今週は３歳馬の頂点を決める競馬の祭典、日本ダービー（芝２４００メートル）が２９日、東京競馬場で行われる。ウオッカなどの名馬を育てた角居勝彦調教師（５２）＝栗東＝は２歳王者リオンディーズと、青葉賞の勝ち馬ヴァンキッシュランの有力２頭を大一番に送り込む。栗東トレセンのリポーターとして活躍中のタレント・山口実香（２６）が、今年のダービーの鍵を握るトップトレーナーを直撃。本音を聞き出した。

　山口　有力馬２頭で臨みますが、まずリオンディーズからお話をうかがいます。皐月賞は悔しい結果（※１）でした。

　角居　結構、前めにつけて、速い流れになりましたよね。

　山口　前に行ったのには驚いたのですが、あれは作戦ですか？

　角居　ミルコ（デムーロ騎手）がその日の（レースの）傾向を見てですね。先行馬が残るレースになっていましたからね。

　山口　さきほど馬房で見たときはおとなしかったのですが、レースにいくとスイッチが入る感じですか？

　角居　スピードとパワーは私たちがコントロールできる以上にあります。それだけ能力が高いということですね。

　山口　ダービーで２着だった兄のエピファネイア（※２）と比べ、現時点での完成度は？

　角居　能力的な完成度は、どちらも甲乙つけがたいですね。

　山口　距離についてはいかがですか？

　角居　父母（※３）ともに２４００メートルを勝っているので、血統的には問題ないでしょう。能力的には十分勝ち負けできるところにあります。

　山口　続いてヴァンキッシュランですが、青葉賞（※４）は強かったですね。

　角居　厳しい流れだったし、あんなに切れる脚を使えるとは思っていなかったですね。

　山口　何が変わってきたんですか？

　角居　体つきがよくなって、メンタル面でも走ることに集中できるようになりました。一戦一戦、レースの中で成長していく珍しいタイプ。私が管理してきた馬の中では初めてじゃないかな。

　山口　東京の芝２４００メートルを２度経験しているのはこの馬だけです。

　角居　ジリジリと脚を伸ばす馬だったので、長めの距離じゃないと勝つのが苦しいだろうと思って使ってきました。それがたまたまダービーと同じだったという感じですね。

　山口　２００７年にウオッカ（※５）で初挑戦して優勝しました。当時と比べて心境の変化はありますか。

　角居　今思えば、あのときはまだダービーの重さや価値が分からないままでした。牝馬をダービーに使ったんですからね（笑）。でも、今はダービーの勝つ難しさも分かってきた。力がある馬でもなかなか勝てない。ダービーのタイミングでうまくはまらないといけないですから。今度は牡馬で勝たないといけないなと思っていますよ。

　山口　ズバリ、今年のダービーを制するポイントはどこですか？

　角居　それぞれの得意技をきっちり出せるかでしょうね。ヴァンキッシュはしまいを生かす形。リオンディーズは能力は高いので、ジョッキーのいうことをきくか。いかに、いい形でジョッキーと意思疎通を図るかだと思います。

　山口　やはり同着が理想ですか？

　角居　どっちが勝ってもいいですよ（笑）。うちの厩舎の馬ならね。

　※１　前半１０００メートル５８秒４のハイペースの中、２番手を追走。直線で外に斜行し４位入線も５着降着。

　※２　１３年ダービーは２着。同年菊花賞、１４年ジャパンＣに優勝。

　※３　父キングカメハメハは０４年ダービー、母シーザリオは０５年オークスで東京２４００メートルをＶ。

　※４　５番手を追走して直線で抜け出し、重賞初制覇。

　※５　６４年ぶりに牝馬でダービー制覇。ＧＩ７勝をあげた女傑。

この記事はいかがでしたか？

 (3)