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3番人気のチャックネイトがゴール前の激しい追い比べを制して重賞初制覇。短期免許で来日中のレイチェル・キング騎手(33)=英国出身、オーストラリア拠点=は、外国人女性騎手として初のJRA平地重賞勝利を飾った。2着は2番人気のボッケリーニ。5番人気のクロミナンスが3着だった。
雨上がりの中山に、晴れやかな笑顔がはじけた。3番人気のチャックネイトを重賞初制覇に導いたキング騎手。外国人女性騎手初のJRA平地重賞制覇の快挙を成し遂げ、喜びいっぱいに声を弾ませた。
「まず日本に来られて、重賞に参加できたことに感謝しています。さらに勝つことができて、とてもうれしいです。特にいっぱいサポートしていただいている堀厩舎の馬で勝つことができて、さらに素晴らしいです」
外枠からスッと3番手へ。「本当に馬場が悪かったので、とにかくリズム良く走ることを中心にしました」という言葉通り、しっかり折り合って軽快に追走した。直線では外から伸びたボッケリーニに一度はかわされたが、力強いアクションでパートナーを鼓舞。最後の最後でハナ差だけ差し返してみせた。
英国出身の33歳。母国でアマチュア騎手としてのキャリアをスタートさせたが、騎乗機会を求めて2014年にオーストラリア・シドニーへ拠点を移した。そこから才能が開花。18年にGⅠ初制覇を飾るなど着実に成績を伸ばし、昨年はGⅠ3勝をマークした。来日は総合2位となった昨夏のワールドオールスタージョッキーズ以来2度目だが、「日本の国と競馬の両方を楽しみたい」と日本食も大好き。旺盛なチャレンジ精神が、異国で成功する原動力だ。
ウイナーズサークルでは、所有馬ワンツーを決めた金子真人オーナーと握手。「他の馬に瞬発力の差でついていけないところがありましたが、坂を上りながら素晴らしいスタミナとファイトを見せてくれました」と改めてパートナーをたたえた。短期免許の期間は3月5日まで。日に日にファンを魅了するキング騎手が、また新たな記録を打ち立ててくれそうだ。(三浦凪沙)
■チャックネイト 父ハーツクライ、母ゴジップガール、母の父ダイナフォーマー。鹿毛の騸6歳。美浦・堀宣行厩舎所属。北海道千歳市・社台ファームの生産馬。馬主は金子真人ホールディングス㈱。戦績15戦5勝。獲得賞金1億4502万7000円。重賞は初勝利。アメリカJCCはレイチェル・キング騎手、堀宣行調教師ともに初勝利。馬名は「人名より+人名より」。
■レイチェル・キング(Rachel King) 1990年7月31日生まれ、33歳。英国出身。英国でのアマチュア騎手経験を経て、2014年に活躍の場を求めオーストラリア・シドニーへ。16/17シーズンの同地区見習い騎手リーディング、18年スプリングチャンピオンSをメイドオブヘヴンで制しGⅠ初制覇。20/21シーズンには自身最多の64勝を挙げた。21日現在、JRA通算43戦6勝。
★日本人女性騎手は菜七子、聖奈が達成
女性騎手によるJRA平地重賞勝利は、藤田菜七子騎手(2019年カペラS=コパノキッキング)、今村聖奈騎手(22年CBC賞=テイエムスパーダ)に次ぐ3人目。外国人女性騎手は初で、これまではリサ・オールプレス騎手が15年新潟大賞典で2着(ナカヤマナイト)となったのが最高だった。なお、障害重賞では、ロシェル・ロケット騎手が02年の中山大障害をギルデッドエージで制している。