グリーンセンスセラさんの競馬日記

M.デムーロと武豊

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「母国の震災」と「父の死」M.デムーロと武豊「悲しみを力」に......今年のワールドオールスタージョッキーズは伊・日が誇る「真のプロフェッショナル」による共演━Gambling Journal ギャンブルジャーナル/2016.08.29
http://biz-journal.jp/gj/2016/08/post_1156.html

「すごくうれしい。信じられない!」

 27日、28日に札幌で開催されたワールドオールスタージョッキーズ。騎乗停止明けの武豊騎手や、この夏なにかと話題を集めている香港のJ.モレイラ騎手の参戦など今年も大いに盛り上がった。

 だが、今年の「ジョッキーの祭典」の主役を務めたのは"悲しみを力に変えた"イタリアンだった。

「総合優勝、そして、JRA選抜の優勝に貢献できて嬉しいです。昨年のシリーズは全然ダメだったけど、今年は良い馬に乗って勝てて良かったです」

 全4戦中2勝を挙げるなど、持ち前の勝負強さを発揮したM.デムーロ騎手が表彰式で喜びを爆発。2位の武豊騎手に29ポイント差をつける合計80ポイントで、世界の騎手の頂点に立った。

 まさに、有言実行の総合優勝だった。昨年のワールドオールスタージョッキーズで14人中11位とまったくいいところなく敗れたM.デムーロ騎手は、悔しさのあまり優勝したモレイラ騎手に嫉妬オーラ全開。

「モレイラのことはよく知っている。確かに、彼は上手い騎手だね。 でも、あの時の彼は、良い馬ばかり乗っていた。 騎乗馬に恵まれたと思うよ。 それより、まったく人気のない馬を2着に持ってきたユタカさんの方が、技術的には上だった」

 負けず嫌いのM.デムーロ騎手らしい過激な発言だが、これは裏を返せば「騎乗馬に恵まれれば、自分も勝てる」という自らの首を絞める発言でもあった。
 そんな昨年を受けての今年の総合優勝。騎手は「結果がすべて」といわれる世界に生きるだけに、見事その結果で自身のスキルを証明して見せた。

 なお、M.デムーロ騎手は優勝賞金の300万円を、24日未明の大地震に見舞われた母国イタリアに全額寄付する意向を示している。

 2011年の東日本大震災の際も史上初めてドバイワールドCを勝ち、日本に勇気と明るいニュースを届けるなど"母国"への思いを力に替えられる心の強さには、改めて感嘆するばかりだ。

次のページ▶▶▶ お互い「悲しみ」の淵にいたが……

 また、総合第2位は昨年に引き続き武豊騎手。4戦中3度も2着に入る抜群の手綱さばきで着実にポイントを稼いだが、優勝には一歩及ばなかった。

 4年ぶりとなる騎乗停止中に、父・邦彦さんが亡くなるという不幸があった武豊騎手。しかし、22日にばんえい競馬のトークショーに参加し、翌日には自らの公式サイトを更新。「さあ、張り切っていきますよ!」と綴ったように、復帰してさっそくその手腕を見せつけた。

 しかし、本人にしてみれば2年連続総合2位という悔しい結果。1度でも勝てていれば逆転優勝もあっただけに「2年連続して1勝もせずに2位、という複雑な気持ちです」と悔しさを露わにしていた。

 さらに「優勝を狙っていましたが、1人空気読めないのがいて......(笑)」と早くも"武豊節"が炸裂。

 これは昨年12月の朝日杯FS(G1)で「JRAのG1完全制覇」の偉業が懸かった武豊騎手(エアスピネル)をゴール寸前で捕らえたM.デムーロ騎手(リオンディーズ)に対して「空気の読めないイタリア人がいたもんで......」と笑いを誘ったのが始まり。

 武豊騎手にしてみれば、またもM.デムーロ騎手にやられてしまった格好だ。これにはM.デムーロ騎手も「ユタカさんに追いつかれるかと思って怖かったです」と反撃。互いをリスペクトしあう二人の関係が表れた一幕だった。   それにしてもこの2人、M.デムーロ騎手は母国が約300名の死者が出るほどの大地震に見舞われた直後で、一方の武豊騎手も実父を失うという「大きな悲しみ」があった直後。

 こういった時「各々ができることを、しっかりするということが大切だ」と常々いわれているが、今回の2人はまさにそれを実践した。真のプロフェッショナルであり、その精神力の強さにはただただ敬意を払う他ない。

 今年のワールドオールスタージョッキーズは、悲しみを力に変えたトップジョッキー2人の競演で幕を閉じた。来年はどんな熱いドラマが待っているのだろうか、今から待ち切れない思いだ。

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