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当企画のコンセプトにつきましては、コチラにてご確認ください。今週も“勝ち逃げ馬券師”新良武志氏に、注目の乗り替わりをピックアップしてもらいます。
※データは2020年以降の結果をもとに集計
編集部(以下、編) 待ちに待った秋のG1シリーズがスタートします! 夏競馬にも、条件戦にも、G2やG3にもそれぞれ魅力がありますが、やっぱり競馬の醍醐味と言えばG1でしょう。
新良(以下、新) ワクワクするシーズンが到来しましたね。予想をするほうも力が入ります。
編 新良さんは春のG1予想が絶好調でした。この秋も頼みましたよ!
新 連続して的中していた期間もありましたしね。同じような状況に持ち込めるように全力を尽くします。
編 やってくれると信じております。では、スプリンターズSの結論をお聞かせいただけますか?
新 いきなり弱気な発言で申し訳ないんですが、じつはこのレース、乗り替わりが大不振なんです。過去10年で勝ったのは、2020年のグランアレグリアしかいません。それも本来の主戦のルメール騎手への手戻りですから、実質的には継続騎乗のようなもの。とにかく苦戦を強いられているんですよ。
編 このコーナーにとっては、鬼門と言えるかもしれないですね。
新 鬼門ですね。それを踏まえたうえで、ベストアンサーを導きたいと思っています。
編 よろしくお願いします。
新 まず、乗り替わりで注目されているのはママコチャですが、これは危険な馬だとみています。ここまで好騎乗を続けてきた鮫島駿騎手が降ろされ、お手馬がいなくて空いていた川田騎手が手綱をとることになりました。とりあえず、という感じで、狙いすまして勝負、という乗り替わりではなさそうなんですよね。
編 川田騎手が騎乗するということで過剰に売れそうですし、馬の実力と人気がつり合わないと?
新 その通りです。だから、穴っぽいところに注目しようと思っています。2018年2着のラブカンプー(11番人気2着)、3着のラインスピリット(13番人気3着)、2020年3着のアウィルアウェイ(10番人気3着)、2021年3着のシヴァージ(10番人気3着)と、乗り替わりは勝ち馬こそ出ていませんが、2~3着の穴でけっこう来ているんです。今年もそこを狙いたいなと。
編 そして、どの馬に注目することになったんでしょうか?
新 西村淳也騎手から北村友一騎手に乗り替わる⑪ジュビリーヘッドの一発に期待します。
編 おお、これは来たらデカい!(笑)
新 重賞2着歴はありますが、さすがにG1では足りないと思われていますからね。人気はないでしょう。
編 どのあたりが推し材料になりますか?
新 北村友騎手を推せる材料は一点しかありません。でも、その一点に賭けてみる価値があると判断したんです。
編 その一点がとても気になります。
新 唯一の強調点は彼が「枠なりジョッキー」であることです。「枠なりジョッキー」とは、以前に月刊誌『競馬の天才!』の企画で提唱した概念で、ゲートを出たまま内や外に進路を変えずに回ってくることの多い騎手を意味します。北村友騎手は、その典型的なタイプです。
編 それが激走の根拠にどう結びつくのでしょう?
新 スプリンターズSは開催最終週で内が荒れはじめます。そして今年は是が非でも逃げたい馬が多数揃っていて、超ハイペース必至。内を通る逃げ馬は、よほどペースが落ち着かない限り厳しいでしょう。その後ろでレースを進める馬も、前が詰まる危険性が高いです。だからといって、外枠も距離ロスを抑える必要があります。そんななか、ジュビリーヘッドは内過ぎず外過ぎない、最適な11番枠を引き当てました。出負けしないことだけを意識して、逃げ馬を見る好位のポジションにつけ、枠なりの進路で直線は追う。それだけでいい。北村友騎手は、そういったレースならとにかく上手な騎手なんです。
編 力説ありがとうございます。北村友騎手を狙いたくなる根拠がとてもよくわかりました。
新 ジュビリーヘッド自身は中山が得意舞台で、叩き良化型にもかかわらず、前走は好走することができていました。陣営も今年のスプリンターズSなら出走できるだけの賞金を持っていることを理解していて、キーンランドCを叩き台として使ったんでしょう。管理するのは短距離馬の育成に長けた安田隆行調教師。定年前ラストチャンスとなるスプリンターズSなので、完璧な仕上げで臨んでくると思います。
編 ヒモ荒れの起こりやすいレースですから、無理筋ではないと思います。
新 ご指摘の通り、2~3着にいつの間にか来ているシーンも想定できるので、ヒモには必ず加えておいていただきたいです。北村友騎手のいつも通りの枠なり騎乗に期待しましょう!
★その他の注目乗り替わり★
阪神7R ⑪コナブラック(ムルザバエフ→M.デムーロ)
中山10R ⑬マイネルモーント(M.デムーロ→横山武史)
阪神11R ⑤グラティアス(和田竜二→M.デムーロ)
【プロフィール】
新良武志(しんら・たけし)
かつてはどこにでもいる競馬ファンの1人だったが、データベースソフト【TARGET】との出合いを経て、眠っていた馬券師としての素質が開花。騎手・種牡馬にウマニティU指数を組み合わせた独自のデータ活用術を考案し、常勝スタイルを確立させる。2015年秋にメディアデビュー。雑誌、WEBを中心に精力的に予想家活動を行っている。著書に『毎日コツコツ勝ち逃げリーマン馬券術』(ベストセラーズ)、『ジョッキー未来予測2019』(秀和システム)。
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