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後方に構えた4番人気のモリアーナが直線ではじけるように伸びて差し切り。横山典弘騎手=美浦・フリー=は、55歳6カ月18日のJRA最年長重賞勝利を果たした。2着ヒップホップソウル、3着シランケドまでが秋華賞(10月15日、京都、GⅠ、芝2000メートル)の優先出走権を獲得した。
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桁違いの切れ味にスタンドがどよめいた。4コーナー14番手にいたモリアーナが、残り200メートルから瞬時に各馬をかわし去って〝ワープ〟。会心の差し切りに左こぶしを握り締めた横山典騎手は、JRA史上最年長重賞Vを決めた。
「休み明けのぶん体の使い方はモタモタしていましたが、最後はいい感じではじけてくれましたね。まだ若いお姉ちゃんですが、いいところがいっぱいある」
今年の重賞初勝利となったベテランが目を細めた。道中は後方の内で折り合いをつけると、直線の坂を上がってアクセル全開。馬群を縫ってメンバー断トツの3ハロン34秒3という末脚を繰り出し、息子・武史騎乗のヒップホップソウルを捕らえた。先週の札幌2歳Sとは着順を入れ替え、グレード制導入後初となる2週連続での重賞親子ワンツーだ。
次なる目標は春2冠のリバティアイランドが待ち受ける秋華賞。武藤善則調教師は「きょうのパフォーマンスなら胸を張って阪神ジュベナイルフィリーズ(12着)以来の再戦ができる」と期待をふくらませた。切れ味鋭いモリアーナが、秋の淀で女王に一矢報いる。(綿越亮介)
■モリアーナ 父エピファネイア、母ガルデルスリール、母の父ダイワメジャー。鹿毛の牝3歳。美浦・武藤善則厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は高橋文男氏。戦績7戦3勝。獲得賞金9389万6000円。重賞初勝利。紫苑Sは横山典弘騎手、武藤善則調教師ともに初勝利。馬名は「スラブの伝承に登場する風の女神」。
★横山典弘騎手…55歳6カ月18日での勝利。JRA重賞Vは2022年きさらぎ賞(マテンロウレオ)以来。21年レパードSをメイショウムラクモで制した柴田善臣騎手(55歳0カ月10日)を上回り、JRA重賞最年長勝利記録となった。
★武藤善則調教師…JRA重賞勝ちは2012年新潟2歳S(ザラストロ)以来、通算4勝目。
★本番へ…重賞昇格後の紫苑S勝ち馬では、2017年ディアドラ、22年スタニングローズが秋華賞でも優勝している。