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今週末の29日に、中央競馬の秋のGI開幕戦、スプリンターズS(芝1200メートル)が中山競馬場で行われる。最有力候補のダノンスマッシュ(栗東、牡4歳)を管理する安田隆行調教師(66)を直撃。GI6勝を挙げた父のロードカナロアを育てたトレーナーは「子供でGIを勝ちたい気持ちは強い」と、勝利への意欲を語った。 (取材構成・宇恵英志)
--前哨戦のキーンランドCを快勝して本番へ
「ぜひ勝ちたいですね。勝って、父(ロードカナロア)と同じように香港の舞台(GI香港スプリント)を目指したい。カナロアの子でGIを勝ちたいという気持ちは当然、強いです」
--前走を振り返って
「横綱相撲といえる内容で勝ってくれました。馬群の外を通って、堂々とした走り。春は、あの競馬をして勝てるほどの力がついていませんでした。力をつけている証拠。自信になりますね」
--春と変わった点は
「精神的に大人になりましたね。そわそわした面がなくなりました。しぐさが大人びています。心身両面で完成期に入ったといえますね」
--父のロードカナロアは4歳の高松宮記念で3着に敗れ、スプリンターズSでGI初制覇。春から秋にかけて成長した
「そうですね。息子も成長曲線が似ています。貫禄が出て、ゆったりと振る舞うことができるようになったのは大人びたからですね。レース自体も覚えましたよ」
--19日に滋賀県・栗東トレセンの坂路で4ハロン52秒5-12秒0の好時計
「すごくよかったですね。しまいでシャープな伸びを見せてくれました。調教を積むたびに、しっかりとしてきています」
--中山コースは初挑戦
「心配はしていません。直線に急坂はありますが、坂路調教の走りを思うと大丈夫だと思います」
--ライバルは
「タワーオブロンドンでしょう。正直、あの馬が前走(産経賞セントウルS)であそこまで強い勝ち方(レコードV)をするとは思っていませんでした。キーンランドCで負かしている相手ですが、一番の強敵です」
--現在、JRA50勝で調教師リーディングのトップ。川田騎手も118勝で首位。1位コンビでの参戦になる
「スタッフが一丸となって頑張ってくれています。厩舎に勢いがありますし、川田騎手が前回から続けて乗ってくれるのも心強いですね。頼もしいですよ。川田騎手も『いい馬』と評価してくれています」
--最後に意気込みを
「高松宮記念(4着)はスプリントGI初挑戦で左回りでしたが、今度は走り慣れた右回りの1200メートル戦。いい条件だと思います。今はレース(展開)に注文もつきません。できれば良馬場で競馬がしたい。頑張ってほしいですね」
★最多勝調教師
1990年にスプリンターズSがGIとなって以降、安田隆行調教師の3勝は単独で史上最多(2位は2勝で尾関知人、石坂正、境勝太郎調教師)。4勝目を挙げれば自身の記録を更新する。春の高松宮記念も2012年カレンチャン、13年ロードカナロアで制しており、スプリントGI5勝も単独で最多と、短距離戦で圧倒的な強さを誇っている。
★23日のダノンスマッシュ
滋賀県の栗東トレセンは休日のため厩舎で静養した。岩本助手は「帰厩後も順調ですし、1回使って気持ちも体もいい感じですね。春に比べて子供っぽさが抜けてきました」と目を細めた。初めての中山芝1200メートルの舞台には「器用な馬なので特に気にしていません」と自信を持つ。
安田 隆行(やすだ・たかゆき) 1953(昭和28)年3月5日生まれ、66歳。京都府出身。72年に騎手としてデビューし、JRA通算680勝。重賞は13勝で、91年にはトウカイテイオーで皐月賞、日本ダービーを制した。94年に調教師免許を取得し、95年に厩舎を開業。23日現在、JRA通算789勝、重賞37勝(GI11勝)。