３番人気のスタニングローズが好位から抜け出してＧⅠ初勝利を飾った。坂井瑠星騎手（２５）＝栗・矢作＝もデビュー７年目でＪＲＡ・ＧⅠ初制覇だ。オークス２着の雪辱を果たし、バラ一族の底力を示した。２着は２番人気のナミュール、３冠を狙った１番人気のスターズオンアースは３着に敗れた。これでＪＲＡ平地ＧⅠの１番人気は１５連敗となった。



オークス上位３頭の争いになった最後の直線。真っ先にゴールを駆け抜け、大きな拍手を浴びたのはバラ一族のスタニングローズだ。ＧⅠ初勝利でスターズオンアースの牝馬３冠を阻止。デビュー７年目でＧⅠ初制覇の坂井騎手が、笑顔で振り返った。

「夢に見たＧⅠの舞台で勝つことができて最高の気分です。一度使われて反応が全然違いました。しっかり伸びていて、これなら負けても仕方ないと思える内容でした」

２冠牝馬が出遅れた一方、スタートを決めて道中は好位でリズム良く運ぶ。直線ではスムーズに進路を確保し、ジワジワ脚を伸ばして残り１００メートル手前で先頭へ。最後は猛追する僚馬ナミュールを半馬身差で振り切り、オークス２着のリベンジを果たした。

夏場の充電期間で１４キロ増と体がひと回り大きくなってパワーアップ。前哨戦の紫苑Ｓで重賞２勝目を挙げて最後の１冠に臨んだ。高野調教師は「見た目が立派になって、牡馬と見間違うほど。いろんなことを経験してきたこともつながったんだと思います」と成長ぶりに目を細める。

コンビを組んで３戦３勝の坂井騎手は、２８度目の挑戦でつかんだＪＲＡ・ＧⅠ初Ｖだ。２年目にオーストラリアに渡って約１年の武者修行。その後も所属する矢作厩舎のサポートを受け、世界を舞台に腕を磨いてきた。３月にドバイＧⅡゴドルフィンマイルのバスラットレオンで海外重賞初制覇。今月２日には仏ＧⅠフォレ賞のエントシャイデンで２年連続の３着に入るなど、積み重ねてきた経験が少しずつ実を結んでいる。また同日のスプリンターズＳで同期の荻野極騎手がＧⅠ初制覇。「活躍は刺激になっています。ここは勝つしかないと思って乗りました」と力を込めた。

次走は未定も、高野調教師は「もっと活躍して、新しいスタニングローズの第２章を作ってほしい」と、若き人馬に期待を込めた。次なる大舞台でも華麗に花を咲かせてみせる。（丸橋正宣）

◆坂井騎手の師匠の矢作調教師「いずれ（ＧⅠを）勝つと思っていたけど、よく勝ってくれた。ここまでよく育ってくれたよ。今回も完璧な競馬だった。もっともっと精進して世界的なジョッキーになってほしいね」

■スタニングローズ　父キングカメハメハ、母ローザブランカ、母の父クロフネ。鹿毛の牝３歳。栗東・高野友和厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は㈲サンデーレーシング。戦績１０戦５勝。獲得賞金２億８５８６万２０００円。重賞は２０２２年ＧⅢフラワーＣ、ＧⅢ紫苑Ｓに次いで３勝目。秋華賞は高野友和調教師が２０１４年ショウナンパンドラに次いで２勝目。坂井瑠星騎手は初勝利。馬名は「魅力的な薔薇」。

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