上半期の総決算・宝塚記念に、今年は池江泰寿厩舎が５頭を登録してきた。トゥザグローリー、ドリームジャーニー、トーセンジョーダン、フォゲッタブルの４頭はすでに出走を確定。補欠のトレイルブレイザーも、繰り上がり出走の可能性が高い。いずれも力を秘めた素質馬ばかりだが、リーダー格のドリームジャーニーが２年ぶりの宝塚記念Ｖに向けて、状態が急上昇中だ。

出走予定馬

　あふれる才能を持つ馬の宝庫。それが池江泰寿厩舎だ。皐月賞に３頭出走させるなど現在、オープン馬を１４頭も有する大厩舎。宝塚記念にグレード制導入後、最多となるＧＩ５頭出しも可能な状況のなか、大将格のドリームジャーニーが、２年ぶりの宝塚記念Ｖに挑む。

　「あとのことは考えません。これが最後という気持ちです」

　池江寿調教師が表情を引き締めてジャーニーについて話した。７歳となった今年、産経大阪杯では出遅れが響いて９着に大敗した。０９年の宝塚記念と有馬記念を制し、頂点を極めたが、昨年は宝塚４着、有馬１３着。ピークは過ぎたか…、という声がささやかれ出した。しかし、昨春の天皇賞直前に痛めた右前肢の球節が完治。坂路でしか乗り込めなかったのが、以前のようにコースで調教ができるようになった。９日にＣＷで６ハロン７９秒５の好時計。１６日は６ハロン８１秒４、３ハロン３８秒２－１１秒９を出し、完全復調をアピールした。

　「球節の状態は安定しています。天皇賞を使わないで宝塚記念というのは、昨年と同じだけど、中間の調整過程がまったく違います」

　トレーナーはひと息の状態で４着に敗れた昨年とは違い、自信に満ちた口調になった。昨年は後方から直線だけ追い込んだ。「モニターの画面から消えたから、やっぱりダメか、と思った。そうしたら最後に１頭だけ抜けた脚で追い込んでくるでしょ。あの状態でも、さすがジャーニーだなと思いましたよ」と振り返る。不安が解消して、昨年をはるかに上回る状態ならば、ブエナビスタやレベルの高い４歳牡馬が相手でも一歩もヒケはとらない。

　「５頭出しは楽しみも５倍だけど、気苦労も５倍です」と苦笑いする池江寿師。皐月賞とダービーの２冠を制した弟オルフェーヴルの活躍に触発されて、ドリームジャーニーにも覇気が戻ってきた。グランプリが一番似合う兄のドラマチックな復活劇が、梅雨空のうっとうしい雰囲気を一掃する。（柴田章利）

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