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偶然ですが、妻にそんな指摘を受けた今、内田樹氏のトークイベントを聴きに行った際に、サインをもらうために購入したのが、この集英社新書の一冊。
内田樹、成瀬雅春共著『善く死ぬための身体論』
で、何気なく読み始めた内田樹の「まえがき」で出会ったのが以下の文章。引用が長文になりますが、その価値があると判断し、あえて、ニュアンスも理解いただくためにそのままを。
<船に乗っている時、夜の海上に何か揺れるものが見えたとします。何か規則的な動きをしている。でも、鯨か、難破船か、月の反射か、何だかわからない。そういう時に人間は、何かを見たけれど、それが何かを「決定しない」ということができます。「それが何を意味するのかわからないものがある」ということを受け入れる。それができるのは人間だけです。
老人になることで際立って衰えるのは、この「何だかわからないもの」を「何だかわからないまま」に保持しておく力です。中腰に耐える、非決定に耐える。何か追加的な情報入力があって、自分自身がもっと複雑な生き物になることによって複雑な事態に対処できるようになるまで、判断保留に踏(ふ)み止(とど)まること、年を取るとそれができなくなる。体力気力が衰えると、早く腰を下ろしたくなるんです。中腰つらいから。
オープンマインドとか「開放性」とかいうのも僕は同じことを指しているのだと思います。老人になって、現場を離れたことでまっさきに衰えるのは、この力です。自分をさらに複雑な生き物に進化させることで複雑な事態に対処するというソリューションが取れなくなる。むしろ、よりシンプルな生き物に退化することによって、事態をシンプルなものにしようとする。「オレにもわかる話」か「オレにはわからない話」かの二分法で入力を処理して、「単純なオレ」でもハンドルできるように事態を縮減する。
僕は「心の健康」というのはこのことじゃないかと思っているんです。老人になると、確実に身体は衰えます。でも、心は衰えに抗することができる。それは複雑化するということです。
老いるというのは自己複雑化の努力を放棄することだと僕は思います。いささかきつい言い方になりますけれど。こういうことを老人に向かって言う人はあまりいないみたいですので、あえて自戒を込めてそう申し上げます。>
もし、関心を持って読み切っていただいた方がいらっしゃったら、感謝を。
僕が、そうそうこのことなんだ!と膝を打ったのは、「老いるというのは自己複雑化の努力を放棄することだ」という部分。(僕自身も含めて)思い当たる方いませんか?
ふと頭に浮かびましたが、競馬の予想は、老化防止に有効かなあ(笑)
コメント投稿
コメントの投稿は会員登録(無料)が必要です。はななるくん|2019年6月14日 21:23 | (1) |
アルコールが入っている時と女性を目の前にした時はそちら側です。競馬は錯誤のもと正論と正解が噛み合わないオモチャ箱。それも宝石を散りばめた美しいもの。悲しくも手元には何も残りませんが…。
亀丸少年|2019年6月14日 10:32 | (2) |
年齢に関係なく、自分自身を客観視できる人と、そうでない人が、いますからね。
あるいは、他人の立場になって考えられる人と、そうでない人。
どちらも後者のタイプで、更に老化が加わると、他人はもちろん、配偶者にも見限られる運命に( ̄□ ̄;)!!
(退会ユーザー)|2019年6月14日 9:15 | (4) |
年齢を加えるごとに、気短になっていることと、不寛容になっていると
思います。
この年になって、自分の「嫌なこと」、「したくないこと」を無理に我慢
することはないと、許容範囲が狭くなっている自分に気づきます。
そこには、もう「生きたいように、生きたい」という、強い想いがある。
働いているときに我慢してきた反動みたいにも感じます。
はななるくん・さん、どうも。
酒と女と、ギャンブルが、人生を左右する三大リスクですからね、昔から。
川上哲治がジャイアンツの監督時代に、選手にこんな言葉を残したとか(うろ覚えですが)。
「酒と女は、いつかは飽きる。でも、ギャンブルは飽きないから一番気をつけろ!」