柄が売られても、ニューヨークダウが踏みとどまればNASDAQも戻ってくる。それが過去2回の下げ相場での底打ちのパターンだ。ならば1万ポイント前後まで調整している輸送指数が、2008年からのトレンドライン (8500~9000)で下げ止まり、切り返すかどうかを見極める時だ。

今回は、テクニカル面から長期金利上昇のパターンの解説をした。次回は、金利上昇の理由がインフレなのか、それとも財政赤字拡大(需給)なのかで下落相場への考え方が変わることを解説しよう。それに関連してアメリカの2極化が財政赤字論を演出している背景を紹介したい。

滝澤 伯文 :CBOT会員ストラテジスト

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