今週は牝馬クラシック第2弾の
オークスが東京競馬場で行われる。
桜花賞馬
ステレンボッシュ(牝3歳)を管理する
国枝栄調教師(69)=美浦=を直撃。1冠目では、2歳女王決定戦の
阪神ジュベナイルフィリーズで惜敗した
アスコリピチェーノに雪辱を果たし、初戴冠。2頭の3冠牝馬を育てた名伯楽に、自身3度目となる牝馬2冠達成への手応えを聞いた。(聞き手・綿越亮介)
——今年初戦で挑んだ
桜花賞から中5週。状態面の上積みは
「前回も体はできていたけど、1回使って完全に競馬モードに入っている。気もいいし、特に不安はないよ」
——1週前追い切りは美浦Wコースで戸崎騎手を背に、5ハロン65秒8-11秒1の好時計をマーク
「非常にスムーズな動きで、圭太(戸崎騎手)も『乗りやすいし、特に気になるところはない』と満足していた。馬が自信を持っているような雰囲気だね」
——2400メートルに距離が延びる
「1800メートルでデビューしたし、もともと距離は長い方がいいだろうという見立てだった。どちらかといえば適性は長めだけど、1600メートルもこなしたという感じ。折り合いに不安はないし、しまいもきっちり伸びてこられるからね」
——左回りの東京に替わる
「左右で走りの違いはないけど、赤松賞を勝っているコース。一番、レースがしやすい競馬場だから問題ないよ」
——
桜花賞で騎乗したモレイラ騎手が母国ブラジルで騎乗するため、戸崎騎手に乗り替わる
「(今春、戸崎騎手は)
皐月賞を勝っているし、〝ジャパニーズ・モレイラ〟でいってほしいね(笑)」
——
ステレンボッシュがいいモノを持っていると感じたタイミングは
「早い段階で〝いいな〟と思ったよ。札幌で新馬戦を使ったけど、デビュー前から雰囲気は良かった。新馬戦は不利を受けても勝ったし、その後の負けたレースも敗因があったからね」
——2010年
アパパネ、18年
アーモンドアイで
オークスを2勝。どちらものちに牝馬3冠を達成したが、比較して
「全然遜色がないし、いいレベルだと思うよ。2頭と比べてどこが優れているというよりは、全部のパラメーターがバランス良く大きい感じだね。トラブルなく競馬に臨めれば(2頭と)同じような結果が出てくると期待しています」
——JRA・GⅠ22勝中、牝馬で17勝。いい牝馬の特徴とは
「精神的にどっしりしていることだね。人間でもそうだけど、女の子はおませだから物覚えが早くて、こっちが競馬に向かう環境を作るとグングン燃えていっちゃう。それが度を過ぎると気持ちが切れてレースに臨む前に終わってしまう。だから心の余裕が大事。落ち着きがあるから調教で攻めたり、競馬を教えたりできるのでね」
——この馬の長所は
「やっぱり落ち着きがあるのが一番じゃないかな。稽古でもイレ込むことなく、淡々と調教をこなしてくれる。心のメリハリがいいよね」
——牝馬2冠達成に向けて、理想の枠やレースのイメージは
「枠はあまり外でなければいいかな。中団くらいのイメージだと思うよ。相手に合わせて同じような競馬をすれば、最後は力で抜けてくるんじゃないかな。納得のいく競馬がしたいね」
■国枝 栄(くにえだ・さかえ)1955(昭和30)年4月14日生まれ、69歳。岐阜県出身。東京農工大を卒業後、78年に美浦・山崎彰義厩舎で調教助手となり、89年に調教師免許を取得。翌年に美浦で開業した。99年
スプリンターズS(
ブラックホーク)でJRA・GⅠ初制覇。
アーモンドアイで日本馬史上初の芝GⅠ9勝を達成。13日現在、JRA通算8984戦1075勝(うち重賞はGⅠ22勝を含む67勝)。