女傑ブエナビスタをはじめ、天皇賞の春秋連覇がかかるジャガーメイルなど、ビッグネームが名を連ねた。０８年の皐月賞馬キャプテントゥーレは、出走する牡馬では唯一のクラシックホース。前評判は決して高くないが、朝日チャレンジＣを連覇し、万全の臨戦過程で挑んでくる。積極策で２年半ぶりのＧＩタイトル奪取を狙う。

　先手必勝。朝日チャレンジＣを連覇して、意気上がるキャプテントゥーレが、この大舞台で皐月賞馬の底力を見せつける。

　５歳秋を迎えて充実一途。デキの良さは目を見張る。朝日ＣＣを楽々と逃げ切った後、短期放牧には出ずに自厩舎で調整。坂路で行われた１週前追い切りは、小牧太騎手を背に４ハロン４８秒７の破格の好タイムをマーク。余裕残しの手応えで、自己ベスト（以前は４ハロン４９秒８）を塗り替えた。

　「強いて変わった点と言えば、脚元が丈夫になったことと馬体が白くなったことぐらいかな。元々、好不調の波が少ない馬で２、３歳時の頃から競馬が上手で身体能力も高かったから」と徳江調教助手は猛調教にも涼しい顔。キャプテンならば、あの動き、タイムも驚くにはあたらないということなのだ。

　東京コースは未勝利。左回り克服がポイントとされるが、「左回りはまだ３回しか使っていないし、決して不得手だとは思わない」と陣営に苦手意識はない。昨秋の天皇賞（１２着）は自分のペースで先行できず、極端な決め手勝負になったのが影響。今年の安田記念（７着）は直線半ばで先頭をうかがう勢いだった。マイルのスペシャリスト相手に勝ち馬からコンマ３秒差ならば、及第点だろう。新潟の関屋記念（０９年４着）の時は皐月賞以来の長期休養明け。左回りを理由に軽視するのは早計だ。

　今回は展開、馬場状態とも味方しそう。平均以上のペースで逃げるシルポートを先導役にレースを進められるのは願ってもない。スローペースは考えにくく、昨年のような瞬発力勝負（１着カンパニーの上がり３ハロンは３２秒９）にはならない。加えて、今週から東京競馬場の芝はＢコース（内柵から３メートルに仮柵）となり、ラチ沿いを走る先行馬が有利な状況。週末の天気予報が下り坂なのもありがたい。

　「雨で少し時計がかかるぐらいの馬場が合っている。前々でうまく流れに乗りたいですね」と徳江助手。秋の天皇賞が２０００メートルになって以降、ダイワメジャーなど、強い皐月賞馬は５歳秋のこの舞台で結果を出してきた。スピード、パワーに加え、キャプテントゥーレは粘りも一級品。自慢の先行力を最大限に生かし、ライバルに先んじた仕掛けで勝機をつかむ。（片岡良典）

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