京都では土曜にＧＩＩＩ平安Ｓ（ダート１９００メートル）が行われる。一昨年から５月に開催時期が替わり、フェブラリーＳの前哨戦という位置付けから、帝王賞へのステップ、または秋以降を見据えた賞金加算の場として行われている。

　注目は昨年の覇者で、前走のアンタレスＳを快勝して臨むクリノスターオー（栗東・高橋義忠厩舎、牡５歳）だ。昨秋後半はやや集中力を欠くレースが目立ったが、前走で初めて装着したブリンカーの効果がてきめん。逃げ切りを狙うアジアエクスプレスを、２番手追走からきっちりとらえて重賞３勝目を飾った。最後までノーステッキでのＶで、半馬身という着差以上の強さ。幸英明騎手は「まだ遊んでいた」と話すように、本気で走ればどこまで強いのか－と思わせる魅力がある。昨年は１２番人気７４．９倍という全くの人気薄だったが、今年は主力としての出走だ。過去２年の連対馬はいずれもアンタレスＳからの臨戦だけに、ローテーションも最適だろう。

　インカンテーション（栗東・羽月友彦厩舎、牡５歳）は前走のフェブラリーＳで２着に好走。２カ月以上の休み明けでは勝ち星がなく、目標が次の帝王賞（６月２４日、大井、交流ＧＩ、ダート２０００メートル）という点は気掛かりだが、みやこＳ優勝があり、京都コースは得意にしている。前走から騎乗する内田博幸騎手とのコンビネーションも２戦目だけに、さらなるパフォーマンス向上が見込めそうだ。

　昨年のチャンピオンズＣ２着馬ナムラビクター（栗東・福島信晴厩舎、牡６歳）は年明けの東海Ｓで１１着に惨敗したが、ひと息入れた前走のアンタレスＳで３着とまずまずの結果を残した。今回は前走から斤量が１キロ減って５６キロでの出走できる点もプラス材料だ。１番人気の昨年は５７キロでの５着。巻き返しも十分にある。

　佐賀記念、マーチＳと重賞を連勝し、完全に軌道に乗ったのがマイネルクロップ（栗東・飯田雄三厩舎、牡５歳）だ。今回は斤量１キロ増の５７キロでさらに相手も強くなる点が鍵だが、【４・３・３・１】のベストコースの京都に替われば重賞３連勝の可能性は大いにある。この馬とのコンビで一気にブレークした丹内祐次騎手も波に乗っており、目が離せない。

　一昨年の２歳牡馬王者アジアエクスプレス（美浦・手塚貴久厩舎、牡４歳）は骨折休養明けの２戦がともに２着。１番人気を続けて裏切る形にはなったが、最内枠の前走はもまれるのを避けて逃げ、勝ったクリノスターオーのいい目標になってしまった。調教の動きは相変わらず良く、叩き３戦目でさらに上積みが見込める。先週末の土日重賞を連勝した戸崎圭太騎手にとっては開催日重賞３連勝の快挙がかかる一戦だ。

　３連勝でオープン入りしたエノラブエナ（栗東・宮本博厩舎、牡４歳）は、コンビを組む小牧太騎手も大きな期待を寄せている馬。昨年末に５００万下を卒業したばかりの上がり馬が一気に重賞ウイナーとなれば、今後の勢力図を塗り替える可能性もあるだろう。

　アンタレスＳ４着馬で京都３戦３勝のダノンバトゥーラ（栗東・角居勝彦厩舎、牡４歳）もエノラブエナと同じ４歳の上がり馬。前走も強豪相手に大きな差はなかっただけに、クラス２度目で前進が見込める。

　古豪ローマンレジェンド（栗東・藤原英昭厩舎、牡７歳）も前走のアンタレスＳ６着は落馬寸前の不利があっての結果。まだ一線級の力を保持しており、【４・０・１・０】の京都なら軽視はできない。

　ほかにも、もっか８戦連続で掲示板を確保しているソリタリーキング（栗東・石坂正厩舎、牡８歳）や、東海Ｓ２着以来となるグランドシチー（美浦・相沢郁厩舎、牡８歳）、オープン昇級後も大崩れなく堅実なイッシンドウタイ（美浦・伊藤圭三厩舎、牡６歳）、充実著しいサウンドトゥルー（美浦・高木登厩舎、セン５歳）、ブリリアントＳを快勝したドコフクカゼ（栗東・友道康夫厩舎、牡５歳）、主戦・酒井学騎手とのコンビに戻るニホンピロアワーズ（栗東・大橋勇樹厩舎、牡８歳）などなど有力馬は五指どころか十指にも余る。今後のダート界を占う意味でも、必見のレースといえそうだ。

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