土曜の阪神メインは阪神Ｃ（２５日、ＧＩＩ、芝１４００メートル）。フルゲート１８頭に登録馬は２２頭。昨年の勝ち馬を含めて多彩なメンバーが顔をそろえた。過去１０年で１番人気馬の勝利は２０１９年のグランアレグリア１頭のみ。開催が進んで馬場の内めが傷んでおり、“外差し”が利く状況も踏まえると、枠順、展開が大きな鍵になりそうだ。

　グレナディアガーズ（栗東・中内田充正厩舎、牡３歳）は、２歳時に朝日杯フューチュリティＳを制覇。３歳の今年は４戦して勝ち星を挙げられていないが、折り合いさえスムーズにつくようなら、あっさりと勝ち切れるだけのポテンシャルの高さを持つ。前走のマイルチャンピオンシップ（１３着）は前方に馬の壁をつくれず、道中で力んでしまったのが敗因。１ハロン短縮の１４００メートル戦ならペースが速くなりやすく、引っ掛かる心配が薄らぐだけに、ストレートに能力を出し切れそうだ。「中間の調整はうまくいっています。１９日の調教では、本来のこの馬らしさを感じる動きをしてくれましたよ」と中内田調教師。状態面に不安はなく、パワーの必要な荒れた芝も問題ない。約１年ぶりの勝利のチャンスは十分ありそうだ。

　同厩のダノンファンタジー（牝５歳）は阪神ジュベナイルフィリーズ、昨年のこのレースなど重賞６勝の実績馬。前走のスワンＳ快勝後は適性十分の舞台設定を考慮されて、ここを目標に調整を進められてきた。調教の動きがよく、気配は上々。きっちりと仕上がっている。全７勝中６勝が阪神コースで、１４００メートル戦は４戦３勝とベスト。一瞬の脚が最大の武器になるが、鞍上の藤岡佑騎手も個性を把握している。課題のスタートをうまく決められるようなら、連覇の可能性が広がる。

　ホウオウアマゾン（栗東・矢作芳人厩舎、牡３歳）は、マイルＣＳで５着に健闘。自らペースをつくり、強敵相手にコンマ４秒差に駆けた。今度の顔ぶれなら、地力で見劣ることはいっさいない。今回が休養明け３走目。「調整は順調だし、いい状態」と池田厩務員が胸を張る。１４００メートル戦は未勝利ながらも、スピード負けするとは思えない。先手を奪えなくても、控えても競馬ができるタイプ。４月のアーリントンＣを制しているように、阪神の舞台もいい。

　ソングライン（美浦・林徹厩舎、牝３歳）は前走の富士Ｓで重賞初勝利。中団追走の形から、自慢の末脚で勝利を飾った。５月のＮＨＫマイルＣ２着の実績からも、ＧＩＩ戦なら十分に通用する器。１４００メートルの距離も心配ない。左回りで実績を残してきているだけに、ポイントは右回りになるが、スムーズなコーナーリングから身上の決め手を発揮できれば侮れない。

　ルークズネスト（栗東・浜田多実雄厩舎、牡３歳）のスワンＳ４着は、発馬で後手に回って流れに乗り切れなかった。最後はよく伸びており、五分のスタートだったら、結果は違っていただろう。今回は鞍上がルメール騎手にスイッチ。１５日の１週前追い切りに騎乗して、感触を確認済み。ゲートの不安と道中の折り合いが鍵になるが、展開を含めてうまくかみ合うようなら勝ち負けして不思議はない。

　シヴァージ（栗東・野中賢二厩舎、牡６歳）は京阪杯で内めの（６）番枠のために馬場の傷んだ場所を走らされた。直線で伸び切れなかったのも仕方がない。１４００メートルは芝では未勝利だが、ダートで２勝しているように距離自体に不安はない。近２走連続でスタートをクリアしている点は明るい材料。立ち回り次第で反撃のシーンが期待できる。

　近況不振ながらＮＨＫマイルＣ優勝馬ラウダシオン（栗東・斉藤崇史厩舎、牡４歳）、ＧＩ２着の実績があるサウンドキアラ（栗東・安達昭夫厩舎、牝６歳）、ケイデンスコール（栗東・安田隆行厩舎、牡５歳）も上位争いは可能。距離克服が鍵だが、ＣＢＣ賞を日本レコードで制したファストフォース（栗東・西村真幸厩舎、牡５歳）、１７年高松宮記念の覇者で今回がラストランの予定のセイウンコウセイ（美浦・上原博之厩舎、牡８歳）のレースぶりも興味深い。

★阪神Ｃの特別登録馬（想定騎手入り）はこちら　調教タイムも掲載

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