有馬記念（１２月２６日、中山、ＧＩ、芝２５００メートル）の枠順が２３日、確定した。ファン投票１位ブエナビスタ（栗東・松田博資厩舎、牝４歳）は、昨年、オークスを制した時と同じ〔４〕枠（７）番。ブエナの斜行により、ジャパンＣで繰り上がり優勝を果たしたローズキングダム（栗東・橋口厩舎、牡３歳）はＪＣと同じ〔３〕枠（６）番。因縁の２頭は隣に並んだ。また、有馬記念最多勝の１０勝を誇るラッキナンバー（３）は、フォゲッタブル（栗東・池江郎厩舎、牡４歳）に決まった。有馬記念枠順へ

　過去５４回（出走は５３回）で１０勝。有馬記念でもっとも幸運な〔２〕枠（３）番を引き当てたのは、昨年の４着馬フォゲッタブルだ。

　「いい枠を引きましたね。ここならロスなくレースができます。過去１０勝してる枠？　そうなんですか。やっぱり華がある馬なんですね」

　担当する市川明彦厩務員は、枠順発表を聞いて笑みをこぼした。池江泰郎厩舎の厩務員として、０６年にディープインパクトで勝利している有馬記念だが、０５年はハーツクライの２着に敗れ、ディープが引き揚げてきた厩舎の前で涙をこぼした。そんな思い出のあるグランプリに、今年は担当馬の〔６〕枠（１１）番トゥザグローリーも出走する。

　「経験を積んで成長しています。まだまだ伸びしろのある馬だし、ディープに次ぐ馬になる可能性がありますよ」とこちらの期待も高い。

　フォゲッタブルの母は９７年ＪＲＡ年度代表馬エアグルーヴで、〔３〕枠（５）番ルーラーシップが弟の良血馬。天皇賞・春は６着に敗れたが、１番人気に推された素質馬だ。前走のステイヤーズＳは３６００メートルの長丁場で、鞍上がペースに惑わされて１周目と２周目で２度もスパート。それでも５着に踏ん張ったのが、地力の高さだ。「この馬は晩成タイプですから」と、市川厩務員は昨年の４着を上回る走りを願う。

　来年２月いっぱいで定年を迎える池江郎師の厩舎スタッフとしては、最後のチャレンジとなる。「池江先生はこれが最後のグランプリ。厩舎で何かあれば走って駆けつけるぐらいお元気ですが…」。名残惜しい気持ちを胸にしまって、市川厩務員は師匠への恩返しを果たしたい気持ちでいっぱい。最高の枠を引いたフォゲッタブルが、最高のドラマを演出するか。

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