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第21回富士ステークス(20日、東京11R、GIII、3歳上オープン国際(指)、別定、芝1600メートル、1着本賞金4100万円 =出走18頭)
クリストフ・ルメール騎乗の2番人気ロジクライが、3歳1月のシンザン記念以来、2年9カ月ぶりの重賞2勝目を挙げた。タイム1分31秒7(良)は、2003年にミレニアムバイオがマークしたレースレコードを0秒3更新。次走は優先出走権が与えられるマイルCS(11月18日、京都、GI、芝1600メートル)に向かう。1番人気で昨年の覇者エアスピネルは4着に敗れた。
秋深まる府中の杜で完全復活だ。重賞ウイナー12頭が集結したGIの前哨戦は、直線半ばで抜け出したロジクライが後続に2馬身差をつけて完勝した。
「前走のレースを見て、いいペースを維持できるのでいい位置を取りたいと思っていた。反応もとても良かった」
前週の府中牝馬S(ディアドラ)、秋華賞(アーモンドアイ)に続く3戦連続、今月では4度目となる重賞勝利インタビューでルメール騎手が穏やかに笑みを浮かべる。先週は牝馬3冠の歓喜に酔ったが、その余韻に浸ることなく、テン乗りで最高の結果に導いた。
「クリストフ(ルメール)には、グッドポジションを、とお願いしていた。テンのペースも速くなくて、安心したような気持ちで見ていられた」
鞍上とはやや対照的に、顔を紅潮させて須貝調教師が喜びを表現する。それもそのはず。3歳時のシンザン記念でタイトルホルダーの仲間入りを果たした矢先に故障が判明し、2年近くの休養を余儀なくされた。昨年12月の復帰(元町S=7着)後、8戦目で再びたどり着いた重賞の表彰台に「放牧先のノーザンファームが一生懸命やってくれたこと。それとオーナー(久米田正明氏)の辛抱」とトレーナーがチームの結束をたたえれば、久米田オーナーも「休養して1年半くらいたった頃に『復帰は難しいかもしれません』といわれたんです。本当に良かった」と目に涙を浮かべた。
2年9カ月ぶりの劇的重賞Vは、コースレコードに0秒4差に迫る高水準で、マイルCSの有力候補に浮上した。本番ではモズアスコットに騎乗予定の鞍上も「京都の速い馬場も合う。GIでもチャンス」とお墨付きを与えた実力派が、紆余(うよ)曲折の先にマイルの頂を見据え始めた。(内海裕介)
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ロジクライ 父ハーツクライ、母ドリームモーメント、母の父マキアヴェリアン。黒鹿毛の牡5歳。栗東・須貝尚介厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は久米田正明氏。戦績13戦5勝。獲得賞金1億6375万6000円。重賞は2016年GIIIシンザン記念に次いで2勝目。富士Sは須貝尚介調教師、クリストフ・ルメール騎手ともに初勝利。馬名は「冠名+父名の一部」。