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史上7頭目の快挙だ! 春の古馬女王決定戦、ヴィクトリアマイルが17日、東京競馬場で行われ、1番人気のアーモンドアイ(美浦・国枝栄厩舎、牝5歳)が4馬身差の圧勝。シンボリルドルフ、ディープインパクトといった歴代の名馬たちに並ぶ芝GI最多の7勝目を挙げた。陣営は明言を避けたが、主戦のルメール騎手は次走に安田記念(6月7日、東京、GI、芝1600メートル)参戦を熱望。今春のうちに、日本競馬の歴史を塗り替えてしまうかもしれない。
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こんな走りを待っていた。前日の雨と一転して青空の下、アーモンドアイが4馬身差の楽勝。無観客でなければ大歓声に包まれたであろう圧倒的な勝ちっぷりに、主戦のルメール騎手は舌を巻いた。
「めちゃくちゃ強かったです。いいスタートを切れて、いいポジションを取れたし、道中もとてもリラックス。最後はパワフルなストライドを使いました。エンジン(余力)はまだありました」
ライバルたちの出方をうかがいながら4番手につけた。直線も馬なりで前に並びかけ、残り200メートルで鞍上がわずかに腕を動かすと、一気に先頭に立つ。左手のターフビジョンを見て、さらに右側から後続の位置取りを確認すると手綱を緩ませた。肩ムチだけで100メートル程度追っただけ。現役最強馬たる力の違いをまざまざと見せつけた。
主戦騎手にとっては待ち焦がれた騎乗だった。昨年の有馬記念でまさかの9着。復活を期待された3月のドバイ遠征では、国内での騎乗をキャンセルして1週前に現地入りしたが、新型コロナウイルスの影響で開催中止の憂き目に遭った。
さらに、コロナ禍で東西トレセン間の往来にストップがかかっているため、調教にも騎乗できず。またがったのは、3月12日の追い切り以来だった。「すごく静か。大人になりました。いつもアーモンドアイに乗るときは特別な日。自信を持って乗るけど、勝って安心します」。成長を感じつつ、断然人気に応えて安堵の表情。ここ2週、代わりに美浦トレセンで調教に騎乗した三浦皇成騎手にも「感謝したい。フットワークからも調子は良かったし、いい仕事をしてくれました」と、レース直後の検量室内では2人が抱き合って健闘をたたえた。
これで史上7頭目となる最多タイの芝GI7勝目。ディープインパクトやキタサンブラックなどと肩を並べるとともに、総獲得賞金も14億円超えで歴代7位となった。
「アーモンドアイはレジェンドホース。でも、彼女の“人生”はまだ終わっていません。これからは負けない。やっぱり特別な馬ですから」
ルメール騎手が期待を寄せるように、今後は史上初の大記録が懸かる。次走は未定ながら、主戦ジョッキーは「安田記念はビッグレース。(スタートの不利で3着だった)去年は残念でした。リベンジしたい」と、今春に同舞台のGI参戦を熱望する。過去、多くの名馬たちが届かなかった芝GI8勝の金字塔。完全復活を遂げたアーモンドアイなら、あっさり打ち破ってしまうかもしれない。(千葉智春)
■アーモンドアイ 父ロードカナロア、母フサイチパンドラ、母の父サンデーサイレンス。鹿毛の牝5歳。美浦・国枝栄厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。戦績12戦9勝(うち海外1戦1勝)。獲得賞金14億663万3900円(うち海外3億9570万900円)。重賞は2018年GIIIシンザン記念、GI桜花賞、GIオークス、GI秋華賞、GIジャパンC、19年UAEGIドバイターフ、GI天皇賞・秋に次いで8勝目。ヴィクトリアマイルは国枝調教師が11年アパパネに次いで2勝目、クリストフ・ルメール騎手は17年アドマイヤリードに次いで2勝目。馬名の意味は「美人とされる顔の目の形」。
★獲得賞金歴代7位…ヴィクトリアマイルを勝ったアーモンドアイは海外も含む総獲得賞金を14億663万3900円とし、わずか12戦(9勝)のキャリアで、ゴールドシップ、ウオッカを抜いて歴代7位に浮上した。1位はキタサンブラック(20戦12勝)の18億7684万3000円。牝馬では3位ジェンティルドンナ(19戦10勝)が17億2603万400円、5位ブエナビスタ(23戦9勝)が14億7886万9700円となっている。
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