桜花賞馬不在で混戦模様の
オークスに出走する3戦3勝の
ラヴズオンリーユー(栗東・
矢作芳人厩舎、牝3歳)の追い切りが15日、滋賀・栗東トレセンで行われた。1週前にハードに追われて態勢は整っており、この日は坂路4ハロン54秒7-12秒8の調整程度。軽快なフットワークで、体調の良さを見せつけた。調教評価は最高の『S』。コンビを組むミルコ・デムーロ騎手(40)は、史上10人目となるクラシック完全制覇へ「勝ちたい」と闘志を燃やした。
史上5頭目の無敗の樫の女王へ、3戦3勝の
ラヴズオンリーユーが軽快に坂路を駆け上がった。朝日を浴びながら調整役を務めた坂井騎手を背に4ハロン54秒7。14秒5-14秒0-13秒4-12秒8と1ハロンごとに加速するラップを踏み、脚さばきは力強かった。
「1週前が実質的な最終追い。レベルの高い併せ馬を消化できました。きょうは馬なりというより“楽走”の指示でしたが瑠星(坂井騎手)がうまく乗ってくれた」
矢作調教師が笑みを浮かべた。実質的な最終追い切りの8日にはM・デムーロ騎手が騎乗してCWコースで6ハロン81秒0-11秒5を馬なりでマーク。直線だけで
エントシャイデン(OP)を突き放して2馬身先着と調整は万全だ。
2走前の白菊賞1着後、フレグモーネ(急性の化膿性疾患)を発症。トライアルを使えず
桜花賞は見送ったが、前走の忘れな草賞で3戦連続となるメンバー最速の上がりを駆使して3馬身差V。デビュー3連勝と勢いに乗ってGI舞台へ駒を進める。
2016年の
ドバイターフを制した
リアルスティールの全妹と血統も魅力的だ。「筋肉の柔らかさと質の良さは兄より上」とトレーナーが言えば、17年
毎日王冠1着など兄に2回またがったM・デムーロ騎手も「背中が一緒。兄は少し硬かったけど、(妹は)柔らかい。この馬はすごく背中がいいし、跳びがきれい」と素質を高く評価する。M・デムーロ騎手は勝てば史上10人目のクラシック完全制覇。
オークスは過去4回で3着が最高だけに、「勝ちたいです」と闘志を燃やした。
勝利への鍵は、長距離輸送後の馬体重と折り合い。トレーナーは「一番良くなかった白菊賞(452キロ)のときより減らないで欲しい」と願う。そこで秘策を用意。環境に適応する時間を多く取れるよう、東京競馬場には通常の土曜ではなく金曜に輸送。スタンド前発走で歓声にイレ込まないよう、ファンファーレが鳴り終わるまでメンコ(耳覆い)で雑音をシャットアウトし、直前で外す作戦で臨む。
「GIでは上積みがないと勝負できないが、かなり上積みは大きい。先々に夢がつながるレースをして欲しい」と矢作師は結んだ。
混戦模様の大一番に無敗で臨むのはこの馬だけ。06年
カワカミプリンセスと同じ、史上最少のキャリア3戦での
オークス制覇へ。歴史に名を刻む準備は整った。 (渡部陽之助)
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オークスの特別登録馬(想定騎手入り)はこちら 調教タイムも掲載
★クラシック完全制覇
皐月賞、
日本ダービー、
菊花賞、
桜花賞、
オークスのクラシックレースを全て制した騎手は、栗田勝、保田隆芳、菅原泰夫、
武豊、
河内洋、
池添謙一、
岩田康誠、
川田将雅、C・ルメールの9人。