競馬ニュース > 記事
中央競馬は、今週から6週連続でGIが開催される。第1弾は伝統のレース、天皇賞・春(5月3日、京都、芝3200メートル)。一昨年のダービー馬キズナ(栗東・佐々木晶三厩舎、牡5歳)が、復権をかけて出走する。骨折休養後、2戦して(3)(2)着。芝の状態が絶好の京都に替わり、本来の切れ味を披露するか。ファンは“強いキズナ”を待っている。
一昨年のダービーに続く、GI2勝目へ。千両役者キズナが淀の舞台で復活する。
「前走を勝てなかったのは予定外だったが、調整はイメージ通りに来ている」
田重田(たじゅうた)厩務員は27日朝、滋賀・栗東トレセンの厩舎で穏やかな表情を見せた。
1年前の天皇賞・春4着後に、左前脚第3手根骨(人間なら手首の関節に相当)を骨折していることが判明。今年2月の京都記念で復帰したが、馬体重が22キロ増えていた上にスローの展開が向かず、3着に敗れた。産経大阪杯はラキシスに競り負けて2着。佐々木調教師は、前走の敗因を雨の不良馬場と説明する。
「1コーナーで耳を絞って(不安や警戒などの感情を表して)いたし、2コーナーでは泥をかぶって首を振っていた。道悪をこなせないことはないが、そんなに好きではなかったんだろう。(2013年のフランスの)ニエル賞(1着)や凱旋門賞(4着)のときの道悪と違うしね」
今回の舞台は芝が生えそろう京都。レース当日まで晴れの予報で、身上の切れ味を最大限に生かせる良馬場が望める。「馬場のいい京都に替わるから、その点は気にならないし、ぶざまな競馬はできないですね」とトレーナー。京都は5戦3勝。2敗のうち、昨春の天皇賞はレース中に骨折していた上、勝ち馬とは0秒1差で、京都記念はタイム差なし。悲観する必要はない。
体調は申し分ない。22日の1週前追い切り後、トレーナーは「毛づやはピカピカを超えてビカビカやね」と目を細めた。
父ディープインパクトは2006年の覇者。ただ今回、3連覇がかかるフェノーメノや、芝3000メートルの菊花賞を制覇、阪神大賞典を3連覇中のゴールドシップなど、ライバルは強力だ。キズナには距離の不安がささやかれるが、田重田厩務員は「(追い出しを)待って、待って、キズナらしい競馬ができれば、3200メートルは大丈夫」と言い切る。
「(メンバー唯一の)ダービー馬が(GI馬限定ゼッケンにGI勝利数を示す)星ひとつじゃかわいそう。何とかもうひとつ欲しいね」
勝てないことで聞こえてくる雑音を、キズナが華麗な走りでシャットアウトする。
★天皇賞・春の特別登録馬(想定騎手入り)はこちら