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2歳女王決定戦・阪神ジュベナイルフィリーズの出走馬が10日、確定した。2012年の3冠牝馬でGI7勝の女傑ジェンティルドンナを母に持つジェラルディーナ(栗東・石坂正厩舎)が、抽選対象6頭の中から5頭の出走枠に選ばれた。父モーリスもGI6勝馬という“13冠ベビー”が、運を味方につけて戴冠を狙う。枠順はきょう11日に確定する。
うら若き“乙女”が暮れの仁川に集結。素質馬ぞろいだが、未知の部分が多い2歳牝馬のGIだけに、実績をうのみにはできない。そこで、ZBAT! 特捜班は1勝馬ジェラルディーナに注目した。“6分の5”の抽選を突破した運を味方につけ、超良血馬が波乱の使者となる。
「(出走枠に)入ってよかったです。能力はありますし、勝負になると思っていたので、入る前提で調整はしてきました」
出走馬が確定した午後2時。投票所で吉報を聞いた松岡助手が笑みを浮かべた。ここまで3戦1勝。デビュー戦が3着、2戦目は2着と一戦ごとに着順を上げ、前走の未勝利戦(阪神芝1800メートル)を上がり最速の末脚で差し切り、待望の初勝利を挙げた。収得賞金400万円の馬6頭のうち、5頭が出走権を得られる抽選を突破し、出走枠に滑り込んだ。
重賞2勝馬もいる中、未勝利勝ちのみの実績は見劣るが、華麗なる血統のバックボーンなら他の出走馬にもひけは取らない。母ジェンティルドンナは同じ石坂正厩舎に所属し、2012年に牝馬3冠を達成。ラストランの有馬記念でGI7勝目を挙げた女傑だ。今回と同じ阪神芝1600メートルで行われた桜花賞では、上がり最速の末脚でVを飾っている。
父モーリスもGI6勝の名マイラー。現2歳世代が初年度産駒となる新種牡馬だが、2歳リーディングサイアー争いではディープインパクトに次ぐ2位につけ、高い資質を子供たちに伝えている。潜在能力、そしてマイルの距離適性の高さを考えても“特注”といえる血統背景だ。
母にまたがったこともある井上助手は「まだまだ先に良くなりそうな気はします。今は身体能力だけで走っている感じ」と前置きをしながらも「乗り味はめちゃくちゃいいですよ。全身を使って走れるし、跳びも大きい」と長所を語る。前走から1ハロンの距離短縮となる点も「行きっぷりがいいから、短くなるのはいいんじゃないかと思います」と歓迎した。
2走前は最後の直線でふらつく面をみせて僅差で敗れるなど、まだまだ粗削りなダイヤの原石。GIという大舞台でこそ、父、母から受け継いだ素質が花開くかもしれない。両親合わせてGI13勝の超良血娘が、ライバルを撃破して女王の座に君臨する。 (ZBAT!特捜班)
●…過去のこのレースで抽選突破からVを飾った馬は4頭。2006年ウオッカ(日本ダービーなどGI7勝)、07年トールポピー(オークスとGI2勝)、08年のブエナビスタ(ジャパンCなどGI6勝)、11年ジョワドヴィーヴル(GI1勝)と、そのうち3頭はGIを複数回制するスターホースへと駆け上がっていった。血統的ポテンシャルの高いジェラルディーナも要注目だ。