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JRA元調教師 大久保正陽氏が死去 3冠馬ナリタブライアンなど歴史的名馬を育成した名伯楽

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JRA元調教師 大久保正陽氏が死去 3冠馬ナリタブライアンなど歴史的名馬を育成した名伯楽

中央競馬の元騎手、元調教師の大久保正陽さんが21日に誤嚥性肺炎のため死去していたことが25日、明らかになった。87歳だった。調教師として〝シャドーロールの怪物〟と呼ばれた3冠馬ナリタブライアン、GⅠ2勝のメジロパーマーなどの多くの名馬を育てた名伯楽。常識にとらわれない手法で輝かしい実績を残した。



個性的な名馬とともに大舞台をにぎわした大久保正陽さんが、天へと旅立った。

競馬一家に生まれた。「生まれる前から決められていたこと」と話すほど、競馬の世界に入ることは必然だった。祖父の大久保福松氏、父の亀治氏も調教師。当時、西宮市にあった鳴尾競馬場の出身で、馬と隣り合わせの環境で生まれ育った。1953年に騎手候補生となる一方、夜は立命館大学に通って法律を学んだ。57年に騎手デビュー。51勝を挙げて70年に引退後は、調教助手を経て73年に調教師としての道を歩み出した。


76年には〝気まぐれジョージ〟の愛称で親しまれたエリモジョージで天皇賞・春を優勝。GⅠ級のレースを初めて制した。メジロパーマーではGⅢ札幌記念を制覇後に障害に転向して2戦1勝。再び平地に戻ると、92年には大逃げを打ってGⅠ宝塚記念有馬記念とグランプリ春秋連覇を達成。型にはまらないタクトで才能を開花させた。

実績を積み重ねる中でナリタブライアンと出合う。93年のGⅠ朝日杯3歳S(現朝日杯FS)を勝ったが、昔ながらの手法で間隔をあけずに94年は共同通信杯スプリングSを勝って皐月賞に参戦。キャリア10戦目でクラシックを制した。秋初戦の京都新聞杯で2着に敗れると、菊花賞に向けて報道陣をシャットアウト。〝雑音〟を封じて史上5頭目の3冠馬を誕生させた。

〝シャドーロールの怪物〟と称されたスターホースに対しても、固定観念にとらわれることはなかった。96年の天皇賞・春2着後、次戦に選んだのは2000メートルも距離が短い1200メートル戦のGⅠ高松宮杯(現高松宮記念)。4着に敗れて批判を浴びたが、信念を貫いて果敢な挑戦を続けた。

戦争を経験し、大病も患った。それでも、サラブレッドへの愛情で苦境を乗り越えた。2006年の引退直前には「私には〝この一頭〟という馬はいないですね。強いて言うならば、すべての馬が〝この一頭〟です」とポリシーを語った。JRA通算7007戦597勝で重賞は50勝。93年に優秀調教師賞、94年にJRA賞(最多賞金獲得調教師)を受賞した。最後の勝利は、ナリタブライアン産駒のブライアンズレターでのものだった。

葬儀は親族のみで行われた。またひとり、ターフを彩った名伯楽がこの世を去った。

大久保 正陽(おおくぼ・まさあき) 1935(昭和10年)8月23日生まれ。兵庫県出身。1957年に騎手としてデビューし、通算51勝(うち重賞5勝)。70年に引退して調教助手に転身。71年に調教師免許を取得して73年に開業した。2006年の引退までにJRA通算597勝。重賞はGI級11勝を含む50勝を挙げている。祖父・福松氏、父・亀治氏は元調教師。次男の龍志調教師、孫の友雅騎手など、一族には競馬関係者が並ぶ。



ナリタブライアンに騎乗し、3冠を達成した南井克巳調教師 「(訃報を聞いて)びっくりしました。以前は調教スタンドにも来られていましたが、最近はコロナの影響もあって、お会いできていなくて…。お世話になりました。ご冥福をお祈りします」


◆息子の大久保龍志調教師「実績はすごいですし、人を何人も育て、亡くなってから改めて、でかかったなと思います。師匠として、おやじとして、尊敬するところはいっぱいあります。(ナリタ)ブライアンみたいな馬を間近で見させてもらったことも大きな財産になっていると思います」

◆大久保正陽厩舎で調教助手を務めた北出成人調教師「コロナの前は、うちの厩舎と大久保龍志厩舎をよく回ってくれていた。先生の厩舎を引き継いで、助手のころから北海道に同行させてもらって勉強になりました。感謝の言葉しか出てきません」



【悼む】

大久保正陽さんは、正しいと思ったことを絶対に曲げない、昔かたぎの調教師だった。少しとっつきにくい感じがあり、当時の若手記者は怖がっていた。でも、それはトレーナーとしての信念の裏返しだったと思う。

ナリタブライアンが2歳時に7戦も使った理由を聞くと、「ブライアンは調教だけではエネルギーを発散しきれない。だからレースに使う」と。いい精神状態を保つことが一番大切なこと。だからクラシックを狙うような馬でも、「使い過ぎ」という声が耳に入ってきても、信じたことをやり通す。それが3冠達成につながったと思う。

またブライアンのトレードマークはシャドーロール。菊花賞のころには必要なかったそうだが、「ブライアンといえばシャドーロール」。そう思っているファンの気持ちをくんで着け続けた。

引退後もしばらくは栗東トレセンの調教スタンドに顔を出しておられた。そのときは気さくによくしゃべられて、ちょっとびっくり。大きなプレッシャーがなくなったんでしょうね。ご冥福をお祈りします。


(元中央競馬担当・橋本忠)

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