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進化を止めない超特急、捕まりそうで捕まらないエイシンヒカリが、秋の盾をもかっさらう。
「GIII、GIIと一歩ずつ階段を上がって、GIまで来ました」。共同会見での坂口調教師の言葉だが、ヒカリ自身はそこに階段があったとは少しも感じていないはずだ。
6月のGIIIエプソムCはクビ差の辛勝。それが夏を越したGII毎日王冠では、2着に0秒2差とグンと着差を広げてみせた。逃げのスキルに磨きをかけての完勝。そしてこの着差=0秒2が歴史的に大きな意味を持つ。
毎日王冠は本来、着差のつきにくい一戦だ。昨年のV馬エアソミュールはクビ差、一昨年のエイシンフラッシュは半馬身差、12年のカレンブラックヒルもクビ差と、近年も大接戦の連続だった。
そんな激戦必至のステージで0秒2差。これは09年カンパニー以来の“大差”で、そのあと天皇賞→マイルCSもぶっこ抜くGIマルチホルダーばりの走りを披露したことになる。
その毎日王冠から中2週だが、調整は至って順調。28日には地を這うような重心の低い走りで栗東CWコースを6F83秒0で駆け抜け、「テンに思いのほかゆったり入れたおかげで、非常にいい調教ができた。1戦1戦強くなって課題もクリアした。最大目標に、いい状態でいける」と、手綱を取った武豊騎手もデキの良さに胸を張った。
逃げ馬の受難が秋天の伝統だが、今回、有力なライバルを出走させるある調教師が言っていた。「今年は逃げ切りちゃうか。東京の2000メートルは1800メートルより本当は逃げやすいんやから」
87年のニッポーテイオーの逃亡Vから四半世紀以上。秋天5勝(89年スーパークリーク、97年エアグルーヴ、99年スペシャルウィーク、07年メイショウサムソン、08年ウオッカ)のユタカのJRA・GI70勝目にして、初の逃げ切り制覇があるか。そろそろ時代が動いてもいいだろう。
“究極の3連単”は充実(8)ラブリーデイを2・3着に据えた12点。
(夕刊フジ)
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