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3日間開催では東西で毎日王冠、京都大賞典のG2が行われた。
この2レースはかつて「G1を超えるG2」と言われて盛り上がったこともあったものだが、近年はやや存在感が希薄になっている。それは直行ローテの馬が増えたためで、一流馬は天皇賞(秋)が使い始めの一戦、そこからジャパンカップや有馬記念、あるいは香港へ、というのが主流になっている。
もちろん直行が増えた理由はひとつではない。仕上げ技術の向上により以前のようにトライアルを使うことが一般的でなくなったのもあるし、G1の賞金が高額になり、そこで勝ち負けできる馬はG2に出走するメリットがあまりなくなった…ということもあるだろう。
参考までに、例えばテイエムオペラオーが走っていた2000年と比較すると、秋G1の賞金は以下のように変化している。
天皇賞(秋)〜ジャパンカップ〜有馬記念の賞金推移(2000年→2022年)
天皇賞(秋) 1億3200万円 →2億円
ジャパンカップ 2億5000万円 →4億円
有馬記念 1億8000万円 →4億円
ご覧の通り軒並み賞金は上がっており、とりわけ有馬記念などは倍以上になっている。その間、G2の賞金はほとんど変わっていないのだから、当然有力馬はこれまで以上にG1重視のローテを組む方が合理的だ。
…いきなりお金の話を始めてどうしたのかと思われるかもしれないが、そういう視点で先週のG2を見直すと、やはり「G1を超えるG2」というような認識を改めなくてはならないように思う。
サリオスが勝った毎日王冠は確かに豪華メンバーではあったが、それでは秋G1で即通用するかというと実は相手関係からも怪しい面がある、それは京都大賞典上位組に関しても同様だ。
参考までに過去5年の両レースの勝ち馬を並べてみる。
毎日王冠過去の過去5年の勝ち馬
2017年 リアルスティール
2018年 アエロリット
2019年 ダノンキングリー
2020年 サリオス
2021年 シュネルマイスター
京都大賞典の過去5年の勝ち馬
2017年 スマートレイアー
2018年 サトノダイヤモンド
2019年 ドレッドノータス
2020年 グローリーヴェイズ
2021年 マカヒキ
上記の馬たちがその後の秋G1でどうだったのかというと…実は国内G1で馬券圏内に好走したのは昨年のシュネルマイスター(マイルCS2着)のみ。むしろ負けた組の中からシュヴァルグランやインディチャンプ、キセキなど、秋G1での好走馬が出ている。
つまり、これらのレースで好走しているようでは、秋G1に余力を残せないか、あるいは毎日王冠の場合1800mに適性を見せすぎている。むしろ、何らかの理由で負けているくらいの馬の方が、まだ今後巻き返しの期待をできるということになる。
今年は毎日王冠から、3着のダノンザキッド、6着のポタジェ、京都大賞典からはボッケリーニあたりを巻き返し候補として覚えておきたい。いずれにしても、かつてほどレベルの高いレースではなくなっており、だからこそジャスティンカフェやヴェラアズールのような上がり馬を狙う…というのが両レースのトレンドなのかもしれない。この傾向は来年まで覚えておきたい。
〜秋華賞展望
では、いつも通り最後は週末の注目馬で締めたい。今週末は3歳牝馬の3冠レース最終戦、秋華賞が行われる。注目馬はコチラ。
・アートハウス(川田将雅騎手)
前哨戦のローズSは好位から抜け出し完勝。春のオークスは不発に終わっただけに改めてのG1挑戦となるが、今回のポイントはなんといっても、
「阪神芝2000mの川田」
は買い。川田騎手は阪神芝2000mの鬼で、2020年以降を見ても、川田騎手×阪神芝2000mは複勝率7割超、ほとんどが人気馬騎乗ながら複勝回収値も100円超。
アートハウスはスタートを決めて器用に立ち回れるので、人馬ともに期待大。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。