牝馬クラシック初戦、桜花賞の追い切りが６日、栗東トレセンで行われた。トライアルのチューリップ賞を制し、ＧⅠ初勝利を狙うナミュール（栗東・高野友和厩舎）は、坂路単走で軽快な動きを披露。ＧⅠウイナーの厩舎の先輩牝馬ショウナンパンドラ、レイパパレと遜色ない素質の持ち主が、万全の態勢で桜の女王の称号を奪いに行く。

春の暖かな日差しに照らされ、鹿毛の馬体を弾ませた。チューリップ賞を快勝したナミュールがＧⅠ初制覇に向け、坂路で軽やかな最終リハ。拠点を置く美浦から栗東に駆けつけた横山武騎手が納得の表情を浮かべた。

「チューリップ賞の前に乗せていただいて、そのときからいい馬だな、という感触を得ていましたし、今回もいい感触を得ることができました。いい意味で変わりがないですね」

前半は馬のリズムに任せてゆったりとしたペース。柔らかみのあるフォームで駆け上がった。終始、小気味いい走りで、馬なりのままラスト１ハロン１２秒０でフィニッシュ。全体時計こそ４ハロン５４秒９と控えめだが、気配の良さが目立った。３月３０日の１週前追い切りで自己最速を１秒６更新する４ハロン５１秒４をマーク。時計が予定より速くなったぶん、今週はソフトな仕上げに。動きを見届けた高野調教師は「時計が出てしまうくらい状態がいい」とうなずいた。


前走は最後の直線で窮屈な形になったが、進路を外に切り替えてから極上の切れ味で差し切り。初コンビだった横山武騎手は「跳びが大きいので、エンジンがかかればいい脚を使えますが、前回のようにブレーキをかけるシーンがあっても再加速することもできる。すごい馬だなと感じました」と高く評価する。

また高野調教師は、これまで手掛けた秋華賞、ジャパンＣを勝ったショウナンパンドラ、昨年の大阪杯で３冠馬コントレイルを倒したレイパパレと比較し、「質は違いますが、見劣ってはいません」とジャッジ。新たな牝馬のＧⅠウイナー誕生に自信をのぞかせる。

１番人気に支持された阪神ＪＦは、出遅れが響いて４着。ゲート練習を積んだ前走は五分のスタートを切り、前哨戦Ｖにつなげた。トレーナーは「チューリップ賞の前で矯正的なゲート練習は完了しました。今は復習の段階。もう大丈夫ですね」と力を込める。

「ここ２週、期待に応えられていないので、何とかいい結果を出せるよう頑張りたいです」

高松宮記念（レシステンシア６着）、大阪杯（エフフォーリア９着）と１番人気で連敗中の横山武騎手は、〝３度目の正直〟を力強く誓った。波乱が続く春の流れを断ち、最有力候補のナミュールが桜の舞台でヒロインを演じる。（山口大輝）

★高野師ＴＡＬＫ

－－追い切りについて

「１週前追い切りで予定よりも速い時計が出て、その後の経過は良かったので心配はしていませんが、体を動かす程度でいいかなと思っていました。離れたところの自厩舎の併せ馬を見る形で、リズム良く行ってくれた。体の疲れもなく元気でしたし、いい中間を過ごせました」


－－前走で４３０キロと小柄な牝馬

「阪神ＪＦとチューリップ賞の間で、理想はもう少し増やして競馬に行ければ良かった。今回も増えていないですが、チューリップ賞の前よりもカイバ食いに対して意欲的になっているので、ホッとしています」

－－理想の枠順など

「包まれる確率を思えば、外枠でいいと思います。外枠の偶数というのがいいでしょうね」




桜花賞に縁がある血統だ。３代母キョウエイマーチは１９９７年に１番人気に応えて優勝。だが、母サンブルエミューズは２０１３年に６着に敗れた。母の雪辱が懸かる一戦。近年では、０７年のダイワスカーレット（スカーレットブーケ９１年４着）、０９年のブエナビスタ（ビワハイジ９６年１５着）、１８年のアーモンドアイ（フサイチパンドラ０６年１４着）などが母の〝リベンジ〟を果たしている。

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