競馬ニュース > 記事
トレードマークの流星をリズミカルに上下させ、イクイノックスが僚馬の間から顔をのぞかせた。美浦Wコースでの3頭併せで、乗り手は直線半ばまで手綱を抱えたまま。そこからわずかなゴーサインでラスト1ハロン11秒3(5ハロン67秒6)をマークするのだから、さすがGⅠ4連勝中の王者だ。
「実戦を想定して道中の折り合いや我慢、ライダーの指示に従って待って、ゴーサインが出ればしっかりゴールに向かって走っていく基本的なところを大事に」
木村調教師がテーマに掲げた最終追い切りをしっかり遂行した。内ソニックライン(未勝利)と併入、外ボーデン(3勝)に1馬身先着というフィニッシュ以上に迫力にあふれ、調教評価も最高の『S』だ。
海外初挑戦のドバイシーマクラシック、栗東滞在で臨んだ宝塚記念と、ある意味アウェーが続いた今年前半は「精神面の戦いからスタートだった」と語る指揮官。対して、久々の美浦調整で挑む今回は「ホームに帰ってきて本当に〝素のイクイノックス〟が感じられる。落ち着いてゆったり過ごせていて、それも成長だと思います」と雰囲気の良さを感じている。
その思いは1週前追い切りにまたがったルメール騎手も同様で「この秋の彼のコンディションはいい。宝塚記念の前は体がちょっと細かった。今回は体が大きくなって、パワーアップしましたね」とすこぶる感触がいい。
今回は同期の日本ダービー馬ドウデュースとの再戦が注目を集める。ルメール騎手も過去1勝1敗の宿敵を意識。「リマッチです。3歳時のドウデュースはイクイノックスよりも強かった」と認めつつ、「イクイノックスはだんだんパワーアップして、日本でも海外でもすごくいい競馬をしてくれた。4歳で強い馬になったし、今回は違う試合になるはず」と闘志を燃やす。
シンボリクリスエス(2002、03年)、アーモンドアイ(19、20年)に続く史上3頭目の連覇にも挑む一戦。世代最強、いや現役最強を懸けて、府中へ乗り込む。(板津雄志)