【日本ダービー】新怪物ドゥラ2冠!もう凱旋門賞2番人気
同じ年に生まれた馬は運がない-。それほどまでに手が付けられない強さだった。ドゥラメンテが残り300メートルで先頭に立ち、17頭をねじ伏せた。13万近い観客が見守る中、堂々の2冠制覇。父キングカメハメハとディープインパクトの記録を0秒1更新する2分23秒2のダービーレコードで、6897頭の頂点に立った。
「直線はすごい勢いでゴールまで駆け抜けた。ダービーレコード? すごいね。皐月賞はガッツポーズをするのが早くてレコードを更新できなかったけど、きょうは最後まで追ったよ」
ミルコ・デムーロ騎手(36)が興奮気味にパートナーをたたえた。ミルコにとって、3月にJRA所属となってから最初のダービー。「夢みたい」と顔を紅潮させ、うれし涙で目をはらした。
強気のレース運びは父(2004年V)をほうふつとさせた。皐月賞より前めの8番手でコントロールが利き、1000メートル通過が58秒8のハイペースでも自信を持って早めにスパート。鞍上が「最後の切れはネオユニヴァース(03年2冠馬)より上」という末脚に、ついて来られる馬はいなかった。
開業13年目、3度目(計4頭)の挑戦でダービートレーナーとなった堀宣行調教師は「直線はサトノクラウン(3着)もいるので両方見ていました。平常心で見ていたつもりでしたが、今振り返っても覚えていませんから舞い上がっていたのかもしれません」。冷静沈着なトレーナーもゴール前ではわれを忘れた。
3代母ダイナカール、祖母エアグルーヴ、母アドマイヤグルーヴの血脈は、ノーザンファームが紡いできた日本の至宝。母はドゥラメンテを生んだ年の秋に急逝しており、牧場関係者の喜びもひとしおだ。そんな牧場の宝が国内で頂点に立ったら、世界を目指すのは自然な流れだろう。
秋は凱旋門賞か、3冠がかかる菊花賞か。オーナーのサンデーレーシング、吉田俊介代表は「白紙」と明言を避けたが、生産したノーザンファームの吉田勝己代表は「きょうは世界一。ようやくディープインパクトに肩を並べる馬が出てきた。これから超える可能性も秘めている。(秋は)どちらに進んだとしてもいい競馬ができると思いますよ」と、海外挑戦の可能性は十分ありそうな口ぶりだった。
主戦騎手は「凱旋門賞は日本馬が勝っていないし、もちろん僕も勝ちたいレース。チャンスはあると思う」ときっぱり。どの馬も到達したことのない高みへ。ドゥラメンテの伝説はまだ幕を開けたばかりだ。 (板津雄志)
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