世界の頂点を狙う３歳女王が、堂々と古馬を撃破する。真夏の中央競馬最大レース、ＧＩＩ札幌記念で主役を務めるのは、桜花賞＆オークスの２冠牝馬ブエナビスタだ。札幌サンケイスポーツ予想で、ブエナの密着取材を続ける高尾幸司記者は、今回は凱旋門賞（１０月４日、仏ＧＩ、ロンシャン、芝２４００メートル）への通過点でしかないと断言。前日で単勝オッズ１．８倍の圧倒的な１番人気だけに、３連単は１０点に絞って勝負する。

　世界最高峰の凱旋門賞を次に見据えているからこそ、今回はブエナビスタにとって負けられない戦いだ。それは松田博資調教師も重々、承知している。「凱旋門賞は結果が求められる。ここで足りなければ、外国へ行ってどうこうは言っていられない」。初の古馬相手をクリアしてこそ、世界への扉が開かれる。

　昨年１０月の新馬戦こそ３着に敗れたが、１、２着は後の皐月賞馬アンライバルドとダービー２着のリーチザクラウン。レベルが高かったし、まだブエナ自身も幼かった。その後は堂々の５連勝。昨年１２月の阪神ＪＦを皮切りに桜花賞、オークスをケタ違いの末脚で制してＧＩ３勝。近年屈指の牝馬の地位を確立した。

　今回は初の古馬との対戦、直線が短い札幌コースといった壁がある。しかし「そういう条件でも不細工な競馬はしない」と松田博師は絶対的な自信を持つ。主戦の安藤勝己騎手も「スケールの大きさはダイワスカーレットと変わらない。能力的に古馬相手でもやれるはず」。昨年の有馬記念をはじめＧＩ４勝の名牝とそん色のない評価を与える。斤量５２キロも圧倒的に有利。後ろからの競馬でも早めに仕掛ければ、直線２６９メートルの札幌芝でもキッチリ前を捕らえる。

　もちろん、仕上がりも万全だ。オークス後は北海道安平町のノーザンファームでリフレッシュを図りつつ、体を緩めず乗り込まれた。８月２日に札幌競馬場に入厩。慣れないダートコースでの調整だったが、例年、夏は札幌を主戦場としている松田博師。札幌で仕上げるノウハウは十分に持っている。「順調に調整できて、仕上がりは文句ない」とトレーナーは自信満々。３カ月の短い期間でも体は逞しくなり、成長も感じさせている。

　松田博師、生産者のノーザンファーム・吉田勝己代表が凱旋門賞を意識したのは阪神ＪＦを勝ったとき。それほどの逸材にとって、ここは通過点でしかない。圧倒的な強さでフランスへと羽ばたく。馬券は３連単（１１）１着固定のフォーメーション。２着に函館記念の勝ち馬（４）サクラオリオン、一昨年の有馬記念馬（１４）マツリダゴッホを据え、（１１）→（４）（１４）→（１）（４）（７）（９）（１３）（１４）の１０点に絞って勝負する。（高尾幸司）

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