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当企画のコンセプトにつきましては、コチラにてご確認ください。今週も“勝ち逃げ馬券師”新良武志氏に、注目の乗り替わりをピックアップしてもらいます。
※データは2020年以降の結果をもとに集計
編集部(以下、編) JRAの本年度前半戦最後のG1となる宝塚記念がやってまいりました。
新良(以下、新) いよいよ、この週を迎えましたね。
編 「春のグランプリ」「上半期の総決算」など、いろいろな呼ばれ方をしている、文字通りの大一番です。今年はG1馬8頭を含む豪華な顔ぶれとなりました。
新 とにかく楽しみ。それに尽きます。
編 断然人気が予想されるイクイノックスは継続騎乗ですが、G1にしては有力馬の乗り替わりが多い印象です。やりがいがあるんじゃないですか?
新 やりがいはあります。でも難しい(苦笑)。
編 継続騎乗が上位3着を独占という雰囲気ではありませんので、どこかに正解が潜んでいる気がします。ぜひ、それを探り当ててください。
新 全力を尽くします。推奨馬がイクイノックスを負かしてくれたら最高なんですけどね。
編 攻めの予想に期待しています。では、結論をお聞かせください。
新 C.デムーロ騎手から武豊騎手に乗り替わる⑪ジェラルディーナを狙います。
編 テン乗りで武豊騎手という、興味深い乗り替わり。ぜひとも推奨理由を伺いたいです。
新 武豊騎手の前に、まずは馬の話をさせてください。私はそもそもジェラルディーナを高く評価していて、もっと上を目指せる馬だと思っています。
編 そうなんですね。乗り替わりどうこうではなく、能力的にここでも通用するとみているのが大前提になるわけですね。
新 はい。条件戦時代からオープン入り初期まで、長く福永騎手が溜める競馬を試みるも、重賞クラスでは上がり最速でも届かないレースが続いていました。そんな状況を打破したのが、オールカマーにテン乗りで臨んだ横山武史騎手です。先行策に出て、重賞初勝利をつかみました。
編 その勢いのまま、C.デムーロ騎手でエリザベス女王杯を勝利。有馬記念でも3着に好走しましたね。
新 晩年の福永騎手の騎乗はやや物足りなかったので、勢いのある若手が馬にスイッチを入れてくれたと考えれば腑に落ちます。5歳になりましたが、血統的にもまだ伸びしろがあるとみるべきでしょう。
編 大阪杯、香港のQE2とここ2戦は結果が出ていませんが……。
新 オールカマーを含めた秋3戦は、いずれも35秒台の上がりで通用するレースでした。この馬は長くいい脚を使った馬が好走するレースでこそ、強さを発揮します。だから、スピードの問われる大阪杯や香港のレースは厳しかったんでしょう。
編 負けて納得、というわけですね。
新 そうですね。馬券妙味という観点からは、むしろ好感が持てるくらいの敗戦です。これまでの勝利は1800mと2200mのみ。いわゆる非根幹距離で強い馬で、今回の舞台変わりは大きなプラスになるとみています。
編 では、そろそろ武豊騎手の話を……。
新 この乗り替わりは、ジェラルディーナにとっては明らかな追い風です。武豊騎手は阪神芝2200mで21.1%のコース勝率をマーク。これは川田将雅騎手、坂井瑠星騎手に次ぐ3位の成績で、ルメール騎手を上回っています。
編 舞台適性はバッチリと。
新 はい。百戦錬磨のレジェンドなので、ジェラルディーナのことをしっかり研究し、ベストの乗り方を頭の中でイメージしていることでしょう。
編 あとは強力な牡馬勢相手に、どこまで頑張れるか。
新 お母さんのジェンティルドンナは、古馬になっても第一線で活躍し、オルフェーヴルやゴールドシップを負かした実績のある馬ですからね。イクイノックス相手に、ジャイアントキリングを演じてもなんら不思議はありません。一発を決めてもらいたいですね。
★その他の注目乗り替わり★
函館11R ⑤セキフウ(藤岡康太→藤岡佑介)
東京11R ⑪ストーンリッジ(松田大作→戸崎圭太)
阪神12R ①スクーバー(レーン→川田将雅)
【プロフィール】
新良武志(しんら・たけし)
かつてはどこにでもいる競馬ファンの1人だったが、データベースソフト【TARGET】との出合いを経て、眠っていた馬券師としての素質が開花。騎手・種牡馬にウマニティU指数を組み合わせた独自のデータ活用術を考案し、常勝スタイルを確立させる。2015年秋にメディアデビュー。雑誌、WEBを中心に精力的に予想家活動を行っている。著書に『毎日コツコツ勝ち逃げリーマン馬券術』(ベストセラーズ)、『ジョッキー未来予測2019』(秀和システム)。