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クリストフ・ルメール(44歳)=栗東・フリー=騎乗で1番人気のレガレイラが、後方追走からメンバー最速の末脚を駆使して突き抜けた。鞍上は節目のJRAGⅠ・50勝目で、新種牡馬スワーヴリチャードの産駒はGⅠ初制覇。来春は牝馬ながら皐月賞(4月14日、中山、GⅠ、芝2000メートル)を視野に入れる。2着に2番人気シンエンペラー、3着は13番人気サンライズジパング。サウジアラビアRC勝ちのゴンバデカーブースは感冒のため出走取消となった。
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年の瀬の凍えるような寒さの中、震える強さを見せつけた。2023年のJRAラストGⅠを制したのは、牡馬を押しのけて1番人気に推された牝馬レガレイラ。1984年のグレード制導入後、初めて牝馬として牡馬混合の2歳GⅠを制し、父スワーヴリチャードに初のGⅠタイトルを届けた。
「今年最後のGⅠだったし、(JRA)GⅠ・50勝目なのでうれしかったです。大外に出してからはいい反応でした。すぐにギアアップしてくれて自分でも驚きました。すごくいい脚を使ってくれました」
この勝利で今年のJRA・165勝目を挙げ、2年ぶりにリーディングジョッキーに返り咲いたルメール騎手がほおを紅潮させた。
「ゲートの開いたタイミングが良くなかった」と道中は後方待機の形に。さらに4コーナーでは外を回らされる不利もあったが、大外に持ち出されるとアクセル全開。目の覚めるような末脚でグングン前に迫り、最後は外に寄ってきたシンエンペラーを逆に弾き飛ばしてねじ伏せた。引き上げてきたルメール騎手も、思わず「すごかった」とポロリ。名手も舌を巻くほどの2歳牝馬離れした豪脚だった。
「現時点の彼女を鑑みれば、いい状態でした。ファンの支持、期待に応えられ、彼女のプライドが回復したのは喜ばしいことです」
殊勲の鞍上を熱い抱擁で出迎えた木村調教師も健闘をたたえた。今年は厩舎の看板馬イクイノックスがルメール騎手とのコンビで競馬界を席巻。その世界最強馬が去った矢先の新エース誕生に、「今年はイクイノックスを中心とした一年でした。(来年も)それに恥じない働きを期待していただければ」と力強い言葉を並べた。
今後はクラシック路線の1冠目、皐月賞を視野に入れる。「まだまだ子供だし、伸びしろはあると思う。この冬、(体が)大きくなったら、すごくいい馬になります。来年が楽しみ」と鞍上は来春に思いをはせた。
牝馬の皐月賞制覇は1948年ヒデヒカリまでさかのぼるが、もはや性別など関係ない。さまざまな記録を打ち立ててきた〝チーム・イクイノックス〟が、規格外の大器レガレイラとともに新たな栄光へと突き進む。(山口遥暉)
■レガレイラ 父スワーヴリチャード、母ロカ、母の父ハービンジャー。鹿毛の牝2歳。美浦・木村哲也厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は㈲サンデーレーシング。戦績3戦2勝。獲得賞金8277万9000円。重賞は初勝利。ホープフルSはクリストフ・ルメール騎手が2011年アダムスピーク、13年ワンアンドオンリー、16年レイデオロに次いで4勝目。木村哲也調教師は初勝利。馬名は「ポルトガル中西部の都市シントラにある宮殿」。
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