競馬ニュース > 記事
年末の大一番・有馬記念が近づき、どの記者も取材に力が入る。「俺のチェックポイント」2日目は、東京サンスポの板津雄志記者が4年連続で馬券に絡んでいる牝馬から、爆穴候補のライラックに注目。4歳秋に充実期を迎えたオルフェーヴル産駒に、激走の可能性を感じ取った。
有馬記念では、牝馬が4年連続で3着以内に入る活躍を見せている。2020年にGⅠ未勝利のサラキアが11番人気2着と波乱を起こしたのは記憶に新しい。今年も爆穴となりうる牝馬をチェックしたい。
その候補はライラックだ。中山ではフェアリーS1着、紫苑S3着、日経賞4着と一度も崩れていないコース巧者。春の後半2戦は案外だったが、この秋は府中牝馬S3着、エリザベス女王杯4着と好リズムを取り戻している。
「秋に帰ってきたときに背が伸びていた。それ以前にもう馬は完成していたと思っていたけど、成長して見た目にきゃしゃな感じがなくなったよ」
4歳秋を迎えてのもうひと伸びに、三尾助手は感心する。馬体重はそれまでの430キロ台から440キロ台に。「この秋は食べたものがやっと実になるようになった。春よりもカイバ量を増やしても、ちゃんと食べられている」と充実一途だ。
洗い場ではおとなしく立って待ち、見知らぬ記者が寄ってきても気を悪くする様子はない。むしろ馬房に近づくと、ひょいと顔を出して、可愛らしいまん丸な目をこちらに向けてくれる。この愛嬌(あいきょう)の良さを見ると、人間なら〝完璧で究極のアイドル〟になっているだろうな…と想像。人に慣れているのは大きなアドバンテージ。有馬記念の大観衆、大歓声を味方にできるのではないか。
全休明けの19日は美浦坂路を4ハロン59秒5─14秒1で元気に駆け上がった。レース週の火曜に坂路で4ハロン60秒を切るメニューは前走時から。調教を一任されている石川騎手(レースは戸崎騎手)は「最近のルーチン。実質坂路1本だけなので、それくらいやってもいいかなと。この馬は調子落ちがない。ずっと安定しているのがいいところ」と好調ぶりを伝えた。
「(3年前に登録した半兄)ブラックホールは(賞金不足で)出られなかったけど、妹はファン投票で出られる。競馬エイトの阿部トラックマンをはじめ、みんなが広報活動してくれたおかげ」と三尾助手は笑顔だ。有馬はドラマ。登録馬のうち10番目となる1万5606票を集めて立つ晴れ舞台。兄のぶんまで、ライラックが大激走する予感がしてきた。(板津雄志)