２冠制覇を目指す（５）オルフェーヴルは、坂路で４ハロン６６秒０。引き締まった体つきで、仕上げに不安は感じられない。「兄のドリームジャーニーもそうですが、競馬が近づくと自分で体を作ってくれますね。カイバも食べているし、前走と同じくらいの体で出走できそうです」と、吉村技術調教師はＧＩ馬の風格を漂わせる愛馬を信頼して送り出す。

　希望通りの内枠を引いた（２）サダムパテックは、坂路を１本登坂した後にポリトラックをサラッと１周。リズミカルな走りで馬体も充実している。「万全の仕上げですね。ピークでダービーを迎えることができます」と西園調教師は納得の表情を浮かべた。「前走は決して力負けではないと思っています。岩田君には、結果は考えず、悔いのないようにだけ乗ってほしい。皆さんもどうか応援してください」とファンの後押しも期待していた。

　（１０）ナカヤマナイトと（１４）ショウナンパルフェの二ノ宮勢２頭は、この日もいっしょに馬場入り。軽く体をほぐした後、坂路を１本というメニューだ。ナカヤマナイトが４ハロン６９秒５、ショウナンパルフェが同７１秒７と軽めだが、両馬とも適度に気合が乗っており好ムード。「順調。中間から話している内容のほかに、伝えることは特別にないですよ」と、二ノ宮調教師はゆったりと構える。ナカヤマナイトに騎乗した三浦調教助手は「本当にいい感じできていますね。明日（土曜）も同じメニューでと考えています」と話し、連日、ショウナンパルフェに跨っている三浦騎手は「乗り味のいい馬。スムーズな競馬がしたい。馬場が悪化してもこなせると思います」と、高い信頼を寄せていた。

　３年連続勝ち馬が出ている（１）番枠を引き当てたウインバリアシオンは、坂路とポリトラックで軽めのキャンター調整。落ち着き払った仕草を見せた。「（１）番枠が３連勝と言っても、青葉賞馬は勝っていないんやろ？　関係ないわ」と松永昌調教師は両極端なジンクスを引き合いに出して苦笑い。「追い切り後も変わりないし、変わったら困る。道悪は蹄の形から大丈夫だと思うし、あとはアンカツ任せやな」と鞍上に全てを託す構えだ。

　デットーリ騎手の騎乗、モハメド殿下の来日も決まり、一躍注目の的となった（１１）デボネアは、角馬場での微調整。「きょうはハッキングだけ。もう完璧に体ができていますから」と中竹調教師は渾身の仕上げを強調する。「これだけの体に仕上がったのは初めてですね。すごくシャープ。メイチの仕上げです。あとはジョッキーに任せるだけですよ」とトレーナーは名手にすべてを委ねる。

　意欲的な金曜調整を行ったのは（１５）トーセンラーだ。坂路での調整は４ハロン６４秒４だが、ラスト１ハロンは１３秒３と気合の入った動き。だが、藤原英調教師は「しまい強めに乗るのは予定通り。順調に来ているけど、枠順がなあ…」と外枠を引いたことが残念な様子だ。さらに「道悪はイヤ。すごくイヤや」と下り坂の予報も不本意なようで、「現状でやれるだけのことはやってきたけど…」。昨年のエイシンフラッシュに次ぐダービー連覇がかかっているが、トーンは控えめだった。

　連闘で臨んだプリンシパルＳで執念の権利取りに成功した（１６）トーセンレーヴは坂路で４ハロン６５秒１。吉村技術調教師は「本当にタフでえらい馬です。精神面がかなり強いですね」と感心しきり。「外枠は仕方ありませんが、自分で位置を取りに行ける馬ですからね。ジョッキーも乗り慣れていますし、大丈夫だと思います」と３度目の騎乗になるウィリアムズ騎手にダービー制覇の願いを託す。

　３連勝で大一番に挑む（６）クレスコグランドは、坂路で４ハロン６４秒６、ラスト１ハロン１５秒６をマーク。パワフルな走りに充実ぶりがにじみ出る。「大丈夫ですね。競馬をしながら成長しているし、追い切った後、さらに体が締まって、張りも出てきた感じです」と濱名調教助手は手応え十分。「良馬場の方がいいとは思いますが、道悪を経験（ムーニーバレーＲＣ賞１着）したのは強みになるかも。東京でのびのび走らせたかった馬ですしね」と希望を抱いて東上する。

　（８）フェイトフルウォーは坂路を２本目に４ハロン６７秒２。「完歩が大きいから、見た目よりも数字（時計）が出るね。ゆったりと良いリズムで走れていたし、リラックスしているね」と、伊藤伸調教師は順調ぶりに目を細めた。「皐月賞時は、その時点の体質なりに攻めていたが、今回は気になるところがなく、今までで一番、調教で負荷をかけた。追い切り後に雰囲気も変わってきたし、集中できている。後は、勝利の女神がどの馬に微笑むかだね」。できることはすべてやった、というのが伊藤伸師の思いだ。

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